暗殺

我はバクバ王・・・我は今、特にやる事も無く・・・ただただ、王座に座っていた・・・仕事があれば、忙しい時間を過ごすのだが、それは全て終わらせてある・・・


我が有能すぎるのが悪いかもしれないが・・・こうして、やる事が無いのも、ただただ、退屈なだけである・・・とは言え、何か緊急の報告があるかも知れない為、時間までは、王座から離れる訳にはいかなかった・・・


今、気になっているフウと言う幼子について早く知りたいと言う気持ちもあるが、その結果が解るのはまだまだ先・・・我は欠伸を噛み締めながら・・・・周りを見た・・・側近たちが居るが、皆書類を整理したりして忙しそうだ・・・・


仕方なしに、やる事が無かった我は、これまでの人生を振り返った・・・


・・・我は生まれた時から天才だった・・・魔法、剣術、馬術あらゆる分野で名声を欲しいがままだった・・・・


更に解らない事、気になる事はどんな事でも調べに調べまくった・・・・結果、魔法について、誰よりも、詳しくなっていた・・・


そんな時間を、30、40、50・・・それらの年月が過ぎ去った時、老いが自らの身体を襲った・・・


我は『天才である我がこのまま他の凡人と同じ様に朽ちて死んでいくのか?!』そんな憤りと、老い朽ちていく自らの身体に恐怖を覚えていった・・・


私はその時からある研究に没頭した、それは不老不死の魔法の研究だ・・・


ある時は古代魔法についても調べたりした・・・人体実験も数えきれないくらいした・・・


その結果、自らの身体の老いは止められなかったが、我の精神を他者の若い肉体に移し奪い取り、寿命を永らえる方法を見つけ出した・・・・


我は魔法を、自らの息子に行った・・・そして、魔法を行った瞬間、我の本来の肉体は死んだ・・・当り前だ、精神が入っていない抜け殻の身体なのだ、精神が入ってなければ、ものの数分で死んでしまう・・・


息子の精神は自らの精神に完全に取り込んだ・・・こうすることによって、息子の記憶を知ることが出来、記憶の祖語を無くしたのだ・・・


そして、息子の身体を奪った時、バグバ王と自らの名を名乗った・・・息子にももちろん名前があったが、前の王が死に王位が引き継がれた場合にこのバクバ名前を襲名させる伝統を作り出した・・・


まあ、理由としては、我自身を他の者の名前を呼ばれたくはないという思いからだ・・・


何を好き好んで他人の振りをしなくてはいけないのだ・・・よって記憶の祖語を無くす為に、息子本来の記憶は使ったが、振る舞いは以前の我と同じ様に振舞った・・・


人と言うのは、慣れる者で、最初は王位が変わるごとに人格が変わる事に不信を抱いていたものもいたが、今ではそういうものだと他の者を無理矢理納得させている・・・


まあ、誰かが何かしら嗅ぎまわっている者が居たとしても、すぐにその者を始末をしていたが・・・・


我自身、好き勝手にさせてもらっている為、敵は多い。よってこの城には我が古代魔法の知識を集大成して、守りを固めている・・・


この古代魔法の結界によって、暗殺は未然に防げる・・・そして、正面からの戦闘なら、我は誰にも負けない自信がある・・・


それに今使っている体は我の最高傑作と言っていい程、動きやすい!我がこの体を奪う前の息子は剣術大会や馬術、弓道まで様々な武術の大会で上位の成績を収めた・・・もちろん王の権威を使わないでだ・・・


そう言った血と汗の努力も我が全て奪い取ってしまったのだがな・・・・まあ、この体も結構使いこんでしまったからもう10年当たりしたら変えなくてはいけないが・・・


やれやれ、我は本当の意味で老いぬ体がほしいな・・・・


・・・・・・・・・・そう言えば、何故今日はこんなにも昔の事を思い出す?


確かに、暇だったことも手伝ったが・・・生を受けて最早数百年・・・思い出に浸るのも久しいと言うのに・・・何故・・・?


そんな事を考えていると、バクバ王は何故か不安を感じた・・・長年過ごしてきて、怖い者等今更無いと言うのに・・・何故・・・今・・・?


そんな思いをバクバ王は心の中で頭を振り、飛散させた・・・


馬鹿馬鹿しい・・・何を不安になる事がある・・・この100年以上城に侵入する輩なんぞ現れてすらいないと言うのに・・・


・・・別な事を考え、気を紛らわそう・・・影に頼んだ幼子の件どうなるだろうか?・・・もし、配下に置いた時、使える人材ならば、使い倒したい・・・ムウと言う小僧に心酔していると言っていたから、そやつを人質にすればその幼子も言う事も聞くだろう・・・


我自身、力を持っていると言っても、余り表にその力を出して周りを警戒させたくはない・・・我は動かず、使える手駒だけで動くのが一番いい、その事をこの数百年の間に学んだ・・・


(くっく、手元に置いたら何をはじめにさせようか・・・)


・・・マイルとの会話で魔族の可能性を視野に入れるとしても幼子だ・・・軽く絡め手を使えば御するのは容易い・・・その為に影に神器を貸し出したのだから・・・


そう思っていると・・・日が傾いてきていた・・・


「・・・・今日の執務は終わりにする・・・」


我はそう言うと、兵士たちを下がらせた・・・・・そして、我はそのまま自分の部屋に戻っていった


部屋の中でこれまでの報告書を確認する、仕事中に一度は見たが、見落としがある可能性は0では無い・・・玉座のまで確認をしてもいいが、こういったのは、人目が無い所で、のんびりと確認をしたいがために、こうしている・・・


そんな事を考えてながら、書類を確認していると・・・我の頭に一瞬頭痛が襲った・・・


(何だ・・・一体・・・この感じ・・・魔法か!!)


今までの経験からこれは魔法の影響だと辺りをつけ、辺りを確認する・・・巧妙な隠蔽魔法だがそこに誰かが居るのか、解った・・・


「ふん!」


我は咄嗟に魔法を放った・・・・ここが屋内とか関係なしに強力な重力魔法を周りに発生させた・・・これなら、正確な位置を把握出来なくとも、潰して殺せる・・・そう思っていた・・・


・・・だがしかし、我の放った魔法は効果を発揮させる前にその魔法はキャンセルされた・・・


「クスクスクス・・・・いきなり攻撃するとは余裕が無いようね・・・」


「・・・・・・・・・お主は・・・・・・・・・」


我は声がする方に顔を向けた・・・何も無かった所から・・・・子供が現れた・・・・


「あら、会いたいと言っていたからわざわざ出向いであげたんだけど・・・迷惑だった?」


・・・この言い方・・・恐らくこいつがフウと言う輩なのだろう・・・


「迷惑だ・・・兵士に伝えて面談予定を入れてもらわないとなあ・・・急な来客は困る・・・」


話ながら、我は魔法の準備を始める・・・この人物はやばい・・・今までこの古代の魔法結界を作って城に結界を張って以来、ここまで、我に気づかれず我の部屋まで侵入する輩など存在しなかった・・・・いや、存在するはずが無かった・・・・


だが、目の前の人物がその事を否定してくる・・・


「あらあら、それはごめんなさいね?田舎から上京したから、その辺が解らなくって・・・」


皮肉まで織り交ぜてくる・・本当に幼子か!?


・・とにかく時間をかけてこの魔法を完成させないと・・・この魔法を放てば、絶対にこやつを殺すことが出来る・・・ネックは発動時間の長さだが、油断している今なら・・・


「そうか、そうか、そう言った礼儀もこれから学んでいけな良い・・・それで如何様な用件かな?」


今準備している魔法は、準備する時間は数分と長いが放てば、どんな人物も死に至らしめる・・・我自身この魔法を放たれたら防ぐことは無理だろう・・・


しかも古代魔法である為、普通の人物には魔法の準備をされている事にも気づかれない・・・


「・・・・『ムウと言う小僧に心酔していると言っていたから、あやつを人質にすれば言う事も聞くだろう・・・』・・・」


「!」


「『軽く絡め手を使えば御するのは容易い』ですって、舐められたものね・・・」


「お主・・」


何故こいつが今日頭の中で考えた出来事を知っている・・・


「ねえ、体を変えて数百年生きて来た・・バクバ王様♪」


「何故、何故それを知っている!!!」


あり得ない、それを知っている人物はことごとく消してきた!!!


「・・・私は何でも知っている・・・奴隷を使い人体実験を繰り返して、気に食わない人間が居ればすぐ排除し、他国への侵略も裏で行っているそうね・・・最も表では同盟って事にしているみたいだけど、完全な隷属よね・・・」


何なんだこいつは!何なんだこいつは!!!上層部でも一部か全く知らせていない情報を何故こやつは知っている!!!


「ふふ、動揺しているようね・・・もっと話しましょうか?」


・・・余裕をこいているのも今の内だ!我はたった今出来上がった即死魔法を放った!いける!!この油断している今なら放った魔法で殺せる!!!そう確信した・・・


だがしかし、気づくべきだった、今目の前に居る幼子は結界が張っている中、誰にも気づかれず魔法を使って来た時点で彼女が普通では無い事を・・・


そして、その彼女に対し、古代魔法で作り上げた結界が通じていないことを・・・


だから、今まで古代魔法について防がれたことが無かったからといって、今回も防がれないとは限らないと言う真実を・・・


彼は見落としていた・・・・


結局、彼はその事を気づく機会は永遠に訪れなかった、バクバ王はそのまま、永遠の眠りについた・・・

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