影と勇者

影、それは王の命令のみ聞き、全てをかけて任務を果たす者の呼称・・・


そんな影に衝撃的な情報がもたらされた・・・・・・・


「王が死んだだと・・・・・」


そう言ったのは影のリーダー周りからは隊長と呼ばれている者だ・・・・・名前は無い・・・影には名前は不要だったからだ・・・


「貴様!嘘を付くな!!」


周りが騒ぎ出す・・・隊長は手を上げ、周りを鎮める・・・・


「確かな情報なんだな・・・」


「はい、私自身見つからない様に隠れながら確認したので間違いないです・・・」


「原因は・・・」


「・・・何かしら病気では無いかと・・・」


「・・・暗殺の可能性は・・・」


「外傷も無く、毒も検出されませんでした・・・なので病気かと・・・」


その言葉を聞き周りは静まり返った・・・


「王からの使命は・・・」


「もう意味は無いだろう・・・この影という組織は陛下あっての組織だ・・・その陛下が居なくなってはな・・・」


「これからどうすれば・・・・」


様々な言葉が交わされる・・・その中で隊長と呼ばれていた男は過去を思い出していた・・・


男は孤児であった、だが王に才能を見出され、様々な訓練を得て影の隊長恪になったのだが、その訓練の手ほどきを受けていたのが王自身だった。


何でも王は昔から武術の才がすごく様々な大会で優秀な成績を収めていたらしい・・・・


だが、それにしては、大会で行われる演武の様な動きでは無く、命のやり取りを想定した、えらく実践的な動きをしていた・・・・


・・・大会に出場するだけで、あそこまで理論的に人を殺す術を学べるものなのか・・・・私は、王の才能に恐怖をした・・・


そして、今現在、少し年老いて来て居る王に対しても私は勝てる気がしなかった・・・


それ程圧倒的な力を持っていたのだ王は・・・


そういえば、私自身魔法が通じない能力を持っていたが、王の魔法はほとんど防げなかった・・・


・・・その時、やはり王は特別な存在だと感じとったのだ・・・だったのだがなあ・・・・・・


・・・・あの神器を取りに行った時、何かしら違和感を感じたのだが、あの違和感・・・王に魔法を掛けられた時と似たような感覚を感じていた・・・・


・・・もしかして、あの時誰かが居た・・・?・・・・だとすると、王は殺された?!


・・・・勇者か・・・?!だが、勇者の能力は人間には効かないはず・・・・・・


・・・・・考え始めて気づく・・・今更考えても、しょうがないと・・・


既にあの強き王が死んでしまったのである・・・もし、王を殺した者が居たとして、王の敵討ちをしようにも、私を圧倒的な強さでねじ伏せる、あの王を殺した相手・・・私など対峙したとして、その相手に一撃も与えられないだろう・・・


そんな事を考えていると、また他の者達が怒鳴り出した・・・・


何でも、他の官僚達が王の死を隠蔽し影武者を立てようとしているらしい・・・その対応に王を心酔している者達が騒いでいるらしい・・・・


・・・面度くさい・・・もう既に王が居ない今、騒ぎ立ててもしょうがないだろうに・・・・そんな事を思いながらも、最後の仕事に取り掛かった・・・影の人員を纏めると言う最後の仕事を・・・・・


―――――――――――――――――――――


『バクバ王が死にました・・・・』


「はい?」


俺の名は勇者カール、手に勇者の紋章があったことがきっかけで勇者となって16年・・・本当に様々な事があった。


その切っ掛けは生まれた時に既に自我を持ち、神が夢の中に出てくることから始まった・・・


その神はラーフと名乗った・・・


・・・幼少期から勇者として育てられ・・・フールという都市で兵士と一緒に訓練し、終わったら魔法の修行の繰り返しをし、それを繰り返している内に、10歳になった。


そして、一般兵士を剣技で圧倒・・・魔法も基本が全て覚えた時、ラーフが夢の中に出てきて魔の森で訓練しなさいと言ってきた・・・・周りは、神の啓示だという事で、10歳の身で、魔の森に行く事になった・・・


俺はそこで、死に物狂いで修行をし・・・何とか・・・生き抜いた・・・・そうして、13歳になったある日、ラーフに勇者として、旅に出て欲しいと頼まれ、早3年・・・


今、俺は夢の中でラーフと会っている最中に冒頭の言葉を言って来た・・


あり得ないと思ったが、頭を振ってその考えを打ち消した・・


無茶は言ってくるが、ラーフは冗談を言った事が無い・・・という事は、真実の可能性が高い・・・


「バクバ王ってあれだよな・・・あまりにも危険だから時が来るまで、会うのもするなって言っていた・・・」


「ええ、その通りです・・・」


俺の勇者の能力は魔物や魔族に大ダメージを与え、神の加護により魔物や魔族からのダメージを軽減させられるという能力なのだが、人間には効果が無い・・・・


バクバ王はも既に、ほとんど人間から離れている存在だとラーフ自身が言っていた・・・しかも、裏から人間社会を牛耳っているという話もラーフから聞いた・・・


・・・だが、魔族という訳でもないので、人間である、バクバ王に俺は手を出せないでいた・・・神も、歴代の勇者全てにバクバ王には手を出すなと伝えていたと言っていた・・・


そんな神であるラーフですら手に余る存在が死んだ・・・・


「・・・・・・何でだ・・?」


「・・・・・人間達は病死だと思っていますが、恐らく殺されたのだと・・・・」


「・・・・・・誰が・・・・?」


「・・・・バクバ王は既に人間という枠組を超えてしまっていました・・・人間を観測できる私ですが・・・王の行動を観測をすることが出来ません・・・・・」


「・・・・解らないんだな・・・・・」


「・・・ええ、ただ、身近な人間は全て白でした・・・私はもう少し調べてみます・・・・・・」


「・・・・・・一つ答えてくれ、バクバ王の実力は英雄クラスが束になって掛かっても倒せない可能性の方が高いって言っていたよな・・・」


「はい・・・」


「それって、殺した相手は英雄クラスより強いって事か?」


ラーフは少し考えた後、こう言った・・・


「恐らくは・・・・」


俺はその言葉に戦慄した・・・英雄クラスその実力は魔物対峙に一緒に同行した事がある自分も知っている・・・・


1人で1兵団・・・・それどころか、下手をすれば首都すら1人で壊滅できる実力を持つ者・・・それが英雄クラス・・・・勇者と言う能力が無くても魔物を圧倒できる存在、下手をすればそれ以上の存在・・・・その人物達が束になっても敵わない相手が死んだ・・・


「魔族か?」


気付いたら俺はそう言っていた・・・・これだけの力量を持つ者・・・人間である可能性は低かった・・・


「恐らくは・・・・」


・・・やはり俺の考えは合っていたようだ・・・英雄クラスを圧倒する力を持つ魔族・・・もし本当に魔族なら、俺の能力で闘える可能性がある・・・だがしかし・・・


「どうやってこちらに・・・まだ魔界とこちら側に張られている結界はまだ壊れていないんだよな?」


「ええ・・・・・」


「だとしたら何で・・・」


「一応以前、魔界と交流があった時の子孫はいますから・・・」


「だとしても向こうにいる魔族より弱いって話だろう?そんなのが、バクバ王を倒せるのか?」


「・・・・・・・・」


「・・・・・・何かしら、結界を通らないでもこちら側に来れる手段を確立したのかも知れないな・・・・」


「・・・・・・急いで調べます・・・・とにかく今は力を蓄えて下さい・・・」


ラーフはそう言い、俺は夢から覚めていく・・・・これから、一体どうなるんだ?

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