精霊さん奮闘記 4

フウがこの村に来て、半年・・・彼女の才能はすざましいの一言だった・・・私が教えた魔法は一発で成功させ、上級魔法も全て覚えた・・・それでころか、改良までして・・・・しかも、私すら、使った事が無い、オリジナル魔法すら自ら作り出していた・・・・


しかも、世界の情勢についても色々教えたりしたが、それすらも、一瞬で覚えていく・・・奴隷についてかなり熱心に聞いていたようだが、気の所為だよね・・・何だか、奴隷になりたいよな、質問ばっかりしていたような気がしていたが・・・・大丈夫・・・私の思い違いだ・・・そうに決まっている・・・・奴隷についての扱いがどれだけ酷く、過酷なのかきちんと教え込んだんだ・・・なりたいと思う訳が無い・・・


・・・・頭脳について、もはや、大人顔負けの知識、知恵を身に着けたフウだが・・・身体の成長すらも著しかった・・・彼女の身体は生後半年のはずなのに、既に、幼児どころか、子供と同じ背丈まで大きくなっていた・・・この身体なら、もはや一人で歩くことも可能だろう・・・なのに・・・


(何でまだ!ムウの背中に乗っているの!!)


どう見ても、自分の足で歩ける年齢まで、身体が成長している・・・しかし、彼女は一度たりとも、自分の足で歩こうとしない・・・絶対に、ムウから離れようとしないのだ・・・


(・・・・・・もしかして、ずっとこのまま・・・?)


私は少し危機感を覚え始めていた・・・どう考えても、自我を持っている彼女、だが、本来なら芽生えるはずの自立心がこの子には、全く見当たらない・・・・下手をすれば、ずっとくっついている可能性すらある・・・それこそ、大人になっても・・・


・・・さすがにそれは、駄目では無いか・・・?私は意を決して、フウに自分を歩くように言う事を決心した・・・・魔力暴走、大丈夫だろうな・・・・・


「のう、フウ・・・お主もう自分の足で歩いたらどうだ・・・」


私は、決死の覚悟で、フウに口に出してそう言う・・・すごい睨まれているんだが・・・大丈夫だよね・・・


「いや、フウまだ赤ん坊だろう・・・まだ、歩ける訳が無いじゃないか・・・?」


いやいやいや!フウの身体ちゃんと見なよ!!どう見ても赤ん坊の身体の大きさじゃないから!!というより、喋れてる時点で、もう、赤ん坊の身体じゃない位成長しているから!!


「・・・言おう言おうと思っておったんじゃが・・・多分結構前からフウは自分の足で歩けるようになっていると思うぞ・・・」


「えっそんなわけないじゃないか・・・なあ、フウ?」


いや!本当に気づいていないのか!!どう見ても、赤ん坊の大きさじゃないだろうが!!


「・・・これ以上強くなるには森の外に出なくてはいけない、フウだけならまだしも、ムウはまだ、森の外には絶対に出れん!!」


こうなったら、ムウを引き合いに出してでも、説得して見せる!!さすがに、ずっとこのままだと後々から、ムウ自身も困るだろうからのう・・・


「お主らが以前、街に戻ると言っておったが、今の強さのままでは、この男を守りながら、外には出られんぞ・・・」


言って思う・・・ムウが残ってくれれば、フウも外に出なくてもいいんじゃないかと・・・だから、私はつい、言ってしまった・・・


「絶対に嫌だ!!!」


拒絶されてしまった・・・少し位考えてくれてもいいじゃないか・・・後、凄い邪な感情が溢れているが、本当に大丈夫なのだろうな・・・・フウの教育に悪影響を与える事をやろうと考えているんじゃないだろうな・・・


まあいい、とりあえず、今は彼女を自らの意思で歩かせる事の方が重要だ・・・


「・・・という訳じゃフウ、お主が強くならければ恐らくこの男すぐ死ぬぞ・・多分フウの助けが無ければ魔物に会っただけで死ぬ、多分ゴブリンだろうが死ぬ」


すごい、顔をし始めたなあ・・・ムウの奴・・・だけど、お主だってわかっておるじゃろう・・・自分の弱さを・・・それにここに居るのは、ゴブリンでは無く・・・


「しかも、この付近に居るのがドラゴンと言った大型の魔物だ。この男運だけでここまで来たようじゃが、2度目は無い」


そう、ドラゴンがこの森に住んで居るのだ・・・本当にここまで来れたのは、運が良かっただけだ・・・


「だから、赤ん坊のお主が強くなるしかない!!」


そう言うと、ムウは四つん這いになって、倒れた・・・うん、言い方悪かったかもしれんが、フウの為・・・将来的にお主の為なのだ・・・解っておくれ・・・


・・・もはや、フウは赤ん坊と言うレベルを過ぎ去っているかも知れないが、関係無い・・・とにかく、少しでも自立心を養ってもらわなければ・・・・この言葉で、動いてくれるか・・・?


「・・・解った・・・」


そう言って、彼女は、ムウの背中から降りた・・・よっし!!成功!!


ムウが凄い顔をしているが気にしない・・・本当に気づいていなかったのかこやつは・・・うん?今気づいたが、軽い認識阻害の魔法が掛けられている・・・?もしやこやつ、自分でその魔法を作ったのか・・・効果は、魔力がある程度ある者なら破れる程度じゃが・・・ムウ程度なら騙せる・・・・


・・・そこまでして、一緒に居たかったのか・・・


私は苦笑いを必死に堪えながら、言葉を繋ぐ・・・


「今日から外で特訓じゃな」


そう言って、フウを村の外に連れて行く・・・これで、ムウから離れれば、少しでも自立心が芽生えるだろう・・・


とにかく、せっかく外に連れ出すのだ・・・今日から実戦形式で、フウに戦いを教えていこうと思う・・・


村に張ってある、結界は、フウによって、改良された為、ある程度離れても、維持できるようになった・・・そうで無くとも、フウの魔力を借りて、結界を最近張っている為、そっとやちょっとじゃ、壊れないだろう・・・・


・・・・離れても、結界を維持できるのって、かなり魔力を必要とするはずなのだが・・・・最早今更だ・・・


・・・・・・・・そうして、森の中に入っていった・・・初めは、そんなに強くない魔物を戦わせようと考えていた・・・いくら、魔力とかがあっても、実戦はまた違ってくる・・・だからこそ、慣れるまでは、弱い魔物と闘わせようと思っていた・・・


・・・・・・・30分後・・・・・・・キラーベア、フェンリル等の魔物の死体が山積みになっていた・・・・


・・・・確かにあやつの魔法の技量はすざましかったが、初日でこれとは・・・普通、初めての実践の場合、少し位萎縮位するはずだろう!!何で!!!あんなに簡単に倒せるんじゃあやつは!!私だってもう少し苦労するぞ!!!というより強い魔物が出たら、私が倒そうと思っていたが・・・私が入る隙も無かったわ!!!


魔の森の魔物は通常の魔物より強い・・・そのはずなのじゃが、フウを見ているとそれが嘘では無いかと思ってくるほど、その魔物が倒される・・・


そうして、倒した魔物達を、アイテムボックスの魔法で収納していく・・・というより、この魔法使える人物、今殆どいない程、難しいはずなんだけどなあ・・・普通に使いこなしている・・・


ちなみに、アイテムボックスの容量は、魔力によって変わってくる・・・普通は大型魔物10匹分でいっぱいいっぱいになるはずなのだが・・・どんどん入れていくが、容量の問題は大丈夫か・・・・?


・・・・何・・・この程度余裕・・・?というより、街に持って換金するから、食べる分以外は、街にもっていくまで、暫く、アイテムボックスで保存している・・・・?


そうか・・・大丈夫ならいい・・・


一週間後、ドラゴンとも闘わせてみたがほとんど同じ結果だった・・・キラーベア達とは違い、幾分か倒しづらそうにはしていたが、無事倒していって、死体の山を築いていた・・・・いや!ドラゴンだよ!!!普通の魔物では無く、力では生命体の頂点と言っても過言では無い!ドラゴンだよ!!!何でそんなに簡単に倒しているの!!!


・・・いや、簡単じゃない・・・結構大変だった・・・そう・・・だけど、普通は大変だったで、倒せないんだよ・・・・私だって、一匹相手にするの大変なんだけどなあ・・・・・そして、また、それらをマジックボックスに仕舞っていく・・・・もはや突っ込まないぞ!!!


それから、更に一週間後、この森で一番強いはずのドラゴンの最上種、ブラックドラゴンが倒されていた・・・・・・・・・


この、魔物は倒すのが苦労したって・・・そうだろうね・・・普通は、3週間程度で、倒せる魔物じゃないからね・・・私だって、倒すのいつも苦労しているんだ・・・下手をすれば、逃げる事だってある位・・・その位強いんだけど・・・ほとんど、無傷だね・・・回復魔法も使っている様子も無いし・・・えっ傷ついて、それをお父さんに見られたら、心配されるから、身体に傷が付かない様に闘った・・・?


それで、傷が付かない様に倒せるって・・・どうなの・・・?


・・・・・このままだと、一年もしない内に、この森の魔物一匹残らず居なくなるんじゃないか・・・・?


それから、私は様々な枷を与えて、魔物と対峙させた・・・魔法を使わせず、身体だけで、魔物と闘わせる・・・


キラーベア・・・いやドラゴン並みの筋力を身に付けました・・・


それが1カ月・・・


・・・ロイドがやっていた力を使わず、体裁きだけで、魔物と闘わせた・・・結果、一瞬でやり方を覚え、ブラックドラゴンですら、生身で闘えるようになりました・・・・


それが2カ月・・・・


魔法を使って、自信の身体に負荷をかけさせ・・・弱体化したまま生身で戦わせる・・・


・・・1カ月半位で、弱体化したままで、ドラゴンを含め、闘えるようになりました・・・・


・・・・まだ、半年も経ってないよ!!このままではいけない・・・予想よりも、彼女の成長が速すぎる・・・というより!魔法を使わないで!!生身でどうしてドラゴンと闘えるの!!しかも後半は弱体化したまま闘って勝ってるし!!!


契約する前のロイドですら出来たか解らないわよ!!そんなの!!!!


・・・ちょっと落ち着こう・・・このままだと、フウはこのまま、森の外に出て行ってしまう・・・しかも、敗北を知らないまま・・・・・敗北は、勝負ごとにおいて、死を意味するが、生き残れれば、その人物の糧になる・・・・・


だから、この森で、強い魔物と闘って負けそうになった時、私が入って、助けて、敗北を知ってもらおうと思っていた・・・それだけ、この森の魔物は強いのだから・・・・まさか、ブラックドラゴンまで一人で倒してしまうなんて思わないじゃないか!!!!


・・・このままでは、街に行かせない理由が無くなってしまう・・・だいだい!普通、強くなるのにもっと苦労するでしょうが!!ロイドだって、私が力がある時に、特殊な空間を作って、何十年もかけて強くなっていったのに・・・あの子、一年って・・・たった一年で・・・強くなり過ぎでしょう・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、こうなったら、あいつに頼もう・・・そう、神の使いである・・・ディエティドラゴンに・・・


――――――――――――――――――――――――――――――――


「・・・お主・・・本気で行っておるのか・・・?」


「・・・本気よ・・」


「わざわざ、敗北を知ってもらう為に、我に頼みに来るとは・・・・我は、勇者が万が一魔王を倒せなかった場合、動く様、この世界の最上の神である創造神ズアル様に作られた存在・・・神には敵わぬが、我が本気を出せば、それに匹敵する力が出せるのは知っておろうに・・・」


「・・・そう言われても、この森の中に居る魔物達では、もう、あの子には敵わないから・・・」


「・・・・・そこまでか・・・確かまだ一歳にもなっておらんのじゃろ・・・ここの魔物、ブラックドラゴンも居たと思うが・・・」


「・・・そうだけど、もう、色々、制限と言うか、枷を付けて戦わせても、勝っちゃうの・・・あの子・・・」


「・・・どんな枷だ・・・」


「・・・自身を魔法で弱体化させて、魔法を使わせず、生身で闘わせて勝っちゃうの・・・」


「・・・・ブラックドラゴンもか・・・?」


「ブラックドラゴンも・・・」


その言葉に、ディエティドラゴンも唖然としていた・・・


「・・・なあ、もう、そこまで強ければ、外に出してもいいじゃないのか、早々の相手に負けはしないだろうし・・・」


「そんなの解らないじゃない!!貴方だって!人間に負けた事あるじゃない!!」


「・・・それは、1対1では無かったし・・・何より、全力では、闘ってはおらぬぞ・・・世界が壊れるからな・・・」


「それでも、負けた事には変わりがないでしょう?」


「・・・それはそうなんだが・・・」


「人間の恐ろしさは、仲間との連携・・・後、何かに特化した特技を持っている者が居る事・・・その強さは貴方が一番理解しているでそう・・・?」


「・・・確かに・・・今の人間は、ある一定の条件下なら、我をも、殺しうる力を持っておるからなあ・・・」


「・・・・だからこそ、力を持って慢心して欲しくないの・・・油断は死につながるから・・・」


その言葉を聞き、ディエティドラゴンは溜息をついた・・・


「そんなに、あの子を外には出したくはないのか?」


「・・・いや、私はあの子の事を思って・・・」


「そんな状況には、そうそうなるまい・・・確かに、もう一人の親代わりになっておる人間の方は心配じゃが、フウ一人なら話を聞く限りそうそう死ぬことも無かろうに・・・それでも嫌がるという事は、森から出したくなのでは無いか・・・」


・・・私はその言葉に・・しぶしぶ頷く・・・


「・・・やはりな・・・・」


「・・・だけど、さっき言った理由も本当だ・・・何より、ムウの弱さは折り紙付きだ・・・万が一守れなかった場合、フウ自身・・・彼女は暴走するじゃろう・・・きちんと守り切れると言う確証が欲しい・・・」


「・・・いや・・だからと言って、我と闘うのはいささかやり過ぎな様な・・・」


「・・・・・万が一があっては困るのです・・・何より、この数千年で、人間の力が代々強くなってきていますし・・・」


そう、確かに人間は強くなってきている・・・スキル・・・私の以前の世界にはある程度持っている者がいました・・・だが、この世界には無かったはずの力・・・


そんな力が・・・この世界に観測されたのが、千年以上前・・・それから、スキルを保持する者が段々多く増えていくのが観測で解って来た・・・


そうして、そのスキルを持つ者の中には自身の力に慢心せず、切磋琢磨しながらそのスキルを磨いていくものがいた・・そうした人達はやがて力をつけ・・・英雄クラスと呼ばれるようになった・・・


その英雄クラスの人間達は、もはや、私でさえ、一対一で勝てるか怪しい位・・・強い・・・・しかも、その力、スキルは条件次第では、どんな強者すら、油断すれば死んでしまう程、強力な力を持っているものすらあるのだ・・・


このまま、慢心を持ったまま、外には出したくはない・・・


「・・・解った・・・お主には今まで、魔王退治の際、色々世話になったからな・・・最近は、妖精、精霊達の保護に力を入れているらしいが、今までの恩は消えておらん・・・そのフウとやらと闘おう・・・」


その言葉にほっとする・・・これで、フウも上には上に居る事を理解してくれる・・・


上手くいけば、負けた後、このまま外に出ても、ムウが怪我をするだけ・・・ディエティドラゴンに勝つまでは、まだ出ない様にと言って村に引き留めることも出来るはずだ・・・・


・・・・いや、フウが居なくなると、寂しくなるからとかそう言った理由で、負けさせるとかじゃないからな・・・・心の中で・・・私は誰に言い訳をしているのだろうか・・・・


「・・・・だが、話を聞いている限り、全力で闘わなければ、勝てるか解らぬぞ・・・・」


その言葉に私は驚愕する・・・


「・・・・・神の使いである貴方がその言葉を出す程ですか・・・」


「・・・我とて、この世界に身を置く身・・・神界ならまだしも、制限があるこの世界では・・・限界はある・・・何より、魔法を使わず、生身で、ブラックドラゴンと闘える者・・・しかも、魔力はお主より、巨大で、魔法の使い方はお主すら超えておると聞いて、本気を出さずに闘って勝てるとは思えまい・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


その言葉に私は考える・・・・やがて、一つの解たどり着く・・・


「解りました・・・何とかします・・・」


そう言って、私とディエティドラゴンは別れた・・・さて、フウにこの事を伝えないと・・・・


----------------------------------


「最終修行は、相手と自分の周りを結界で囲って・・・相手の攻撃が外に漏れない様闘いながら、勝つ事・・・?」


「そう、貴方のお父さんは、かなり体が弱いでしょう?どんな攻撃でも結界で防げなければ、流れ弾で貴方のお父さん・・・死んじゃうかもしれないからね・・・貴方がきちんと守れるか確認する為の試験よ・・・」


私はそう言って、最終試験の内容を伝えた・・・・ディエティドラゴンの攻撃・・・それも、本気の攻撃を一撃たりとも防げるもの等、どこの世界にほとんどいないだろう・・・


もし、結界を張って、ディエティドラゴンの攻撃で壊れたら、それを理由に旅に出るのを止めさせることが出来る・・・第一、ディエティドラゴンの闘いに勝てること等ありはしないのだから・・・少なくとも、一年は一緒に居てくれる・・・そう考えて、提案をした・・・結果は・・・


「解りました・・・勝てば、お父さんと一緒に街に行っていいのですね!!」


「ええ、いいわよ」


無邪気に喜ぶ、その姿に、ちくりと心が痛む・・・これも、フウの為・・・この敗北が将来、彼女の為になるのだから・・・そう私は心に言い聞かせる・・・そして・・・


―――――――――――――――――――――


「負けだ・・・合格だ・・・・」


『何で!負けているのさああああああああ!!!!!!!』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます