セシルと勇者と魔王の動向

ブラックドラゴンを勇者と共に倒した次の日、俺は、旅に出る事になった・・・勇者と共に・・・


本当は修行が終わった後、一人であの子供の所に行くつもりだっただが、その子供が、魔王と対立している事を勇者から聞いた・・・


『魔族を倒していればフウに会えるぞ・・・』


そう言われた俺は、それから、俺は勇者と共に、魔族と闘う日々を送った・・・


魔族と言っても、ディエティドラゴンと比べれば、強くはなかった・・・だから俺は、いかに効率よく魔族を倒せるか・・・それだけを考えて、闘い続けた・・・


ディエティドラゴンを倒しても・・・俺は更に強くなろうとし続けた・・・いや・・・ディエティドラゴンを倒した今でも、あの子供を倒せるかどうか解らなかった・・・


以前より強くなった事は自覚できる・・・だが、どうしても、あのフウと言われた子供に勝てるビジョンが見えなかった・・・


そんな鬱憤を抱きながら、魔族と闘っている内に、ある噂を耳にした・・・


『英雄クラスのマイルが・・・行方不明になっている』


俺はその噂を聞いて、あり得ないと思った・・・冒険者にとって、行方不明になるという事は、死亡した可能性が高い事に他ならない・・・


ギルドカードを使えば、必ず、他のギルドに通達をされる為、依頼を受けている限り・・・いや、街に身分証明として、ギルドカードを使っている限り、絶対、必ず履歴が残る・・・


しかも、マイルが持っているのは、Sランクのギルドカード、どこに居ようと、表立って、活動して居れば・・・必ず発見される・・・


マイルが死んだ・・・そんな事は有り得ないはず・・・


魔法を使わせれば、右に出る者が居ないとされている、マイルが何者かに後れを取るなど・・・


今のディエティドラゴンを倒した俺なら、マイルに勝てる自信はある・・・だが、以前の俺ならマイルと闘って、勝てるビジョンが全く見えなかった・・・


それは、相性ともいえるだろう、あいつは、魔法で自分の身を守り、二手三手先を読んで闘う・・・


魔法を使う前、先手必勝に攻撃するのなら勝てるだろうが、あいつは、常に障壁を張り隙が無い、それどころか、攻撃をした瞬間、自動で魔法で攻撃するように結界を張っているとあいつは言っていた・・・


そんなあいつが、死ぬわけがない・・・そうは思うが・・・世の中には絶対は無い・・・


あのフウと言う人間離れした力を持つ子供がいる様に、俺自身、予想しない様な強者も世界に居る可能性もある・・・


だからこそ、マイルが・・・死ぬ可能性もある・・・


俺は、マイルが行方不明になったという噂を聞いた次の日から、彼の情報を集めた・・・だが、結局、彼の生死について、確実な情報は何一つ手に入らなかった・・・


ただ一つ、王都バイドリウムで最後に目撃情報があったという事だけは解った・・・だが、その後の足跡は何一つ解らなかった・・・


勇者と共に行動して、半年・・・何とフウと言われた子供が魔王を倒したと勇者が言ってきた・・・


その言葉に俺は驚いた、魔王と対立している事は聞いていたが、まさか、魔王を倒せるまで強くなっているとは・・・


魔王を倒せるのは、勇者の力のみ・・・その話は子供でも誰でも知っている一般的な常識だ・・・


勇者の力は、魔族や魔物に対し途轍もない力を発揮するとされているが、魔王に対しては、その比率が段違いという事を聖書に書かれている。


だからこそ、魔王を倒せるのは、勇者の称号を持った者のみ・・・それが一般の認識だ


現に、その事を以前に勇者に問いてみた所・・


『確かに、魔王に対峙した時、俺の勇者の力は魔物や魔族と対峙した時以上に力は上がると、神である、ラーフ・・・様の神託を受けた時に聞いています・・・』


そう勇者は言っただが同時に・・・


『ですが、その力を持ってしても、今の魔王は俺では倒せない・・・そうラーフ様が言っていました・・・』


何でも、今回の魔王は歴代の魔王と比べ物にならない程、強く・・・


俺達が満身創痍で倒したディエティドラゴンですら、闘っても勝てる見込みが殆ど無い程であったそうだ・・・


・・・俺と2人がかりだったとはいえ、勇者はディエティドラゴンを倒したはずだ・・・今の強さなら、ディエティドラゴンと手を組めば、それなりに闘えるのでは?


俺は、その事を勇者に問いてみたのだが・・・


『・・・後から、ラーフ様から聞いたのですが、ディエティドラゴンは、あの時、全力じゃなかったみたいです・・・』


その言葉に、俺は愕然とした・・・あれだけ満身創痍で死にかけて闘って勝ったのに・・・ディエティドラゴンは全力では無かったという事なのか・・・


・・・その人知を超えた力を持ったディエティドラゴンですら、超えた力を持っていた魔王・・・


それを、あの子供が倒した・・・


そう言えば、以前、勇者に魔王を倒す方法を考えなくてもいいのかと聞いた事があった・・・その時、勇者は・・・


『・・・時間が経てば、勝手に解決されているかも知れませんね・・・』


とどこか遠くを見てそう言った・・・その時は、もしや、勇者は現実逃避をしているのでは?と考えたものだが・・・恐らく、この事をいち早く予見していたのだろう・・・


・・・そう言っても、今まで俺は、フウを倒す為に、ここまで強くなったのだ・・・今更、逃げる訳にはいかない!!


『フウの居る場所を教えろ・・・』


そう言うと、勇者カールは、夢の中で神託を聞いてくるので、次の日まで待ってほしいと言って来た・・・


そして・・・次の日・・・


『・・・結論から言うと、フウが居る場所は結局、解らなかったと言っていました・・・』


そう言って来た・・・何だと・・・神である、ラーフから神託を受けたのだろ?なのに、何故わからない?!


『大体の目星は付いているみたいなのですが・・・』


だいだいの場所でも良い!!教えてくれ!!


『その場所の近くに行っても、結界があって入れません』


結界があったとしても、マイルからもらったマジックアイテムで強引に入る!!


『セシルがマイルからもらっている、マジックアイテムでも入れない位強靭ですし・・・』


・・・何だと・・・神の精霊が張った結界すら通り抜けたマジックアイテムだぞ・・・


だが、考えてみれば、当り前のことだ・・・人智を超えたディエティドラゴンその力すら超えている、フウが張った結界・・・その強度はもはや計り知れないものなのだろう・・・


いくら英雄クラスの力を持っているマイルが作ったマジックアイテムと言っても、限度がある・・・


『第一、今のフウは、強すぎるという程、強いですよ、こう言っては何ですが、ディエティドラゴンが・・・フウにとっては、雑魚と言っても過言では無い位・・・』


・・・ディエティドラゴンが雑魚・・・?!あの、俺達が満身創痍で闘っていても、本気で闘わなかった、ディエティドラゴンが雑魚だと・・・!?


今まで俺は、必死になって強さを求めて頑張って来た・・・それなのに、あいつは、もうその先に言っているというのか・・・


『まじか・・・』


俺は、勇者にそう言うしかなかった・・・

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