別世界のフウ 始まり

私は、生まれた時から、一人だった・・・いや、一人にならざる得なかった・・・


私を生んだ者は、私が生まれてすぐに、怯えだした・・・何で・・・?どうして・・・?私を生んだのは・・・貴方なのに・・・何で怯えるの・・・?


私は、居てもたってもいられず・・・その場から私は離れた・・・魔法の適性が生まれた時からたかったのだろう・・・無意識に特に苦も無く、転移魔法が使えた為、その場からすぐに離れた・・・そこから、私の地獄の様な生活が始まった・・・


転移した先は、周りは、ほとんど何も無い、荒れ地・・・しかも、魔物が闊歩する危険地帯であった・・・私は、無意識に周りに居る、魔物達を殺した・・・恐らく、防衛反応が働いたのだろう・・・私に近づく、魔物・・・私を食べようと敵意を持ってくる魔物達全てを殺していった・・・ある魔物は、生命力を吸い取り、ある魔物は、魔力を根こそぎ奪いつくして・・・殺していった・・・・


だが、それで殺しても、得られるのは、魔力と精神力だけ・・・肉体がある私の身体は、食事を求めた・・・


本来、赤ん坊の身体では、魔物の肉何て食べられはしなかった・・・だが、極限状態がそうさせたのだろう・・・私は魔物の肉を生で食った・・・普通なら、拒絶反応を起こして、吐いても可笑しくないはずが、身体がこの環境に順応して変わったのか・・・何も起きずに・・・そのまま私は魔物の肉を食い漁っていった・・・


そうして、私は、魔物の肉を口にする様になってから、周りによって来る全ての、魔物達の肉を食い漁る様になっていった・・・・それは、この辺りに狩りにやってくる冒険者達も例外では無かった・・・


その時の私は、周りに居る者は全て肉という認識でしかなかったのだから・・・


それから、1年後、私の身体は驚くべきスピードで成長していった・・・はっきり言って、大人の背丈にまで、成長をしたと思う・・・


周りに居た、魔物達は徐々に数を減らしていった・・・だが、変わりに、私を討伐をする為の冒険者がやって来ることが多くなっていった・・・・


恐らくだが、私自身に討伐指令が出ていたのだろう・・・とにかく、この辺りは私にとって住みづらくなっていた・・・・


だから、私は移動する事にした・・・今度は、魔物が・・・食料が沢山ある所を目指して・・・


あれから、10年私は、様々な場所を転々としていた・・・魔物達が多い場所に行き、強い魔物の肉を喰らい、そして、少なくなったり、討伐してくる人間が多くなってきたら、移動する・・・そんな事を繰り返していた・・・


そんなある日・・・


「見つけたぞ・・・!!」


ある精霊が私の所にやって来た・・・私は、いつもの、餌だと思い、攻撃をした・・・


「勇者!!聖女!!マイル!!ダン!!・・・頼む!!」


「あいよ!!!」


「はい!!」


「解ったよ!!」


「おう!!」


だが、いつもの食料だと思っていた、冒険者たちは強く・・・私は窮地に陥っていった・・ある者からは、弱体化の魔法をかけられ、ある者からは力を封印され・・・ある者からは怒涛の攻撃を受けていった・・そして・・・


「・・・すまない・・・今まで一人にしていて・・・・」


そんな言葉を最後に聞いて・・・私は意識を失っていった・・・・


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


目を覚ますと、そこは、見覚えが無い場所だった・・・私は、身体を動かそうとした・・・だが、無理に動かそうとしても全く動かない・・・見ると、魔法を使われ・・・私の身体全てが封印されていた・・・・


「がう!!がああああ!!!あああああああああああ!!!」


私は吠えて全力でその封印を解こうとした・・・だが、一向にその封印は緩まなない・・・


「無駄だ・・・その封印は、ロイドが使った封印を私なりに改良して作り出したもの・・・そっとやそっとじゃ・・・その封印は壊れない・・・」


誰かの声が聞こえた・・・声の方を見ると、先程、私を攻撃をしてきた一人である、精霊がいた・・・


「があああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


私はあらん限り吠え、全身に力を込めた・・・だが、一向に施された封印は緩まなかった・・・


「・・・・本当にすまない・・・私の力不足の為に・・・お前を一人にしてしまって・・・これからは一緒だからな・・・」


そう言って、精霊は私の事を抱きしめて来た・・・・封印されている私は・・・吠えながらも、何もすることが出来ず・・・ただただ、抱きしめられているだけであった・・・・


それから、1年の月日が経った・・・封印されている私はただ、ただ精霊を見ているだけであった・・・精霊が私の食事を持ってくた時は私は唸り声をあげ威嚇し・・・精霊が居なくなって初めて、食事を口に入れた・・・


そんな日々を1年間繰り返していた・・・ただ私が威嚇をする度に、精霊さんが涙を流す姿を見て、何故だか、私自身の心が少し痛みを感じる様になっていった・・・


封印されて2年目に入った・・・その時には、私自身心に余裕が生まれていた・・・私に封印を施した精霊は私に危害を加えてこない事を段々と理解をして来たからだ


・・・とは言え、その時は、まだまだ警戒する心は残っていた・・・だから、次に私は精霊を観察をする様になった・・・


どうして、私を封印しているのか・・・そして、何故・・・封印をしながらも、世話をしているのか・・・本当に私を完全に封印をするのなら、封印をして閉じ込めればいい・・・そうなれば、私は、何もできず、食事も出来ずに餓死になるしかないのに、目の前の精霊はそれをしない・・・


私は、それが不思議でたまらなくて、精霊を観察するようになった・・・すると、自然に、私は精霊に対して余り吠えなくなった・・・すると吠えなくなった私を見て、少しだけ、精霊が笑った様に見えた・・・気の所為だったかもしれないが・・・その時に初めて、精霊が泣いている姿以外の姿を見た気がした・・・


封印をされて3年目、少しずつだか、精霊とコミュニケーションをとるようになった・・・お互いにおっかなびっくりだが、少しずつ、歩み寄る様になっていった・・・


4年目・・・精霊との距離が更に縮まった・・・この時から、少しづつだが、精霊から言葉を教えてもらっていった・・・そして、少しずつ・・・本当に少しずつだが・・・私は喋れるようになっていった・・・


5年目・・・ますます精霊との距離が縮まっていった・・・そして、言葉と同時に少しづつ常識と言うものも、勉強をしていくようになっていった・・・


そんな感じで、同じように6年、7年、8年目と続いていき・・少しづつ、精霊との距離が近づいていき・・・そして・・・・10年目で・・・


「・・・もう・・・これはいらないだろう・・・」


そう言って、精霊は私の封印を解いた・・・その瞬間、私は喜びではなく、ただただ、訳が解らず、キョトンとしていた・・・はっきり言って、封印されてきたのが、当り前で、解除されるなんてもはや、考えもしなかったのだから・・・


「・・・・今更お願いをするのも変な話だが、一緒にこれからも居てくれないか・・・今度は、封印で縛り付けて、この場所に居るのではなく・・・お主の意思で・・この場所に・・」


その言葉に、私は、頷いた・・・その時には既に、精霊は敵では無く・・・私の大事な人になっていたのだから・・・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます