精霊さん奮闘記 7

『会って話しをしたい・・・お願い・・・』


そう念話で、この世界の神ラーフに言われた私は、結界の外に向かいに行った。


まあいい、とにかく念話が発信された先に行くと勇者がいた・・・まあ、ラーフがここで、念話で私に話しかけられるようになるという事は、勇者か、聖女・・・どちらかが、近くに居なければ出来ないから当たり前か・・・・


私は、人間社会から離れる様になった時、神との接点があると、遠からず人間との接触を促されると思った私は、神の念話が届かない様に、結界に細工をした・・・結果、勇者か聖女・・・神と対話が出来るものが近くに居ないと、神自身、私と対話することも出来なくしたのだ・・・


とは言え、何か重要な事が起きた場合を考え、神には居場所は教えてある・・・万が一、神、勇者、聖女がこの世界に居なくなってしまった場合も一応考え、人間達だけでも、対応出来る様、重要書物の一文に、私の居場所は記載していたが、まさか、修行のために、私に会いに来る者が居るとは・・・


・・・・ちなみに、人間の中で、勇者、聖女は、神を通して、この場所に来る事が出来る為、例外だ・・・


3年前に、勇者なんぞ、修行の為に、この村まで、神によって案内された位だ・・・・


その時、私の名前はセレーンと紹介された・・・以前仮契約を人間とした際、付けられた名前なのだが・・・精霊さんだと、他の精霊、妖精と区別しづらいという事で、人間との契約した際の名前が勇者や聖女に紹介される際、呼ばれるようになったのだ・・・


・・・一番初めに、精霊さんと呼んだのは、お主なのにな・・・・そんな事を考えている内に、村に着いた・・・


「それで、フウがどうしたのだ?」


私は村へ案内し終わって、すぐそう聞いた・・・


今、目の前には勇者とラーフの二人が居る・・・ラーフは勇者の召喚により一時的にこの世界に留まっている・・・以前は、神卸の巫女と言う職に付ければ、神を卸すことが出来たが、今では、勇者と聖女のみ・・・それも、教会や神と性質を持った者が近くに居なければ、召喚出来なくなっていた・・・


・・・・ラーフには村の外で、フウについて、話したい事がある言われた・・・私は、ムウが死んで、フウが暴走したと思ったのだが、ラーフが違うと言って来た・・・・ムウが居れば、そうそう、フウは暴走せんだろうし、第一フウ自身は強すぎて、殺せる者等いないはずだから、無事なはず・・・だとしたら何なのだろうか・・・


しかも、今回、勇者の旅を中断してまで、ここに来て居る・・・勇者の使命は、人間達の平和を維持する事・・・その為、様々な場所に旅をして、魔物の脅威・・・または、国同士のいざこざの介入をして、平和の維持に貢献している・・・


逆に言えば、それだけ、国や村・・・そう言った所に問題が山積みという事だ・・・勇者がラーフの指示によって行く場所はそれだけ問題が山積みな所が選ばれる・・・・それだけ、重要な使命を帯びているのだ・・・


それを辞めてまで、ここに居る・・・・重要な事であることは間違いがない・・・


ちなみに、セシルは今、外で修行中で居ない・・・本人曰く、私が居ると、緊張感が無くなってしまうらしい・・・・まあ、今回はそのおかげで、勇者達と2人きりで話すことが出来る様になったが・・・・・


『・・・今彼女の現状についてお話をします・・・』


それから先、フウの状態を聞いた・・・彼女が今、魔力暴走一歩手前にある事・・・その原因が、バクバ王との接触にあるのではとラーフ自身推測している事・・・そして、ムウが奴隷を買い、フウが自らの意思で奴隷になった事を話した・・・・


「あやつ結局奴隷を買ったのか!!フウも自分を奴隷に何てしおって!!あれだけ奴隷制度について話したのに!!」


ムウの奴隷について、興味があるのは知っていた・・・奴隷について講義の話をする度に、ムウの奴は邪な感情を発していたのだから・・・フウ自身も、その影響下の所為なのか、自身をムウの奴隷になりたいとほのめかすようなことを言っていたし・・・それでも、直接的な事を言ってはいなかったが、やはりやりおったか!!!


「・・・えっ、あの問題はそこではなくてですね・・・」


ラーフのその言葉に、ハッとする・・・そうだ・・・今はそれが問題では無い・・・我が子を取られたという思いが、一瞬我を忘れてしまった・・・


「解っておる・・・フウの状態がおかしいという事だろう・・・だが、あやつなら、ムウが傍に居れば大丈夫だと思うのだが・・・」


「・・・勇者にフウの近くに行ってもらって確認をしましたが、状態は思っていたより悪いです・・・いつ暴走してもおかしくない・・・」


「そんなにか・・・」


普通なら、ムウが一緒に居れば、すぐに魔力暴走の兆候何てすぐなくなるはずなのに・・・それだけやばいという事か・・・


「・・・・・・・・・何故、貴方は魔族の子を育てようと思ったのですか・・・・?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「何故かか・・・それは、お前も解ってるんじゃないか・・?」


「・・・・・・」


「まあ、実際、本当は最初魔族だって気付かなかったんだがな・・・あまりにも邪気が無さ過ぎて・・・」


『勇者がここに居るから、本当の理由は言えない、後で、2人きりになった時にきちんと話す・・・』


喋ると同時に、ラーフに念話を送った・・・もちろん、勇者に傍受されない様、工夫しながら・・・・


・・・それから、私は、嘘と本当を織り交ぜて、話をした・・・結果、そこまで、勇者に怪しまれず、話は終わった・・・後は・・・ラーフか・・・


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私はラーフと共に、勇者が居ない村の端っこに来ていた・・・


「・・・勇者には一応、真実は伝えていません・・・」


「・・・すまない・・・ありがとう」


私はその事に対し礼を言った・・・勇者だからと言って、この事はあまり広めたくはない・・・


「・・・フウは魔族だと言う事にして、勇者には伝えましたが、彼がこの事を知ったとしても、敵になるという事は無いと思いますが・・・」


「・・・それでもだ・・・第一、私はこの事を人には伝えたくはない・・・本当はお主にだってな・・・だが、もう、お主は大体の事が見当がついているのではないか・・・?」


私のその質問に彼女は頷いた・・・


「・・・彼女・・・フウは、魔族の子では無い・・・貴方が生んだ・・・作った・・・存在ですね・・・」


やはり、あの質問は鎌かけだったか・・・


「・・・・・・ああ、そうだ・・・」


その言葉を素直に認めた・・・ああ・・・・やはり、ばれて居たか・・・


第一、フウの事で私の所に来た辺りで、私との関係性はバレていたのだろう・・・・この村で起きたことは、神ですら観測できない様に、結界を張っている・・・・・・本来は、この村で過ごしている分には、神の監視から、逃れ続けるはずだった・・・


だが、フウは、街に行ってしまった・・・そこで、何か大きな事を成してしまえば、神の目はそちらに向いてしまう・・・・今回の場合は、バクバ王の件が神の目に止まったのだろう・・・


フウの身体は、ロイドの・・・・魔族と人間の身体だが、力の方は精霊の力である・・・その事は、ラーフの神の目を使って見れば、すぐ分かっただろう・・・そして、その力が、私の力と似ている事も・・・・


「・・・・貴方には、これまで様々な支援をして頂きました・・・だから、私個人は今回の件は目を瞑ろうと思います・・・ただ、創造神・・・ズアル様にはいつまでも、誤魔化せるかは解りませんよ・・・」


その言葉に私は頷く・・・その位は覚悟している・・・


「・・・この情報は貴方にとって酷かもしれませんが、せっかく二人きりなので、話させてもらいます・・・」


そう言うと、彼女は空を見上げて話し出した・・・


「彼女の存在を認識した後、私はこのフウが生まれた世界を基準に様々な世界線を調べました・・・結果、フウが生まれたことにより、この世界にある無数の世界線はかなり変化をしていました・・・」


その事は、覚悟していた・・・神では無い、私が生物を作る・・・その事により、世界線はかなり乱れてしまう・・・そんな事は解っていた・・・だが、なぜ今そんな事を話す?


・・・変化すると言っても、全てが、悪い方向に向かうわけでは無いだろうに・・・


「・・・その変化は、ほとんどが最悪の展開の世界線ばかりでした・・・中には将来的に、この世界が滅ぼされる世界線すらありました・・・恐らく、フウ自身の手で・・・」


その言葉に驚愕する・・・フウが・・・世界を滅ぼす・・・?


「・・・それだけではありません、下手をすれば、神界へ介入しようとする世界線の彼女・・・フウも観測できました・・・まあ、人の領域以上の彼女を全て観測出来たわけでは無いですが、恐らくは・・・」


その言葉に愕然とする・・・この世界の消滅・・・それだけでは無く、神界へ干渉しようとしただと・・・


「本当に介入に成功した世界線があるかは解りませんが、少なくとも、そう言った世界線は万を超えるだけあったと思います・・・まだ、全てを見を終えている訳ではありませんが・・・」


私は、その言葉に唖然とする・・・私はただ、ロイドと私との子供と一緒に居たかっただけ・・・それだけが望みだったのに・・・・どうして・・・・


「ここの世界線はまだ、未来が定まっていません・・・が、彼女が生まれたことによって、それだけの影響があった事だけは心にとどめておいてください・・・・」


その言葉に私は項垂れる・・・どうして・・・私はただ、生まれた子供と一緒に幸せに生きたかっただけなのに・・・・


「・・・強すぎる力は良くも悪くも世界を変えてしまう・・・彼女は強すぎる力で運命に翻弄されたのでしょう・・・」


その言葉に私は涙が出てくる・・・確かに、私自身、彼女の力は、強すぎると感じていた・・・だが、その事により、彼女が、そんな運命を辿るだなんて・・・


「・・・幸か不幸か、この世界線の彼女は、彼・・・ムウのおかげで、まだ、運命が定まっていません・・・これからの動きによって、フウ・・・彼女の生き方が決まるでしょう・・・・・出来れば、幸が多い人生をこの世界・・・世界線の彼女には生きて欲しいです・・・」


そう言って、彼女・・・・ラーフは目を細めた・・・・


・・・彼女の言葉に、私は涙が止まらなかった・・・


彼女を生んでしまったのは間違っていたのか・・・自身のエゴで、この世界を危機にさらしてしまっているのだろうか・・・・彼女・・・フウを生んでしまったのは彼女にとって、不幸だったのか・・・様々な事が頭に浮かぶ・・・・・・・・


その日、私は、眠ることが出来なかった・・・・

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