ムウの実力発表会

「お父様!帰りました!!」


夕方頃にフウが帰って来た。そして、後ろには何故か震えているファンが居た・・・何で!ファンが震えているの?!何があった?!!


「なあ、フウ、ファンどうした?」


「・・・?あらどうしました?何だか震えているみたいですけど、何か怖い事でもありました?」


そう言ってファンの頭を撫でるフウ・・・


身長的に妹が姉に対して頭を撫でる構図なのだが、撫でられるファンはそのたびにびくびくしていた・・・


「・・・お父様、私では駄目みたいなのでお父様にお願いしてもいいですか?」


「ああ・・・」


そう言って、フウはファンを俺に託して・・・そのまま家に入っていった・・・


フウが見えなくなると、ファンは俺の足に引っ付いて来て離れなくなった・・・本当に午後の間に何があったんだ?


それから、何事も無く夕食を食べた。フウはいつも通り、俺の席の隣に座っている・・・


他の奴隷達だが何とか回復して食事をしている・・・


結構大きめなテーブルなのだが、みんな俺達から離れている、いや、俺と言うよりフウなんだろう・・・何だか、皆、フウを怯えたように見ている様だし・・・


そんな事を考えていると


「お父様、・・・明日なのですが、朝から一人で外出したいので許可を頂きたいのですが・・・もちろん、夕方までには帰ってきます!」


そんな事をフウが言ってきた。


「何しに行くんだ?というより外に行くのに許可って必要ないだろう?」


「許可は必要ですよ私はお父様の奴隷で・・・お父様のものなのですから!!」


ものって・・・奴隷自体、フウが勝手にした事なんだけど・・・


「後、外に出る理由ですか・・・思ってたより他の方が弱くて・・・(ボソ)、いえ、ちょっと欲しい物があるのですが、結構遠い所に素材があるのですよ、だから、明日その素材を取りに行こうかと・・・」


そう、フウが言った・・・前半は聞こえなかったが、何だ、素材が欲しいのか・・・


「それだったら買えばいいんじゃないか?お金はあるし・・・」


「いえ、素材全てが売っているか解らないんですよ、だから明日市場を確認して欲しい物が無ければ自分で取ってこようかと思ってます!!」


「まあ、元々お前のお金だし好きに使いなよ・・・」


本当に、何で俺に伺いを立てるのやら・・・自由に使えばいいのに、今手元にある、お金全てがフウが採取した薬草やドラゴンなどの素材を売って、手にしたお金だ・・・


はっきり言って、俺のお金なんて、びた一文すら今手元に無いのに・・・そんな事を考えていると・・・


「いえ、これはお父様のお金です!!今すぐ返せと言われたら返しますし・・・もっと欲しいと言ったら稼いできます!!」


フウがそんな事を言ってくる!!


「いやいいから・・・」


いやはっきり言って!フウが稼いできた白金貨1枚すら、俺!使い切れる自信ないから!!そんなにもらっても俺どうしようもないからね!!


そんな突っ込みを心の中でしながら、フウと話をしていき、その日の夜は更けていった・・・


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


朝起きると、フウはいなかった。恐らく、昨日言っていた通り、出かけたみたいだな。


そう思いつつ俺はベットから起き上がり・・・廊下を歩き出した・・・すると・・・


「あっ」


廊下でばったりユウナにあった。何だか、顔が赤いが大丈夫か?


「・・・その・・・昨日はありがとう・・・」


そう言ってユウナはちょっと気まずそうに言った。


ああ・・・昨日の食事を食べさせた事か・・・あれだけ疲れていたら仕方ないだろうに・・・そう言えば・・・


「・・・昨日は何か疲れてたみたいだから詳しく聞かなかったけど・・・何があった?」


昨日はファンを除く3人が全員ぶっ倒れていた為、朝何をやっていたのか聞かなかったのだ。


フウに聞いても、自分から話さなかったから、今日復活したユウナに聞こうとしたのだ・・・


「・・・何でもないよ・・・ただ、訓練しただけ・・・本当にそれだけ・・・・・・」


そう言ってユウナは少しの間黙り込んだ・・・・訓練しただけって・・・それだけであんな惨状になるのか・・・?


俺は尚も詳しく聞こうとすると、ユウナは、ぽつりぽつりと、昨日起きたことを話し始めた。


「はは、あの子フウって言うんだっけ?その子がさ3対1で闘うから掛かってこいって言ってきてさ・・・私がそんなんじゃ、相手にならないって言ったのさ、もちろん向こうが敵わないってって意味でね」


そう言ってユウナは深呼吸をしてもう一度話し始めた


「こんな私の身長の半分位の小さな子供が強いはずが無いって決めつけて・・・そう馬鹿にしたらさ、気づいたら宙に浮いていた・・・・・・・・・・・・ユウナとニーム驚いてたなあ・・・ニームの驚いた顔お店でも見たことが無くてレアだった・・・」


そう言ってユウナは笑った、目元には涙が見える・・・


「そうしてひとことその子は言ったんだ『この位も防げないのかって』・・ってね。その後は蹂躙されたよ・・・私さ冒険者の時に剣に結構自信持っててさ・・・剣同士の闘いならBクラスにも負けないつもりだったんだ・・・それが、あの子には素手で何度も投げ飛ばされて・・・はは、笑っちまうだろう・・」


そう言って今度は思いっきりユウナは笑った・・・・


「そうやって、何度も投げ飛ばされながら、闘っていたら、いきなり、力が上がったんだ・・・それこそ、今まで限界だと思っていた以上に、力が出たんだ・・・」


力が上がった・・・?ああ、これは、フウが言っていた、強化魔法か・・・確か、フウが3人に掛けたって言ってたもんな・・・


「これまで生きて来た中で、これ程力を出せた事は無かった・・・この力なら、目の前に居る子度にも勝てる・・・そう思ったのだが、それすらも、簡単にあしわられてしまった・・・そして、気がついたら、体力が切れて、今まで経験したことが無い程の筋肉痛に襲われたのだ・・・その後は、知っての通りだ・・・」


多分、筋肉痛になったのは、フウが掛けた強化魔法が原因だと思う・・・確か、強くなる代わりに、とてつもなく疲れるって言ってたっけ・・・だとしても、あそこまでなるとは・・・


「・・・・私は・・・・・弱い・・・」


そう言ったきり、ユウナは黙り込んだ・・・ってえっ?!


ちょっと待て・・・弱いって言った??!ユウナって確か・・・Cクラスだっとよな!!?それが弱いって・・・それを言ったら・・・俺なんて・・・


俺は、自分が弱いと言ったユウナに俺は激しい憤りを感じていた・・・


自分が弱いなんて、俺を前によく言えるな・・・


「・・・ユウナ・・外に出ろ・・・」


「えっ?」


「いいから・・・」


有無を言わさず、俺はユウナを外の庭に連れ出した・・・


相変わらずこの家の庭はでかいなあ・・・


しかも、この庭には池がある。


残念ながら、今は魚は泳いでいないが・・・


だが、今からやる事に対しては丁度良かった。


俺は、ユウナと一緒に池に行き、おもむろに手をかざした・・・


「ファイアーボール!」


下級魔法のファイアボールを池に向かって放つ。


魔の森で必死になって覚えた魔法の一つ。


いや俺が覚えた魔法・・・結局ファイアーボールとウォーターボールの二つしか覚えていないんだけどね・・・とにかく、その内の一つを唱えた・・・


池に放ったファイアーボールは、水ですぐに蒸発して消えた・・・


「ウォーターボール!」


もう一つ覚えた魔法・・・ウォーターボールを池に放つ・・・


池に放ったウォーターボールは、水飛沫を上げるでもなく、すぐに他の池の水と分からなくなった・・・


「これが俺の全力の魔法だ!!」


俺は叫ぶように言った・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ムウ様は剣士なのですか?」


そんな事をユウナは言ってくる・・・そうだよな、フウがあれだけ強いのに、俺が弱すぎるのは信じられないよな・・・・・・・・・・


「剣貸して・・・・」


ユウナから腰に差してた剣を借りた・・・うん、うまく持ち上がらない、振り下ろす事すら困難だ・・・


俺が何度もフラフラになりながら、剣を振った後・・・ユウナに返した・・・・・


「これが俺の実力だ!!」


もう、俺は半分泣きそうになりながら言った・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何でフウのご主人様やってるの?」


俺が聞きたいわ!!!


俺は心の中で叫んだ・・・


あれから、ユウナに頼んで、剣の基礎を教えてもらう事にした・・・


俺が、何とか素振りを終えて仰向けになっていると・・・


「・・・どうされたのですか・・・?」


エレナの声が聞こえた・・・声の方に顔を向けるとエレナとニームが居た・・・・


「・・・訓練をしていた・・・」


ユウナが変わりに答えてくれた・・・


「訓練?」


「ムウ様なんだかな・・・・・・えっとその・・・・」


エレナがいいつらそうにしている・・・・


「ぜえ、ぜえ・・・俺が頼んだ・・・・・・」


俺は息を整えながらそう言った・・・


「・・・・えっとどういう事ですか?」


俺は息が整った後、ユウナと同じ様に魔法を放ち、素振り?もどきを見せて説明した・・・・・・


「「「・・・・」」」


3人共沈黙してしまった・・・どうすんだよこれ・・・


「えっと、大丈夫ですよ・・・多分・・」


ぐは、根拠のない慰めが効く・・・


「大丈夫だって、私が鍛えて・・・・・・・・・鍛えてどうにかなるかな・・・・」


ぐふ、最後の言葉は飲み込んでほしかった・・・


「・・・・(憐れんでいる顔)」


がは、もう、顔の表情だけでダメージを受ける・・・・・・・


「とにかく、色々試してみよう・・・そうすれば、少しはましになると思う・・・・多分」


ユウナ・・・嘘でもましになると断言して欲しかった・・・・・・


それから、フウが帰ってくるまで訓練するのであった・・・・

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