壊れたフウ

殺したバクバ王を見下ろして・・・私は頭を抱えた・・・


(痛い痛い痛い!!!)


フウの頭の中に激痛が走る・・何故こうなってしまっているのか、それは、バクバ王にこれまでの記憶のコピーをしてしまったからだ・・・


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時間は遡る事、城に2度目の侵入した所から、フウは城に侵入してから、城に結界を張っているのが6つの魔法陣である事を、1度目の侵入の際、調べた・・・


私は早速、結界を張っている魔法陣の所に行き、結界の力を弱めていった。


とはいえかなりめんどくさかったのだが、魔法陣は1つでは無く6つある所から大変なのだが、1つの魔法陣に何か手を加えれば他の魔法陣がそれを感知する仕組みになっている・・・もし、適当に魔法陣を消してしまって場合、簡単に城の者にバレてしまうだろう・・・


まあ、それも、本来の魔法陣を私が作ったダミーの魔法陣に差し替えて、他の魔法陣を騙し・・・その間に他の魔法陣も同じような手順で差し替えていった、・・・その為結構時間が掛かって・・・もう夕方になってしまった・・・


城を覆っていた結界の力の機能は、ダミーの魔法陣で代用し、ある程度使える様に残しておいた、完全に結界を消してしまっては、バレてしまうと考えた為だ・・・心配のし過ぎかもしれないが、一度、マーキング魔法でバレそうになったこともある為、念には念の為だ・・・


とは言え、差し替えた結界は、私自身も結界の効果の対象外にした為、もう既に、魔法はいくらでも使える様になった・・・


そして、私はその後、この国の王の部屋に潜んでいた・・・結界の力が無い今なら、魔法での隠蔽で隠し通せる自信があった・・・だがそれも王が部屋に入ってきた瞬間吹き飛んだ・・・


(やばい!やばいってあれ!!!)


魔力はマイル以上、身体能力もセシル以上・・・やばいって隠蔽魔法で魔力とか色々隠しているみたいだけど、隠しているその実力が・・・想像以上だと、解る自分はこれ以上に無く動揺していた・・・


(これ英雄クラスが何人いても勝てないんじゃ・・・)


マイルクラスが多分何人もいても勝てないそれ位実力差がある・・・・


(これって、何か魔法を放ったら速攻でばれるよね?)


多分記憶を覗く魔法でも使えば、速攻でばれる・・・


今でさえばれて隠蔽魔法で居場所がバレて居ないのが奇跡なのに・・・


だが、私はこの場で王を殺すのも憚られた・・・


何よりお父様が人を殺すのを良しとしないだろう・・・フウはお父様のものなのだ、お父様が嫌な事をしてはいけない・・・


そうなると、交渉か下手をすると脅す必要性があるのだが、その為には情報が必要である、だが、記憶を覗く魔法を使えば、一瞬でばれる・・・


(だったら、その一瞬で全ての記憶をコピーする)


もう、ばれるのはしょうがない!


だったら、記憶を覗いて情報を吟味して、抜き出すのではなく全ての情報を抜き出せばいい!!かなりの情報量になるけど!!


(お父様の記憶は全て網羅してるし、この外見から年齢は50、60歳程度のはず・・・プラス数十年分の記憶位いけるはず!!・・・本当はお父様の記憶以外あんまり入れたくないけど、お父様の安全を確保する為!やるしかない!!)


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・・・結果・・・冒頭の様になった・・・フウは数百年生きたバクバ王の記憶により、人格すら侵略されそうになっていた・・・


たかだが1年しか生きていないフウがその記憶を処理するには余りにも幼過ぎたのだ・・・


バクバ王と対話している時、既に人格をほとんど侵略されていたフウが真っ先に考えたことが、お父様を守る事だった・・・


その為には、目の前の人物が余りにも危険だという事を取り出した記憶で解った・・・だが自らの魔法で殺した場合、魔力の痕跡でばれるかも知れない・・・


魔力の識別はほとんどの人間が出来ないという事は、先程取り出したバクバ王の記憶で知っていたのだが、念には念を入れたかった。


殺す以外の魔法は痕跡を残さず使える自信があったが、殺すとなると、これ程強いバクバ王に生半可な魔法を使っても死なないだろう・・・そうなると、魔力の痕跡を残さず、強力な魔法を使うのは無理だと判断した・・・


・・・なので、私はバクバ王の魔法を跳ね返すことにした・・・


・・・この状況で放ってくる魔法はバクバ王の記憶から推測するに即死魔法だろう・・・


・・・王本人は防げないと思っているらしいが・・・古代魔法の結界を掻い潜って来たフウにとっては魔法の仕組み、構造さえ知っていれば、防ぐところか、跳ね返す事すら造作もなかった・・・・


王を殺した後、フウはこみ上げてくる頭の痛みを我慢しながら、家に転移した・・・後には、こと切れたバクバ王が横に横たわっているのみであった・・・


――――――――――――――――――――――――――――――――


・・・家に戻ると、お父様が庭に居た・・・


「おっ帰って来た・・・今日は遅かった・・・」


・・・・私は思わずお父様の胸に飛び込んだ・・・


(お父様お父様お父様お父様お父様・・・・・・・・・)


お父様を感じる、お父様の体温を感じる、生まれてこの方、一番傍にいた人の温もりを感じる・・・


「どうしたんだフウ?そう言えばマイルって言う英雄と同じ名前の女性とお前と一緒に待っててさ、フウ、お前この子に奴隷の紋章を・・・・」


(お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様お父様・・・・・・)


「聞いてねえなこれ・・・とりあえず、家に戻るか・・・・・・マイルだっけ?とりあえず、家に入ろうか」


「・・・ええ・・・」


私はお父様に抱きかかえられながら家に入っていった・・・


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俺は今困った状況下にある、きっかけはマイルと言う英雄と同じ名前の女性がやって来た日に遡る・・・その女性はフウが出かけてくると言う伝言を伝えてくれと言われて来たという、


その女性は、身長160㎝(俺より大きい(涙))の短髪、胸は小さいが・・・自分より小さなスカートに半袖と言った服を強引に着て完全に痴女の様な格好だった・・・


「フウに着替えさせられたんです!!」


と涙ながらに語る女性の身体には奴隷の紋章の様な黒い痣が腕から足に掛けてある事に気づいた・・・


「・・・奴隷契約しないと治療が出来ないって言ってました・・・」


何だよそれ聞いたこと無いぞ!!とにかくあいつが帰ってきたら詳しく聞かなくてはいけないな・・・


とりあえず、服買いに行こうか?泣くな、なっほら・・・


服はエレナが買ってきてくれた、何時もならゴーレムの特訓をしている時間なのだが、フウが念話で


『今日の訓練はお休み』


と言ってきたらしいのだ・・・そんなわけだから、ゴーレムも今は動いていない・・・エレナはせっかくの休みという事で以前に話していた教会にそのまま行った・・・


すみません!行かせるって以前に言いながらほとんど訓練で行かせることが出来なくて!!


その後、いつもなら出かけたとしても夕方になるとすぐ帰ってくるフウがまだ帰ってこない・・・・


俺が少し心配になって、フウを庭で待っているとマイルがやって来た


「・・・心配ですか・・・」


「・・・まあな・・・とはいえ俺なんかが心配してもしょうがなけどな・・・」


「それはどういう・・・」


「俺、ゴブリンとどっこいどっこいなんだよ・・・せいれ・・・師匠が言うには1対1で倒せるかどうかっていうレベルでな・・・」


そっから、俺は愚痴を吐きまくった・・・もう、完全に女性に話す事じゃないんだろうけど、ほら、完全に引いてる・・・・・・・だけどな、俺だって・・・俺だって・・・


「・・・ごめん、こんな事初対面の人に話す事じゃないよな・・・」


少し落ち着いて来たところで、マイルに謝る・・・だってしょうがないじゃん!溜め込んでたんだし!!


「・・・いや、えっと本当の話ですか?」


「・・・嘘でこんな話すると思う?」


「・・・そうですね、すみません・・・」


少し睨んでやると、謝られた・・・謝るくらいなら言うな(涙)


「・・・それにしても遅いな、あいつ・・・」


あと少しで日が暮れる・・・どうしたのかなあと思っていると、目の前にフウが転移してきた・・・


「おっ帰って来た・・・今日は遅かった・・・」


言うか否か、フウが俺の胸に飛び込んできた・・・えっ何どうしたの?マイルを見る、マイルも驚いている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とりあえず、帰ってきたら聞こうとしたことを聞こう・・・


「どうしたんだフウ?そう言えばマイルって言う英雄と同じ名前の女性とお前と一緒に待っててさ、フウお前この子に奴隷の紋章を・・・・」


・・・・・・・・駄目だ、顔を上げるどころか、胸に顔を擦り付けてきている・・・


「聞いてねえなこれ・・・とりあえず、家に戻るか・・・・・・マイルだっけ?とりあえず、家に入ろうか」


「・・・ええ・・・」


そして家に入ってからもフウは困ったことに全然離れない!


食事も自分から取らず、俺がスプーンを使って強引に食べさせている・・・


しかも、俺がトイレに行こうとするとそこまでも付いてきやがる・・・・・・・しょうがないから一緒に入ってるけど・・・・


ちなみに、ちょっとでも離れようとすると全力で引っ付いてくる・・・本当に何があった?


それから後日、4人の訓練、いや何故かマイルも訓練に加わっているから5人か?のゴーレムによる訓練は今でもは続いている・・・・マイルのゴーレムだけ、岩じゃなくて金属なんだけど・・・何でだ?


これ何て金属?見たこと無いんだけど?そんな事を考えながら、フウを見るが、フウは訓練を見る訳でもなく、ただただ、俺の膝の上で足に顔を擦り付けている・・・


何か、アドバイスしないの?そう言うのだが・・・フウは顔を上げない・・・


そうこうしている内に、今日も今日とて4人が吹っ飛んでいく、マイルは吹っ飛ばないで善戦しているけど、手間取っているようだ・・・・


・・・・・なあ、マイル何で訓練しているんだ・・・・?俺が聞いても、相変わらず、顔を膝に擦り付けて・・・一向に答えようとしないフウ・・・本当にどうすんだこれ?

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