魔王と勇者

我は魔王だ・・・魔族を束ね、魔物を使役する存在だ・・・最近は魔神ドーラ様の力も取り込み全世界最強だと自負している・・・


そして、今我は全魔界を支配し終えた・・・だからこそ、我は魔界の先にある世界に興味を抱いた。


魔族以外の者達・・・人間と言う下等生物が支配する世界だ・・・何でも、ドーラ様以外に神と名乗っている者が作った世界で、今まで我以外の魔王が幾度となく攻め込んだのが失敗。


しかもその度に勇者と言う雑魚がこの魔界へやってきて幾度も歴代の魔王が負けて破れているという失態を犯している・・・まあ、今までの魔王が魔神ラード様の力を受けきれない器でしかなかったのだそれだけ弱い力を持つ事しか出来ない魔王が負けたとしても仕方がない事だ・・・・


我は今までの歴代魔王全てが成し遂げられ無かった、世界全ての支配・・・いや・・・その先にあるとされる・・・更なる世界の支配・・・それらを目標に魔界全領土から歴戦の兵士と魔物を集めた・・・


その数100万!これだけ居れば、向こうの世界全てを容易に支配できるであろう・・・我は兵を引き連れて魔界と現界を隔てる結界に来た・・・


本来なら、結界が弱まる時期が来ないと向こう側に行けないのだが、今の我は、魔神の力を持っている・・・これなら・・・


ドン!・・パリン・・・


壊すことが出来る・・・こだこれの程度の壊れ具合では、ドラゴンが入れんな・・・もっと広くしておこう・・・


ドン・・ドン・・・・ドン・・・


この位やればいいだろう・・・最初は斥候部隊が行け、そして向こう側の状態を報告しろ!!


・・・・戻って来たか・・・それで、向こう側の様子は?・・・何?結界の先は荒野でその周囲には生き物すらいないだと・・・くく・・・好都合だ・・・これで、結界に入ってすぐ攻撃されるという憂いが無くなった!!全軍突撃!!!!!


向こうの世界に着いて、すぐ近くに魔力の揺らぎがあるのを感じた・・・


(何だ・・?)


・・・・我は何故だが、不安を感じ、その場所の近くまで行く・・・すると、我が軍の近くに隠蔽魔法を使って隠れている生きた生物がそこには居た・・・


「・・・何故ここに生き物がいる?」


そう、疑問に思いながらも、剣を思いっきり叩きつける・・疑わしきは全て罰せよ・・・どんな相手かは知らんが・・・骸になれば何も出来ないだろう・・・


我の・・・ラード様の力を持つ我の攻撃に対応できる者等、神の力を持つ者以外おらぬ・・・そう考えたからこそ・・・魔王は攻撃をした・・・・・だが、現実はそうでは無かった・・・斬撃は避けられたのだ


「ほう、羽虫では無いという事か・・・」


いつもは、大体一撃で終わらせていた戦闘、最近は魔神様の力にがさらに増し、もはや戦闘を行うことなく、威圧だけで相手を制する事も多かった・・・それなのに・・・


この者は我を臆することなくそれどころか、我の攻撃を避けて見せたのだ・・・


ドーラ様の力を得て、我の避けられるとは・・・今までこの様な強者見たことが無い・・・


こやつ・・・魔族の魔力が混ざっているようだが、もはや同族でも関係ない・・・・疑わしき者は全て死刑!・・・はっきり言って、進軍している最中の所にうろちょろしている者が悪いのだ・・・大人しく死ね!!


(本来なら、久々の強者との闘いを1対1で楽しむところだが、今はこの世界全てを支配する為に戦争するつもりだ、あまり時間はかけられん)


ドーラ様の力を得てきたら、全て一撃で敵を倒してしまう様になってしまった今、これだけの強者と1対1で闘いと言う欲求をこれからの進軍を考え我慢する・・・


我は念話を使い、後ろの魔物と魔族に指示を出す・・・・この者達は我の魔力で強化していると同時に、我の命令には全て逆らえない傀儡だ・・・我が命令すればこの者達は死すら怯えん


我はもう一度剣を振る・・・避けたな・・ドラゴンにブレスを放たせる・・・これも、耐えるか・・・なら、数で押し切ってみようか・・・我は一軍団を先程の生き物に行かせる・・・そいつらを奴が相手している間に、魔物事切りつける・・・傷は与えたが、死なない・・・我の攻撃すら耐えるか・・・・・・・・厄介な・・・・・・


我は苛立ちながらも、更に攻撃を続けるのであった・・・


――――――――――――――――――――――――――――


「・・・・被害は・・・」


「全軍25万戦死、内10万が大小様々な怪我を負いました・・・」


その報告に我は頭を痛めた・・・先程の生き物は死ぬ間際逃げて行ってしまった・・・これでは我達の存在がこの世界の住人にばれてしまう・・・


奇襲を行うという当初の作戦はもう出来ないだろう・・殺せなかったことが本当に悔やまれる・・・


しかも、今回の起きた被害がたった一匹の生き物にもたされたものだという事も拍車をかけている・・・一匹でこれ程の被害・・・・


これ程の力を持つ者が居る世界・・・また一人でやってくるのなら、何かしら対応策はとれるが、一軍団で来られてしまっては、対応など出来ず・・・そのまま全軍が壊滅してしまうだろう・・・はっきり言って、このまま進軍するのは難しい・・・・我自身も結構な傷をもらってしまった・・・


「・・・一度、魔界に撤退する・・・・おい、シャドーを呼べ!!」


そう言うと、影状の魔物が我の近くに現れた・・・この者、身なりこそ魔物にしか見えないが、かなりの知性を持っている・・・なので・・・


「この世界の情勢を調べろ!後、先程の生き物の情報を絶対取ってこい!!いいな!!!」


その言葉を聞くと影状の生物は消えた・・・それを確認した魔王は、そのまま魔界に帰っていった・・・今まで以上の力を手に入れて、この世界に進軍する、その時まで・・・


――――――――――――――――――――――


「何で言わなかった!!!」


勇者カールは怒っていた・・・


今俺は魔の森で修行をしている・・・そんな中、今久しぶりに神であるラーフが夢の中に出てきたのだが、そいつがとんでもない事を言ってきた・・・


「魔王がこの世界に来ていました・・・・」


「はっ?」


俺は素っ頓狂な声を出していた・・・・ラーフお前、魔界と現界の間には結界を張っているから、結界の揺らぎが起きる時期まで大丈夫だって言っていたよな・・・?


「・・魔王が魔神の力を取り込んで、強引に壊しました・・・」


その言葉を聞きいた俺は・・・頭に血が上り・・・冒頭の言葉を言ったのであった・・・


「いつだ・・・」


「昼過ぎに・・・」


「何で言わなかった!!!」


それは、もう既に魔王がこの世界に来ているという事ではないのか?俺は慌てて起きようとする・・・


「行ってどうすると?」


「そんなの倒すに・・・」


「歴代最強の勇者でも倒される力を持った者でもですか?」


そう、ラーフは言った・・・・何だって・・・歴代勇者最強ってあれだよな英雄クラスを10人相手で試合をし勝ってみせたという・・しかも、人間相手に勇者の力はあまり役に立たないから・・・その勇者は素の状態で勝って見せたという伝説の勇者だ・・・・そいつが負ける?


「今の魔王の力は今までの比ではありません・・・」


「何?」


「魔神ドーラの力をこの魔王は取り込みました・・・」


魔神ドーラ・・・ラーフから話だけは聞いている・・・全世界・・・この世界所か、別世界すら破壊してみせようとした、最強、最悪の神であると・・・


「今まで、魔神ドーラの力を完全に取り込めた魔王など皆無でした、だからこそ、私が勇者として素質ある者を見つけ、育て上げてこれまでは魔王を倒してきました・・・・・・・だが、今回は例え鍛え上げた勇者だとしても、勝つビジョンすら見えませんでした・・・だからこそ、今回は、勇者では無く、ディエティドラゴンを闘わせる予定でした・・・」


・・・・?何だ?さっきから、会話に違和感が・・・そうだ・・・最後が全て過去形になっているのだ・・・『魔王が来ていました』『ディエティドラゴンを闘わせる予定でした』って全てが過去形なんだ・・・何故?


「・・・言葉の通りです・・・今この世界に魔王は居ません・・・フウが闘って魔王を魔界へ追い返しました・・・・」


「・・・・・・はっ?・・・えっちょっと待って?神の加護を持っていないあいつが追い払ったの?」


「はい・・・」


「どうやって・・・」


っていうかあいつそんなに強かったの?まあ、出会った時にあれだけ殺気を放ってたやつが弱い訳ないのは解っていたが・・・だからと言って、魔王を・・・倒すなんて・・・


「そこまでは解りません・・・・フウの屋敷に居る者の頭の中を覗かせてもらったのですが・・・」


「おい!!」


まあ、緊急事態だから仕方ないか・・・


「その者の情報では怪我をして帰って来たようです・・・・」


「そうか・・・」


そりゃあ、魔王と闘えば、そうな・・・


「・・・本当に怪我だけで済んだのが奇跡です・・・魔王以外に100万の軍団がいましたから・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと待って・・・・


「えっ・・・?100万の軍団・・・?やってきたの魔王だけじゃないの?・・・」


「・・・逆に聞きます・・・魔王だけで進軍してくるとでも・・・」


いや・・・確かに・・・それは有り得ないだろうけど・・・だからと言って・・・


「・・・100万もの軍団か・・・」


「ええ・・・しかも、魔力の強さから、恐らく・・・全て精鋭の魔族や魔物です・・・」


その言葉に俺は頭を抱える・・・いや!本当にあいつどうやって追い返したんだよ!!


「続けても・・」


「ああ・・・」


もう俺はそれしか言えなかった


「魔王と100万の兵士がやってきましたが、何割かの魔力は消えていきました・・・恐らく亡くなったのでしょう・・・それから、残った者はほとんどが魔界へと引き返したのでしょう・・・そのまま結界の外側へと消えていきました・・・まあ、いくつかの魔族達は残ったようですが・・・」


・・・・・・・・それだけの兵力差と闘って怪我で帰ってこれたのかよ・・・・しかも、何割かを倒して・・・・・・


「・・・・・・・・・・なあ、俺いらなくねえ・・・?」


ラーフにそう問いかける・・・はっきり言って、フウに任せた方が全部うまくいきそうな気がして来た・・・


「・・・・・・・・・・フウは魔王と闘い怪我をしたのですよ・・・・・・・・・・」


「俺が行ったらどうなってた・・・」


「・・・・・申し訳ありませんが・・・どう見積もっても死んでいましたね・・・一撃で・・・」


「跡形も無く?」


「・・・恐らくは・・・」


「ちなみに、鍛えれば俺は勝てる?その魔王に・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「ねえ、何か言ってよ・・・・」


「私がお願いできるのは勇者のみ、あの子がどう動くかは解りません・・・だからこそもっと鍛えて・・・・」


「・・・そう言うって事は、あの子が動く方が解決出来る可能性が高いって事何だよね?」


俺のその言葉に、ラーフは目をそらす・・・


「ちなみに今回ラーフはフウに対して追い払うようにお願いしたの?」


「いいえ・・・」


そうだよな俺と聖女以外基本的にお前の声聞こえないんだもんな・・・


「・・・・だったら、今回も黙っていても勝手に解決するんじゃない?」


というかこちらが何もしなくても、動いて勝手に解決しそうである・・・


「勇者が・・・そんなのでは・・・・・」


「ちなみに俺、勇者の力使えなければ、英雄クラスと差しで闘ったら負ける実力しかないからな・・・・今の所・・・・・・・歴代最強って10人の英雄クラスと闘って勝って見せたんだよな・・・・・・・そいつが負けるのに俺が勝てるのか・・・・・」


「・・・・・諦めるのですか・・・?あの時勇者になる時に言った言葉は嘘と・・・」


「俺だって諦めたくねえよ!!!だけど、どうやったって・・・」


「ディエティドラゴン・・・今セシルと二人で闘っていますよね?」


ディエティドラゴン、神の使いとされているドラゴン、実際ラーフも結構そのドラゴンについて知っている様だ・・・そのドラゴンに今、挑んでいる、一緒に魔の森に滞在している英雄クラスのセシルと一緒に・・・ちなみに、こうやってディエティドラゴンに挑んで鍛えてもらうのは勇者恒例行事らしい


とは言え、勝つ事を目的では無く、あくまでも鍛える事を主体の為、歴代勇者でも本当に勝てたのは一人だけだ・・・


ちなみに、ディエティドラゴンが魔界に出向いて、何故魔王退治しないかと言うと、魔界とこの世界の境界に体が大きすぎて入れない事が1つ・・・


まあ、その境界も魔王が壊して見せたみたいだが・・・・どれだけ巨大なんだよ魔王の力・・・


後、もう一つが例え戦った場合、ディエティドラゴンが闘った場所は全ての生命が住めない程、ダメージを受ける・・・その為ディエティドラゴンが闘うのは最終手段と考えているらしい・・・まあ、その最終手段を使う前にフウが追い返したのだがな・・・


「ああ、それが何か・・・?」


「あのドラゴンは、歴代最強の勇者が仲間と共に戦い負けを認めさせた話は知っていますね・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「その歴代勇者すら仲間と闘い倒した・・・ドラゴン、ディエティドラゴンを一人で倒せるようになる、そうすれば今の魔王を倒せる可能性が見えてきます・・・」


「確実に倒せる訳じゃなく・・・・」


「あくまで可能性です・・はっきり言ってディエティドラゴンより強いですよ、今の魔王は・・・」


・・・何だよその無理ゲー・・・・


「それに前に確か、セレーンがそのディエティドラゴンをフウが一人で倒していたと言ってましたから頑張れば・・・いけるかも・・・」


・・・・・・・・・・・・はっい?


「本当か?」


「本当です!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか・・・そうだよな・・・あんな小さな子がやってのけたんだ・・・俺だって・・・・・・・強くなってやる・・・そして・・・・


「・・・・・・・・フウが負けた時の為に・・・・・・・そして、そのフウの横に立てるぐらいならないとな・・・・・・・・・・俺は勇者なんだから・・・・・・・」


これがどれだけ無謀な事をしようとしているかそれは俺だってわかる・・・だけど、諦める訳にはいかない・・俺は人類の希望なのだから・・・・・・・


・・・・何故だろう・・・何か最後に気づいた時には勇者が倒さなければいけない敵をフウが全員倒してましたってなってそうなんだか、気の所為だよな・・・・・・・・・・・・・

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