精霊さん奮闘記 3

・・・・あの後、何とか、平静を装って、ムウと別れた・・・・本当にどうなってる・・・?あの子は私が作った子供では無いのか?・・・・いや、あの魔力・・・あの姿・・・私の子を間違える訳が無い・・・だとしたら、何故・・・


私は何度か、更にあの子を調べようとした・・・だが、魔法で調べようとしても、フウに打ち消せられ・・・直接調べようと、抱っこしようにも、拒絶され・・・もう寝込みに侵入してやろうと思っても、結界が張ってあり、入れない・・・魔力のごり押しで作られている結界だけど・・・私が作る結界より強度強いわね・・・


最後に駄目元で直接魔法で調べせてとお願いしてみたが・・・・『お父様以外、身体を見られたくない・・・』と言われて全て撃沈した・・・


いいよ・・・もう、どうせ生まれた時から、転移される位嫌われているし・・・・


それから、彼らが来て、1カ月・・・フウは・・・


ドーン


私が全力で結界を張った的を粉々にしているフウの姿があった・・・彼女に教えたのって、下級の火魔法だったわよね・・・何で!あんなに威力が出ているの!!魔力のごり押し?いや違う・・・それだけじゃない・・・私が教えた魔法の使い方を改良し、魔力伝導の効率化、増幅をし、威力を何倍にもしている・・・


・・・・魔法を研究し、威力等を挙げる所とか、ロイドに似ていると感じたが・・・それにしても、一カ月でここまで、成長するとは・・・


「お父、すごい?」


「ああ・・・すごすぎだろう」


そう言って、ムウはフウを撫でる・・・彼女は、一カ月で念話を使わずに喋ることが出来る様になっていた・・・ちなみに、身体も生後一か月とは思えない程、成長している・・・本当にどうしてこうなってる!!?


・・・取り合えず、落ち着こう・・・先程、下級魔法で、私の全力の結界を破られた今、この子に魔法講義をこれ以上して大丈夫なのだろうか・・・本当は彼女を誕生させようとした時、この妖精と精霊達の村で平和に過ごしてくれたらと考えていた・・・


だが、これだけの力・・・能力・・・隠しきれるかどうかも・・第一・・・彼女自身この村に留まってくれるかどうかさえ解らない・・・


私は意を決して、フウに聞いてみる・・・


『お父様が村に居るならいるの!!』


よし!なら、ムウを説得出来れば・・・


『でも・・・お父様、多分街に戻るよ?』


・・・何ですと・・・?!・・・結局、フウの言う通り、彼はフウが成長したら、この村を出ていくと言った・・・・


「街に戻ってもこの村の事は誰にも言いませんから!!」


いや、そうじゃなくて・・・この村に残ってほしいのじゃが・・・


「・・・?何故・・・?」


「いやそれは・・・」


馬鹿正直にフウの為に残ってくれと言うか?いや、フウが成長するまで、居てくれると言ってくれるているのに、さらに拘束するのはいかがなものか・・・何より、フウ自身、彼と共に生きる事を望んでいる・・・私が、引き留める事は筋違いだろう・・・・


だけど・・・・


私はそれ以上、何も言えず・・・そのままその日はそれ以上何も出来ずに終わった・・・


―――――――――――――――――――――――――――――――


夢を見ていた・・・懐かしい夢だ・・・その夢では、ロイドが色々な魔法を開発して、私がそれに対して、アドバイスしたり、議論したりして、2人で盛り上がっていた・・・


偶に、私の気まぐれで、魔法を使って遊んだりしている時も、苦笑いしながら、時に突っ込みをしながらも、楽しく喋ったりもした・・・


彼と契約したのは、神ドーラとの闘いの為だった為、結局、ほとんど、修行か、魔法の開発しかしていなかったが、それでも良かった・・・その時は・・・その頃だけは・・・・一人では無かったのだから・・・


「・・・平和になったらどうするの・・・?」


こちらの世界に来る前・・人間との戦争に勝つ為に・・2人で修行して切磋琢磨していた時に聞いてみたことがあった


・・・ほとんど、修行や鍛錬、魔法やスキルの開発しかしていなかった為、これから先の事をどうするのか、純粋に気になったのだ・・・


「・・・この力と開発した魔法を使って、人々の役に立ちたいな・・・」


「役に・・・?」


「・・・ああ、今は闘って、相手を倒す事だけを主軸に訓練しているが、魔法も力も使い方次第で、人々の役に立てる・・・・・土魔法は、土砂崩れを防いだり、あるいは、ダムを作ったり・・・色々使えるだろう・・・火や水の魔法だって同じ、物を作ったり、人々の暮らしを守るのにきっと役に立つ・・・」


・・・そう言って、彼は笑った・・・


「どんなものでも、使い方次第さ・・・力をそのまま使えば、凶器になり、人々を傷つける・・・だが、使い方を変えれば人々を守る力にもなる・・・俺は人々を守れる様な力の使い方をしたい・・・」


そして、彼は笑顔を止めて・・・こう呟いた・・・


「・・・・早く平和になるといいな・・・・」


――――――――――――――――――――――――


目を覚ます・・・本当に懐かしい夢を見た・・・


ロイドと契約して、こちらの世界に来る前・・・・絶対神・・・魔神ドーラの世界に居た頃の記憶・・・


結局、彼は、魔神ドーラと一緒に封印され、自ら生まれた世界に戻ることも出来ずに、その生涯を終えた・・・


『魔法も力も使い方次第で、人々の役に立てる』


『どんなものでも、使い方次第さ・・・力をそのまま使えば、凶器になり、人々を傷つける・・・だが、使い方を変えれば人々を守る力にもなる』


・・・・・私はフウを・・・私とロイドの子を信じてみようと思った・・・きちんとした力の使い方・・・それを教える・・・彼女がきちんと答えてくれるかは解らない・・・だけど、恐らく、昨日の様子から、外の世界にフウも行ってしまうのだろう・・・


だったら、最低限、身を守れる位の力を手に入れてもらわねば・・・・


この近年、人間達の力は物凄い勢いで、強くなっている・・・それこそ、私以上の人間も最低でも数十人は居るだろう・・・


彼等が、彼らと関わるかは解らない・・・・だが、あれだけの魔力、力を持っているフウは、少なからず関わってしまうに違いない・・・本人が望んでいようが、望んでい無かろうが関係無く・・・・


・・・だったらせめて、どんな状況でも生き残れる・・・それだけの力を与えておこう・・・


これが正しい選択かは解らない・・・私が教えた力をきちんとした形で使ってくれるかも解らない・・・だけど、せめて、親として、彼女には私の全てを伝えたい・・・・これが、私の選択だから・・・・


――――――――――――――――――――――――――――――


「・・・であるからして・・・」


「・・精霊さん、さっきの魔法陣で、複写というのがあったけどそれってなあに?」


「複写とは、一度作った魔法陣を全く同じ様に作り出す方法だ・・・やり方ひとつで一瞬で同じ魔法陣を作り出したり、使う魔力を少なめに作る事が出来たりする、結構応用が利く技術である・・・」


全てを教える・・・そう決めて、一カ月、彼女は、凄いスピードで、私の技術を覚えていった・・・


ってちょっと待って!!今結構専門的な事言ったよね!!何で、ついてこれているの?!!まだ、生まれて2カ月だよね!!何でそんなに喋れるの!!!


・・・喋り方は・・・喋り始めた頃に、念話で色々話して、矯正しておきました・・・ムウと・・・お父様と街に行ったとき、その喋り方だと、困るよと優しく諭したら・・・『・・・うん、解った・・・』と言って、口に出して喋る時は、なの言葉を使わなくなりました・・・


まあ、念話の時は偶に出てしまう時がありますが・・・これがまた可愛い・・・これは、念話が出来ないムウが聞けない私だけの特権・・・唯一、自慢できる事・・・それ以外は、ほとんど、何も誇れることが無いけれど・・・・


私は彼女の親にはなれなかったのだから・・・


授業が終わった時に、ムウがこんな事を言って来た・・・


「・・・俺・・・居るのかなあ・・・」


「どうした急に・・・」


いや何でいきなりそんな事を言い出す・・・ほら、フウが泣き出しそうになっているでは無いか!!


「・・いや、俺、魔法も何も教えられないし、頭何て、俺なんかよりいいし・・・俺が育てるより、妖精さんが育てた方が良いんじゃないか?」


その言葉を言った瞬間フウが泣き出した・・・!!お主はこれだけ慕っておる・・・フウに対し、何て言葉を吐くんじゃ!!


だが、それを表に出してはいけない・・・恐らく、叱りでもすれば、フウは私自身を怒るだろう・・・はっきり言って、初めて会った時の対応で、ムウを泣かせたことでさえ、念話でグチグチ言われている位だ・・・もう、これ以上は嫌われたくはない・・・


「はあ・・・お主は少し親としての自覚を持った方がいいぞ」


とにかく、親としての自覚を再認識してもらう・・・と言うより、フウにあれだけぴったりくっつかれている時点で!気に入られている時点で!!いいじゃないか!!羨ましいじゃないか!!何で私じゃないんだよ!!


「・・・いや、親の自覚って言われても・・・第一、俺、自分で満足に魔法すら使えないし、俺自身、弱すぎて、この子守れる自信も無いし・・・」


「・・・この子が成長が速いのは知っておろう、なのにお主から離れない理由を考えたことは無いのか?」


・・・そうだ、この子は成長が速い・・・それこそ、今の段階で、もはや乳幼児と呼ばれる大きさでは無く、幼児と言えるほど大きくなっている・・・第一、もう、喋れて魔法の倫理を考えられる頭脳すらあるのだ・・・自立心が芽生えても可笑しく無いのに・・・お主から片時も離れない理由を考えないのか!!


・・・私だって甘えて欲しい・・・・


「・・いや、成長が速いって言っても、歳は赤ん坊だろう?赤ん坊が親・・・自分より大人の人から離れないのは当り前じゃないのか?」


・・・赤ん坊が魔法の構造倫理について考える頭脳を持てると思っているのか・・?少なくとも、少しでも嫌だと思えば、赤ん坊でも少しは離れようとするだろう・・・だが、フウはムウから一瞬たりとも、離れた所を見たことが無い・・・


彼女はフウは彼に依存している・・・以前にフウにこんな質問した事がある・・・


『なあ、何で、毎日ムウに引っ付いておるのじゃ・・・毎日毎日、嫌じゃないのか?』


『?ここは私の居場所なの!』


『いや、お主なら、魔法で移動する事など、容易いじゃろう・・・わざわざ、一緒に居なくとも・・・』


『嫌なの!!私の居場所なの!!誰にも譲らないの!!!!』


そう言って、彼女は、癇癪を起した・・・魔力暴走だ・・・やばいと思った瞬間・・・


「フウどうした?」


そう言って、ムウがフウを撫でると一瞬で魔力暴走を抑えた・・・あれ程、衝撃的な出来事は生まれて初めてだった・・・この辺り一帯を吹き飛ばされる覚悟をしていたのに・・・


普通の赤ん坊、幼少期の魔力暴走は、近くに居る、その赤ん坊、子供より大きな魔力を持つ、大人が自身の魔力を使い、その暴走を抑える・・・だが、私でさえ、フウの魔力は大き過ぎて、抑えられない・・・


私の場合、スキルによって、知識や知恵・・・世界の理について頭に入っている状態で生まれた為、精神年齢が高かった・・・ロイドも転生者だった為、生まれた時から、精神年齢が高い状態だった・・・


だが、フウは違う・・・彼女の精神年齢は、赤ん坊と同じはず・・・例え、自我が芽生えて居ようと、それは変わらない・・・だから、魔力暴走を起こしかけた・・・だから、私は自身の身を犠牲にしてでも、被害を最小限にしようと動こうとした・・・・それを・・・


・・・頭を撫でるだけで、一瞬で抑える何て・・・


・・・それからムウは、フウが癇癪を起しそうになるたびに、頭を撫でたり、あやしたりして、止めていった・・・


・・・それは、つまり、逆に言えば、もし、フウがムウから離れてしまった時、どうなるか解らないという事だ・・・


「はあ・・・とにかく、始めにお主が世話を全部すると言ったのだ、やってもらうぞ!!」


そう言って、私は彼に親を続けることを了承をとらせた・・・・


本当は、私が育てなければいけないのに・・・・彼に頼らなくてはいけない・・・自分が悔しい・・・

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