エルフの里 それから

私はさっきの言葉について、謝った・・・


「・・・・・本当にすまない・・・」


会った事もない人に対し、些か言い過ぎた・・・・・・だが、奴隷にする様な人間をどうやって信用しろと?そう思うのだが、それを口に出そうとすると、何故だか、震えが止まらない・・・


私はさっきまで、どうやら気絶をしていた様だ・・・さっきまで、フウと名乗っていた子供と話をしていたのだが、その時に、何故か意識が遠のいていた・・・


そして、目を覚ますと、先程の子供が心配そうに私を見ていた・・・話をしている内に気絶をしてしまうとは、失礼な事をしてしまった・・


そう言えば、何故だか、子供・・・フウと話をしていた時から、意識が遠のいて、気絶するまでの記憶が無くなっているのだが・・・何か私、失礼な事をしていなかっただろうか?それが心配だ・・・


「大丈夫です・・・意識が戻ったんなら、帰っていいですか?」


謝った事に対し、大丈夫と言ってくれた・・・これで、さっきの様な事は起きないはず・・・さっき・・?さっきって何の・・・?・・・うっ、頭が痛い・・・


・・・・思い出せないのなら、大したことが無いのだろう・・・それより、他の問題を考えなければ・・・


・・・先程、この子供は、『人間達を街に返した』と気絶から回復した時に、この子供は言ってきた・・・


私が気絶して倒れていたわずかな時間で、街まで人間達を連れていって、戻ってくるなど本来はあり得ない。


だが、現実に目の前に人間はおらず、先程、フウが村が襲撃に会った際、目に見えない程のスピードで村に向かって行き、人間達を倒していたのを、私自身この目で見ていた・・・・


この子には常識は当てはまらない・・・だから、街に返したと言ったという事は、本当にそうしたのだろう・・・だから、私は慌ててこう言った・・・


「・・・すまないが・・・ここまでしてもらって、こう言っては何なんだが・・・この結界、どこまで大丈夫なのだ・・・?」


そう、村の住民の安全の確保、それが絶対に大丈夫かどうか、きちんと確認しなければ、例え、命の恩人だったとしても、そこはきちんと確認しなければ、万が一、不備があった場合、また他のエルフ達が危険にさらされる・・・それに・・・


私達としては人間達の復讐が怖い・・・本来なら、情報を持ち帰らせない為に殺すのだが、今回はそれもしていない・・・


移動したいが、長距離の移動など出来ない我々は移動できるのはせいぜい森の中くらい・・・


この森の中の移動など、たかが知れている・・・


先程、、結界を張ってくれたから大丈夫と言ってくれたが、それもどこまで通用するか解らない・・・


どん欲な人間はどんな手を使ってくるのか、解らないのだから・・・・


「いや・・・奴隷にされそうだったエルフ達を救ってもらい・・・街も救ってもらって・・・こう言うのは申し訳ないのだが・・・」


・・・私はそう言いながら、頭を下げた・・・そうだ、ここまでしてくれたのに、更に、不安材料を取り除いてくれとお願いすること等、無礼にもほどがある・・・そのことは重々承知していた。


だが、この不安材料を残したまま、帰ってしまわれたら、他のエルフ達も、眠れない日々を過ごしてしまう・・・村の長として、それだけは阻止しておきたかった・・・


すると、彼女は、私に突起物が付いた、石を渡してきた・・・


「解りました・・・これを渡しておきます・・・」


「・・・これは・・・?」


私は訳が解らず、そう聞いた・・・


「このボタンを押しながら喋ってくれません?」


そう言って、突起物を指さしてくる・・・これを押しながら喋ればいいのか?


「これでいいか」


『これでいいか?』


すると、いつの間にか持っていた、彼女が持っていた渡された物と同じ石から、同じように声が聞こえた・・・


これは・・・?一体何なのだ・・・?それから、彼女はこの石について説明をした・・・


何でも、この石は、離れた場所でも、話が出来る様に作られた、魔道具らしく、それを使って、何かあったら、連絡をくれれば、対処すると言って来た・・・


「だが、緊急事態の場合、そんなこちらに来る時間の余裕は・・・」


そういうと、彼女は一瞬消え、次の瞬間目の前に現れた・・・


「転移魔法があるので大丈夫です・・・他には・・?」


転移魔法・・・?我らエルフですら、数百年魔法を使い続けてきた様な熟練者しか使えなかったあの魔法を使えるのか?


今の里には居ないが・・・昔・・・大勢のエルフ達が居た時は、数人程確かに使える者はいた・・・だがそれでも大勢のエルフ達が居た中で数人・・・魔法を熟知した者・・・魔力を大量に持っている者しか使えなかった・・・


・・それだけ難しいはずの魔法を子供が・・・?


・・・・この者は・・・我らと同じ長寿者なのか・・・そう言えば、聞いた事がある・・・ある種族は、何百年生きても、それほど成長しない種族もいると・・・この者がそうなのか・・・?


どちらにせよ、彼女はもはや、私達の理解の外の存在である事は明白だ・・・推論を考えても無駄だだろう・・・・


・・・この転移魔法は距離が遠ければ、遠い程魔力を使うはずだが・・・・先程の魔力量を考えれば、心配は無いだろうな・・・・


「ああ・・・大丈夫だ・・・・」


私が・・・そう言うと・・・彼女は、文字通り消えていった・・・本当に居たのか解らない程、あっさりと彼女は姿を消した・・・


白昼夢でも見ていたのか・・・ふとそんな風に思ったが・・・だが、手にある石がこれが、夢ではない事を示していた・・・


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早速、問題が起きた・・・森の食料が殆ど無くなっているのだ・・・


前までは、戦いが出来るエルフ達が獲物や自然に生えている果物や食べられる薬草などを取って来ていたのだが、今はほとんどのエルフが闘えない者がほとんどだ・・・・


なので、獲物も取れず、果物等だけでは、もう他の者を養えない状態になっているのだ・・・


・・・・・・私は仕方なしに、連絡を入れる・・・・


『・・・・それって、村の問題ですよね・・・私は結界に不具合が起きたら、連絡をする様にという意味で渡したのですが・・・』


・・・すまない・・・だが、このままだとエルフ皆が飢え死にしてしまうのだ・・・私は恥を忍んで頼み込む・・・


『・・・解りました・・・待っててください・・・』


そうして、彼女はすぐに転移魔法で村にやってきた・・・こんな一瞬で、転移魔法を使うとは・・・やはり彼女は凄い・・・私が彼女の魔法に感心していると・・・一瞬、太陽の光が遮られた・・・


何が起きた・・?私はよく見ようとする・・・見ると巨大な物体が目の前にある事が解った・・・更によく見る・・・端の方を見ると、尻尾と顔がある事を理解できた・・・ああ、これ生物なのか・・・


もっとよく見る・・・この生物は、翼があり、そして、牙を持ち・・・鱗は伝説のドラゴンの様な・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


目の前にあるのが、私は、巨大なドラゴンだと理解した・・・


ちょっと待って!えっドラゴン?!


「これ位あればしばらく大丈夫でしょう?」


いや・・・その・・・これどこから出しました・・・?


えっ魔法・・・?その前にこれ、ドラゴンですよね・・・どうやって手に入れて・・・?


訓練している時に狩っていたい物だって・・・ドラゴンですよね?伝説の・・・狩れるものなんですか・・・?


私が呆然としていると・・・そのまま、彼女は消えてしまっていた・・・後には、私と同じように、呆然としている仲間のエルフか先程の少女を神の様に崇め始めているエルフのどちらかだった・・・


――――――――――――――――――


やっぱり、この子は、神の使い・・・いや、もはや神が生んだ・・子供なのではないのか?・・・その思いは、日が経つごとに強くなっていった・・・


ドラゴンを出してもらい1週間後・・・いくら大きい、ドラゴンとは言え、数十人の食料となれば、すそれなりに消費されてしまった。しかも、肉である為、長期保存も難しい。一応干し肉等を作ったりしてもいるが、それでも長い目で見れば、一時凌ぎにしかならないことは明白だった・・・


私達は・・・話し合った結果、フウと言う、奇跡を起こすあのお方に・・・また、相談する事になった・・・・


あの方はまたしても、一瞬で目の前に現れたかと思うと、目の前で瞬きする間もなく畑を作り出した・・・先程まで、木々が生い茂っていた場所が、気づいたら広い農地にさせたのだ・・・


「・・・これなら、いちいち、食料を置いていく、必要性はないでしょう?この野菜達は、一日で育つから・・・種さえきちんと残して植え直せば、問題なく生えてきますから・・・」


この野菜・・・・見たこともない野菜なのですが・・・・


「私が作ったのだから、見たことが無いのもしょうがないでしょう?」


・・・・そうなのですか・・・野菜って増やすだけじゃなく・・・新しい種類を自分で作れるですね・・・・


「・・・まあ、味はお父様に献上している様なものじゃなくて適当に作ったから期待しないでね・・・」


そう言って、残して言った野菜達は・・・ものすごくおいしかったです・・・・


これで、食糧問題は解決をしたが、次は戦力の問題に行き当たった・・・あのお方が作った結界があるから、人間はこの村にはやってこないだろう・・・だが、問題視しているのは、その為の・・・人間達と闘う戦力では無い・・・


この森は、魔物が強い、その為、それを理由に人間は余り寄り付かなかった・・・だから、私達の住処にしていたのだ。


だが今は村の中で、闘える者は皆無になっている。以前は弱い魔物だったら、ある程度闘える者もいたが、今は闘える者すらほとんどいない状態・・・その状態で万が一魔物に遭遇したら・・・


それどころか、魔物が村に入ってきてしまったら・・・いくら結界があるとあのお方は言われていますが、その結界が万が一何かあった時に自衛が出来なければ・・・・


そう相談したら、あのお方は、自立型のゴーレムを出してきました・・・・えっゴーレム?


「これで訓練をしたら?」


と言って来ました・・・あの・・・危険じゃないんですか?魔物ですよねこれ・・・


えっ『大丈夫』?『それに、これは私が作ったゴーレムだから、魔物じゃない』?このゴーレムは貴方様が作ったのですか?・・・


・・・・ゴーレムって作れるんだ・・・


早速、試しに、腕に覚えがあるエルフ達が挑んでみたが・・・一瞬で倒される・・・強すぎませんか・・・?!


「・・・・ちょっと調整する・・・」


そう言って、かの・・・フウ様は、大小様々なゴーレムを作っていきました・・・何でも、強さに応じてゴーレムを複数作ったと言いました・・・えっ今の一瞬で?作ったのですか?!


余りの多さに管理が難しいと言ったら、一瞬で私達の声で反応する様にし、管理しやすくしてみせ・・・ゴーレムとの訓練所はどうしましょうかと相談すれば、一瞬で訓練所が目の前に現れました・・・・


今は訓練用の数台を残し、残りは倉庫に保管する事になりました・・・・


・・・そんな日々を過ごしていたある日、別の所に村を作っていたエルフが、森で迷っていると言う話を聞いた・・・


何でも、いつも通ている道なのに、気づいたら、知らない道に出たり、知らない場所に居たりと、自分の村にすら戻れない状況だと・・・森で道に迷っていたエルフに聞いた・・・・


その事をフウ様に相談すると・・・魔道具越しに・・・


『ああ・・・結界に作用するのはあくまで印を付けた者のみだから・・・・というより、他にもエルフ居たんだあ・・・・』


そう言ってきました。その後、フウ様は私達の村に来て何時もの様に来たと思ったら、いきなり魔力を一瞬だけ放出しました・・・すると・・・


「終わりました・・・この森に居るエルフは全員森で迷わなくなりますし・・・この里にも入れます」


そう言い放ちました・・・


「えっ?今何を・・」


したのかと聞こうと思って頭を振った・・・・神の子が考えていること等、私ごときが解るはずが無い・・・考えても無駄だな・・・・・・・・・


そう、フウ様は神の子・・・その認識に誤りは無いと確信した・・・


その後、他の村のエルフ達は自分達の村に迷う事は無くなった。何をしたのか聞かれたので、私は神の子の奇跡を全て話した・・・話を聞いたエルフ達は信じていないようだったが、私達の里に来た時、ゴーレムを見せたら、目を見開いて驚いていた・・・


その程度で驚いていては、神の子に会った時には失神してしまうぞ・・・


それから、森で迷っていたエルフ達から、他の村にも神の子の噂が広がり、その噂を聞いたエルフ達が私達の村やって来て、住民になっていった・・・結果、私達の村の人口は段々と増えていった・・・


それからも、私達は強引に用事を作り、フウ様を何度も呼んだ・・・・無礼だったかも知れなかったが、私達にとって、フウ様は明日が見えない私達に希望を与えてくれた救世主であった・・・


もし、万が一私達の里に訪れ無くなってしまったら、私を含め、崇拝しているエルフ達全てが、希望を失うだろう・・・・フウ様の存在はそれ程、私達にとって大きかった。


そんな中、フウ様はいつも、お父様と呼んでいる自らの主の事を話しておられる・・・


フウ様は人間だと申していますが、恐らくそれは仮のお姿・・・恐らく神が変装しているお姿なのでしょう・・・そうで無ければ、今までのフウ様の力の数々が説明付きません・・・


何故人間のお姿をしているのか解りませんが、恐らく深い理由があるのでしょう・・・


一度でいいから直にお目にかかりたい・・・


そう思って過ごしていると、フウ様から連絡が・・・えっ?


おとう・・・主様がこちらに来られる?すぐに転移するから、出迎えの準備をしろ?!・・・・はっ?!解りました!準備します!!


皆の者!!神が私達の村にやってくるぞ!!

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