精霊さんと勇者

俺はラーフに啓示をもらった夢から覚めた後、その啓示通り、魔の森に行く準備をし始めた・・・


3年ぶりに行く魔の森の魔物は相変わらず強く、魔の巣窟と言っても過言ではに程、過酷だった・・・・・


それから、4日後、何とか目的の場所に着いた・・・いつもなら、もっと居るはずのドラゴンが少なかった為、移動もスムーズだったのも要因だった・・・前は1週間かけて、死にかけでここまで来たのが懐かしく思える・・・・


「・・・・久しぶりね・・・・」


そう、声をかけられ、顔を向けると、そこには3年ぶり見た顔があった・・・


「久しぶりですセレーンさん・・・」


「・・・その名前ではもう無いわ・・今はただの精霊よ・・・」


そこに居たのは精霊だった・・・しかもただの精霊では無い・・・幾度も勇者の旅に着いてきてもらっている神の精霊と呼ばれている精霊だ・・・・・・


「それで、今回はまた勧誘・・・?今は他の精霊を守るだけで精いっぱいだから今回は無理だって言ったでしょう?」


そう依然来た時、この精霊さんがいる村を拠点に訓練をしていたのだ・・・その時、魔法や魔物の闘い方、冒険者としての心得・・・全て教えてもらった・・・


この村に居る時何度も、一緒に旅に来てくれないかとお願いしたのだが、今は他の精霊を世話するのに忙しいと言われ断られたのだ・・・・精霊が一人前になるまで、最低で100年、今回の俺の旅に同行は難しそうだった・・・


「いえ、そうでは無くて・・・・フウについてと言えば・・・解ります?」


そう言うと、セレーンは目の色を変えた・・・


「・・・ああ、何があった・・・まさか、ムウが死んだか!!その所為でフウが暴走でもしたか!!!」


そう言ってきた・・・・それは必死な顔で・・・


「いえ、・・・・ムウは元気そうでしたよ・・・」


そう言った・・・昨日ラーフから、ムウとフウ、セレーンの関係性を聞いていたのだ・・・まさか同じ師匠を持っていたとは・・・・・


「それなら安心だ・・・ムウは本当に弱いからな・・・」


そうしてセレーンは遠い目をした・・・・・ムウ、セレーンから恐らく、魔法を教えてもらったと思うのだが、教えてもらっていて、そこまで言われるとは・・・っと、そんな事を考えてる場合じゃない・・・とりあえず、目的を話さなければ!


「・・・・フウについて話したい事があると、神・・・ラーフが言ってまして、仮初の姿でこの村に召喚してよろしいでしょうか?自ら口で説明したいと言ってるので・・・」


そう、俺は神を召喚できる、これも勇者としての能力だ・・・一時的、しかも場所も限定的だが・・・普通神を召喚すことは教会以外することが出来ない・・・だがここは、精霊たちが集まっていて聖なる気が満ちている為この村で召喚することが出来る、以前、村で行った事がある為確認済みだ・・・・


「・・・・・・・・・重要な用件なんだな・・・・・」


「・・・俺の旅を中断させる位には・・・・」


「解った、呼び出せ、話を聞こう・・・」


そう、セレーナが言った・・・ありがとうございます・・・カールは心の中でお礼を言った・・・


――――――――――――


それから、ラーフを呼び出し説明をした・・・


「あやつ結局奴隷を買ったのか!!フウも自分を奴隷に何てしおって!!あれだけ奴隷制度について話したのに!!」


・・・・何だかムウに対して怒っていた・・・・いや・・・今問題にしなくちゃいけないの・・・そこじゃなくねえ?


「・・・えっ、あの問題はそこではなくてですね・・・」


ラーフもセレーンの怒りっぷりに慌てている・・・・いつも勇者の手伝いをしてもらっている為、頭が上がらないのだ・・・・まあ、それだけじゃないみたいだが・・・・


「解っておる・・・フウの状態がおかしいという事だろう・・・だが、あやつなら、ムウが傍に居れば大丈夫だと思うのだが・・・」


「・・・勇者にフウの近くに行ってもらって確認をしましたが、状態は思っていたより悪いです・・・いつ彼女が暴走してもおかしくない・・・そうみて取れました・・・」


「そんなにか・・・」


俺がフウの近くに言った理由はそれだ・・・フウの近くにいる人間から、何かしらやばい兆候があると判断したラーフは、俺の目からフウの状態を見る方法を考えついた・・・


勇者である俺の視覚は神とシンクロしやすく、普通の人間から見るだけでは解らない事も、俺の目を通してなら解ると昨日教えてもらった・・・・俺その為に、何度も死ぬ思いをしたんだけど・・・


「・・・・・・・・・何故、貴方は魔族の子を育てようと思ったのですか・・・・?」


・・・・俺が考え事をしているとラーフがそんな事を言ってきた・・・


「何故かか・・・それは、お前も解ってるんじゃないか・・?」


「・・・・・・」


・・・・・・・


「まあ、実際、本当は最初魔族だって気付かなかったんだがな・・・あまりにも邪気が無さ過ぎて・・・」


その言葉にラーフは目を見開いた・・・・邪気が無い?


「この村には魔物が通らない様に暗黒気の塊である魔物、またそれを沢山保有している魔族はもちろん、黒い感情、思いを持っている者は入ってこれない・・・それは知っているな・・・」


俺は頷いた、セレーンがこの村に入った時に説明をしていたからだ・・・


「あのフウと言う赤子はそう言ったものが一切なかった・・・どっちかと言うとムウの方が黒い感情や思いが強かったのう、まあ、警戒して話をしたが、ただ、迷子になって迷い込んだと涙ながら答えて・・・」


そう言うと、懐かしそうに、セレーンは目を細めた・・・


「私はその姿にすっかり毒気が抜かれてそのまま案内したんだ・・・・赤子もおったしな・・・・それが・・・・・あの子だ・・・・・」


そう言ってセレーンは遠くを見た・・・


「まず、私はムウの実力を見る為に魔法を見た・・・あやつの魔力は途轍もなく少なく、恐らく、このまま放っても、そこまでの威力の魔法は出ないと思った、だが、実際にどの位のレベルで魔法を放てるか確認する為に、そう言った・・・だが・・・」


セレーンはそう言った後、溜息を付き、続きを話し出した


「あやつが始めの一発目の魔法を放とうとしたときに、赤ん坊の魔力がムウに流れ込んだ・・・その瞬間、途轍もない威力の魔法が放たれたよ・・・その時に、私が障壁で強化した的を使っていたのだが、跡形もなく消滅していたよ・・・・」


またしても、セレーンは溜息を付いた・・・


「私は咄嗟に『駄目だ!!これじゃあ練習にならん!!!魔力を乗せるのをやめんか』何て言ってしまったよ、伝わるか解らないのに・・・だけど、次の瞬間赤ん坊から魔力が消えたよ・・・・そして、次にあいつ・・・ムウが放った魔法は、さっきとは比べ物・・・というより、マッチの火程度の魔法が放たれた・・・完全にさっき放たれた魔法とは別物だったな・・・」


そう言って、セレーンは顔を歪ませ苦笑をした・・・


「・・・その時か、あの赤ん坊が魔族では無いかと思うようになったのは・・・・」


・・・・・俺は・・・そんな話を夢現で話を聞いていた、ラーフからフウは本当に1歳ちょっとしか生きていないと言う話は聞いていたが、そんな赤ん坊の時から魔法が使えるなんて・・・


いくら成長が速い魔族だからと言って、あり得無く無いか・・・?


「・・・私はとにかく観察することにしたよ・・・はっきり言って、赤ん坊であれだけの力を持っているあやつが成長したらどうなるか・・・と言う心配だったのもあった・・・いや、その前に、幼少期に頻繁に多発するであろう、魔力暴走を起こしてしまったら、と言う心配の方がその時は大きかったか・・・・・・まあ、私の心配なんていらなかったんだけどな・・・」


「・・・と言うと・・・」


「・・・・ムウだよ、あいつがあやせば、すぐに魔力暴走になりそうになっても収まった・・・それから1年、2人を見てきたが、あやつが魔力を暴走させようになってもムウが全て抑え込んだな・・・あやつはその凄さを全然気づいていなかったらしいがな・・・・」


そう言ってセレーンは空を見上げた・・・今は夜星空が見えた・・・


「なあ、ラーフよ、本当にフウの状態の原因は解らないのじゃな・・・」


「ええ、残念ながら・・・私の力では・・・・」


「・・・そうか・・・・解った、私が直接見てこよう・・・・代わりに・・・」


そう言って、セレーンは俺を見た・・・


「精霊の世話を頼む・・・」


「はっ?」


・・・セレーンに精霊の子守を頼まれた・・・なあ、本当に俺がやらないと駄目・・・・?・・・そうですか・・・必要ですか・・・


・・・・勇者って本当に大変なんですよ・・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます