魔王と魔神

私が魔王が居る部屋に入るとその瞬間、部屋から一度に襲える量を超えた数の魔族が私達に襲い掛かって来た・・・


これだけの人数の魔族が居られるとは・・・この部屋だけやたら広い?空間魔法で部屋自体を広くしているのかなあ?


しかも・・・ここに居る魔族達・・・誰も彼も、前に闘った魔族達より強い・・・でも・・・


(ただ強くなっただけ・・・)


確かに魔力の量、身体能力は比べられない位向上されていた・・・だけど、本当にそれだけだ、全然使いこなしていないのだから・・・・今の私ならば・・・


(こんなあっさり殺せる・・・)


私は魔族を自分でも驚く位あっさりと殺す・・・・1000を超える魔族達は、バクバ王の知識から手に入れた魔法を駆使して・・・一瞬で骸に変える・・・


感知魔法を駆使して、この部屋に他の魔族達が居るのは解っていたので、魔力を限界まで上げてはいたが・・・ここまで簡単に倒せるとは・・・1000を超える魔族達一人、一人の居場所も把握し・・・襲い掛かって来た魔族達だけを攻撃してきたが・・・それだけでほとんどを倒せるとは・・・


・・・・だが、ここに居た、魔族全員を倒した訳では無い・・・それに、今から、魔王と闘うのだ・・・これからが本番だ・・・それに・・・私の予想が正しければ本当の敵は・・・・


「久しぶりですね・・・それじゃあ、死んでください♪」


・・・まあ、大丈夫かお父様いるし♪


私はお父様が居る場所なら絶対に負けない!そう確信をしている・・・だって・・・私は・・・お父様の奴隷なのだから・・・


―――――――――――――――――――――――


我は先程『死んで下さい』などとふざけた輩を殺す為にその場所に転移魔法で一瞬で移動した・・・


不用意に我に近づいたお前のその行動・・・その全てが悪手の極みだ!!


だが、無礼な輩を切り裂くと思われた我の攻撃は空を切った・・・


そして、気づく、そいつが、後ろに居る事に・・・我は後ろを向く・・・だが、気づいた時には、左側に気配を感じた・・・左を向く・・・次は上に・・・上を見る・・・次は右に・・・次々と移動していく輩に翻弄されていく我・・・今度は・・・どこに・・・


「・・・・・・・・・面倒だから、攻撃するね・・・・・・・・」


その言葉を聞いた瞬間・・・何か途轍もない衝撃と痛みを受け・・・気付いたら我は空を飛んでいた・・・恐らく、気づかない内に攻撃を受けていたのだろう・・・


何故だ!・・・我は強くなったはずでは無いのか!!誰よりも強く!!下手をすれば神の領域すら足を突っ込んでいたと自負出来た程強くなったはずなのに何故!!・・・


・・・・我は痛みに耐えながら急いで起き上がる・・・・・その時に気が付く、子供に前には無かった模様が身体に浮かんでいるのに気付く・・・あの紋章は!!


「・・・・・・・貴様・・・それが何か、解っているのか・・・」


「・・・?ああ、これ!いいでしょう♪お父様に頼み込んでしてもらったんだ♪」


何故・・・喜んでいるんだこいつは・・・この紋章は・・・


「それは、主従契約の紋章なんだぞ・・・」


「?だから?」


そう、首を傾げながら答えた・・・基本紋章を浮き出るのは従者の方のはず・・・まさか・・・・あの後ろにいる子供が・・・・


「・・・・・・後ろにいる奴が、主人なのか・・・」


「ええ!お父様です♪」


その瞬間我の心が恐怖に歪んだ・・・何だと・・・つまり後ろに居る子供がこいつより強いという事か・・・!!


「そんな馬鹿な事が!!」


我は叫びながらも、子供に襲い掛かる・・・今度は、生き残った魔族達も同時にだ・・・


だが、苦し紛れの攻撃など全く通用せず、すぐにまた吹き飛ばされ、床に叩きつけられる・・・他の魔族達もほとんどが、今の攻撃で死に絶えた・・・


『負け』その二文字が頭の中に掛け捲る・・・


今度あやつとまた対峙した時、絶対に負けない様に準備をしてきた・・・それなのに・・・今のこの状況は何なのだ!!


・・・あり得ない!!我は神・・・ドーラ様の力を限界まで引き出したのだぞ!!その上、我自身の力も鍛錬で向上させていった・・・そして、その配下達も・・・・その・・・我が・・・我の軍隊が・・・負けること等あり得ない!!・・・絶対に・・・なのに・・・・


魔王の頭の中で、何度も、何度も、絶望が襲う・・・今度は勝てる・・・いや絶対に勝つ・・・そんな思いを抱いて今日まで自身を強くさせていった・・・誰にも負けない・・・その自信もあった・・・だが、その自信は、脆くも崩れ去っていた・・・


もはや、魔王に・・・現状を理解するだけの理性は残されていなかった・・・


・・・・・あり得ない!!あり得ない!!あり得ない!!あり得ない!!あり得ない!!あり得ない!!あり得ない!!あり得ない!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


頭の中でこれまでで最大級の絶望を感じたその瞬間、今まで我が自我を残す為に抑えていた力が全身に巡っていった・・・


力が全身を駆け巡っていくと同時に・・・我の精神が消えていくのを感じる・・・我の全てが消え去っていく・・・だが、それすらも、抗う気力を我には残っていなかった・・・そして・・・


・・・・・あり得ない・・・


それが消え去っていく我が最後に考えた言葉だった・・・


――――――――――――――――――――


(出て来た・・・ここからが本番・・・)


魔王が変容し始めるのを見て私はそう思った・・・


とは言え、何故いきなり変容したのか解らないが・・・?


せっかく、魔王にもお父様の契約自慢しようとしたのに・・・何か怯えだしたし・・・しかも、その後、雑な攻撃をしてきて・・・勝手に自滅をしたし・・・本当に・・・何で?


まあいいか、おかげで本来の想定していた敵が目の前に出てきてくれたのだから・・・


魔神ドーラ・・・いや・・・記載されていた記録からするに、世界を滅ぼそうとしていたから、邪神と言った方がいいのかな?まあ、どっちでもいいか・・・こいつも倒せば全部終わりだしね♪


「・・・・・ようやく表に出てこられた・・・・・長い長い時を経てようやく・・・」


そう言えば、この部屋にあった魔族達の死体・・・そして少数の生き残った魔族達も、魔神の復活する為に生贄にされた様ね・・・まあ、どうでもいいけど・・・


「・・・・・・・・・・貴様・・・・・奴に似ているな・・・・何者だ?」


奴って誰よ?


「私はフウ・・・それ以上もそれ以下でもないわ・・・」


「・・・・・そうか、フウよ・・・」


次の瞬間、とてつもない衝撃を私の身体に襲った・・・


「神の再誕祝いに死んでもらおうか・・・・」


・・・・・・・・・さて、私の力、今の魔神にどこまで通じるかしら・・・・


‐――――――――――――――――――


我は神ドーラ・・・ある邪神の使いに封印された神だ・・・・


私は邪神を倒す為この世界を作り、全ての世界を消滅させ、浄化しようとしただが、あの邪神の使いに邪魔をされてしまった。


今私は、数えきれない程の年月をかけ、封印を解く為に様々な事をしてきた・・・その為に使っていたのが、魔王を使った方法だ・・・・


元々魔王は、この世界を維持する為の中枢を担う為に作り出したのだが、今の私は、その魔王と繋がっており、魔王を通して世界と干渉できるようになっている・・・


あの邪神は我を封印した後、この魔界と言う世界を消さず、共存と言う形で世界に残している・・・


それがあいつ等の甘さであり、つけ入る隙だった・・・


まあ、この魔界を消したら、他の世界・・・


向こう側の世界も含めて消える様に封じをされる前に楔を打ったから、魔界を消せば、ほとんどの世界が消えるがね・・・・


だが、それでも消せば我は消える他なかったのだ・・・それを決断できなかった邪神には感謝せねば・・・


この我が作ったこの世界が残っている事により、現世の魔界に干渉が出来た為それを利用しつつ、少しずつだが、我は自身の封印を解いて来た。


まあ、封印をして来た奴の精神がまだ我の本体の中に残っているが、関係ない・・・時間をかければ、どちらにしろ封印は解かれる運命にあるのだから・・・


それから更に時間が経ち、我の恐ろしさが人間達に忘れられようとし始めた頃、ようやく、我の力が外に出せる程封印が解かれ、その力を受け入れる器を持つ魔王に出会えた・・・


ようやくだ・・・現世に干渉できる・・・・そして、ゆくゆくは力を完全に取り戻し・・・神の世界に復讐を・・・・


・・・・・・・・そう考えていたんだが、何か、子供に邪魔をされたんだが・・・何者だあいつ!・・・


100万の軍勢に我が力を持った魔王・・・勇者と言うまがい者が現れた所で問題にならない位の戦力だったはずだ・・・


そいつらを撃退できるあいつは一体・・・それに何故だ・・・何故あやつを見ると、封印をした、魔族と人間のハーフと一緒にいた精霊を思い出す・・・・?


・・・・・・・このままでは駄目だ・・・・少なくとも、あやつを殺さなければ、向こうの世界は我の思い通りにはならない・・・・こやつを使い捨てにしてでも、絶対に殺さなければ・・・・


・・・そう・・・絶対に殺さなければ・・・


・・・あやつに出会ってから、半年後、結局あやつの情報は見つけることが出来なかったが、魔王自身を操り強化させることに成功した・・・・


その所為で、こやつの寿命は短くなってしまったがな・・・本来せっかく出来た我に合う器だったが、あやつを殺す為に犠牲になってもらおう・・・


だが、あやつの情報は未だに見つからん・・・


こうなっては、向こうの世界を全て滅ぼす勢いで進行して草の根をかき分けてでも見つけてやる・・・


本来の予定とは、かなり違くなってしまった・・・これでは、復活するのに、また時間が掛かってしまうが、今の状態でも封印自体は弱くなっている・・・


時間をかければ完全に封印は解けるだろうが、計画を邪魔してくれた・・あやつを殺さなければ気がすまない!どんな手を使ってでも殺してやる!


もうそろそろ、向こうの世界に進攻しようとしていた所で・・・あやつが我の城に侵入してきた・・・


ハハ・・・何て言う幸運・・・こちらから探さずとも、向こうからやって来たわ・・・


絶対に殺す!そして、我は魔王とその下僕をあやつにぶつけた・・・・・・・・・・


何故、負ける?我が力を与えたのだぞ・・・何故地面に這いつくばっている・・・


・・・何故・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もういい・・・こやつを今殺せるのなら、未来のこと等考えなくてもよい・・・・恐らく今無理に現界すれば、一時的にこの世界に我の身体として、表に出せるだろう・・・だが、私自身は・・・


・・・だが、今のあやつを見ると・・・そんな事どうでも良いとさえ思える・・・


我は、魔王に干渉し感情を爆発させた・・・感情の高まりは我の力になる・・・周りにいる我の力の一部を与えた魔族を身体ごと、生贄に捧げ・・・そして、我は一時的に復活をした・・・


「・・・・・ようやく表に出てこられた・・・・・長い長い時を経てようやく・・・」


そう、我は呟いた・・・予定外だったが、長い年月をかけ、表に出る事が出来た今を噛み締めた・・・


だが、それを噛み締めている時間はない・・・・


「・・・・・・・・・・貴様・・・・・奴に似ているな・・・・何者だ?」


すぐに戦闘に入らなくてはいけないが・・聞かずにはいられなかった・・・何故?お前は封印をしたあの二人に似ておる・・・


「私はフウ・・・それ以上もそれ以下でもないわ・・・」


・・・答える気は無いか・・・だったら・・・さっさと殺す!!


「・・・・・そうか、フウよ・・・神の再誕祝いに死んでもらおうか・・・・」


我は攻撃を叩きつけながらそう言った・・・

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