大魔法使いマルイ

僕の名前は大魔法使いマルイ、これでも英雄クラスの冒険者だ・・・マルイって名前自体、あんまり気に入ってないんだけども、そう名乗らされている。何でも英雄クラスの魔法使いに代々引き継がれるみたいで、僕の師匠が免許皆伝したときに名乗る名前を替えられた・・・まあ、マルイという名前を出せば、大体の面倒事が解決出来るから結構利用させてもらってるんだけどね・・・


そんな僕は王の命令で、フォーカの街の近くまで来ていた・・・この街に例の子供がいるって言う事だけど・・・どうなるかな?・・・まあ、とりあえず入りますか・・・


王の手紙を門の兵士に渡して、面倒な手続きを飛ばして街に入る・・・すると入った瞬間違和感を感じた・・・


(結界?入るまで気付かなかったぞ・・・)


そう、結界、恐らく、町全体が覆われているそれは、僕が入るまである事さえ気づかなかったのだ。しかも、普通ならどんな結界なのかすぐに解る僕が、どんな用途で使われているかさえ解らない結界・・・


(思ってたよりやばいな・・・)


今回の任務思っていたよりやばい案件じゃないか・・・そう思い額に汗を流しながら、ギルドに向かう・・・一応相手の住んでいる場所も解っているが、まずは情報収集が先だ・・・。


僕はギルドに入って、受付に行き


「ギルドマスターを頼む」


と言って、受付にギルドカードを見せる。そのカードを見せた瞬間、受付の人は慌てて2階に上がっていった・・・


「案内します・・・」


さっき、2階に上がった受付は少し額に汗を流して戻って来た・・・


そんなに慌てなくてもよかったんだが・・・まあ、ギルドカードを見せたらそうなるか・・・僕としては、そんなに畏まらなくてもいいんだけどなあ・・・そう思いながらもそのまま受付に案内され・・・ギルドマスターであるギャンの部屋に入る・・・


「・・・久しぶりだな・・・」


「久しぶりです、お元気そうで何よりです」


「世事は良い・・・ギュル、戻っていいぞ」


そう言われると受付の人は戻っていった・・・そうか、この人ギュルと言うのか・・・名前も聞かずに案内までさせてしまった・・・少し申し訳なかったな・・・


「・・・話は聞いているか?」


「聞いたけど、その話本当?」


僕はそう言って、ギャンに聞いた・・・未だに、話の内容が信じられなかったのだ、セシルが子供に負けたという事が・・・


「信じられないのは解る、俺だって今も信じられん・・・」


そう言ってギャンは肩をすくめた・・・


「ああ、そう言えば、もっと信じられない事を聞いたな・・・・何でも噂の子供が奴隷になったって・・・」


「はあ?」


おいおい、有り得ないだろう・・・もし、セシルが言った様に、僕並みの結界を貼ったという証言が本当だとしたら、相当の魔力を持っているはず、契約魔法を結ぼらそうになっても、簡単に抵抗出来るだろう・・・



「・・・本人曰く・・・望んで奴隷になったって言っただそうだ・・・」


「有り得ないだろう・・・」


好き好んで奴隷になる者など居る訳が無い・・・しかも、今回奴隷になった者は僕達英雄クラスを超える力を持っているという報告だ・・・


「主人は報告にあった、16の男か・・・」


「ああ・・・」


何でも、ニン村という田舎の村に住んでいた男が、フウの近くに常にいるらしい・・・ただ、その男、一年近くその村に帰っていない事を確認しており・・・この街に来て、魔の森に行って以来、音信不通、今までどこにいたのか、調べても解らなかったと王に言われている・・・


「・・・偽物か?」


「・・それも含めて解らんとしか言えん・・・・見た目は本当に弱っちいただの村人・・・いや村人より弱く見える・・・」


ギャンにそこまで言われるとは相当だぞ、これで本当に力を隠しているのならそれは僕にも手に余るって事だ・・・


「・・・・それで、フウと呼ばれている子供だけど、魔族って線は?」


そう、王と話をしていた際、余りにも強いので魔族では無いかと疑ったのだ・・・


「そう言われてもなあ、魔族って言っても多種多様だから、一概には・・・一応瞳は赤かったが・・・それだけだしなあ・・・」


瞳が赤いか・・・まあ、その辺も調べてみないとわかないし保留か・・・王都に戻ったら調べなおすか・・


「・・・ムウと呼ばれている男・・・能力・・・スキル保持者と言う可能性は?」


スキル・・・能力・・・様々な呼び名があるが、それは、天から授かる才能である・・・英雄と呼ばれている人は一部を除き大体この能力を持っている・・・


「解らん・・・もし能力者だとしても、俺に気取らせない能力者だったら、いくら調べても多分解らねえ・・・」


「・・・・もし仮にフウと呼ばれている奴がその男の能力で奴隷契約をしたとしたら?」


「・・・洗脳能力ってやつか・・・だが、そんなの魔法で代用できるし、ある程度抵抗がある奴にはそんな魔法や能力が効かないはずだが・・・」


「魔法はそうだが、能力についてはそれは推論だろ、今まで能力について様々な議論や実験をされてきたが、どうして能力が発現するか、どこまで強く出来るか・・・そんなの解ってないんだからな・・・」


そう、能力について今でも未知数な事が多い・・・魔法はある程度考察され、対処が解る反面、能力はその限りではない・・・


「・・・もし、フウと呼ばれている子供が魔族だった場合、魔族すら従える能力者って事かもな・・・」


僕がそう呟くとギャンは大きく目を見開いた・・・


「・・・・・・・だとしたら、何故俺達に能力を使ってこない?」


「・・・それは、解らないけど何かしら制限があるのか・・・あるいは・・・もう既に使われているか・・」


「そんな訳が・・・」


「確かに能力にかかってたらもう分からないよね・・『能力にかかっていないと思え、疑うな』って暗示をされてたら気づかないわけだし・・・」


そういうと、ギャンは下を向いた・・・意気消沈しているところ悪いけど、これも言わないとね・・・


「ちなみにこの街には結界が張ってある・・・」


「なっ」


俺の言葉にまたしてもギャンは驚いて顔を上げ、またしても目を見開いた・・・


「ギャンが気づかなくてもしょうがないよ・・・魔法で精通している僕でさえ、街に入るまで気づかなかったんだから・・・」


そう、ギャンは元英雄クラスだったと言っても戦士で成り上がった人物、これ程巧妙に隠された結界解らなくてもしょうがない・・・それに、この結界・・・


「もしかしたら、この結界、あの男のものかもな・・・」


そう僕は呟いた・・・


「・・・何故そう思った・・・」


「この結界なんだけど、何に使われているのか、どんな作用があるのか僕にも解らなかったんだよね・・・・だから一つの仮説を立てた・・・その男が能力で結界を作り街を覆ってるんじゃないかって・・・・・」


僕はそこまで言うと少し深呼吸をして息を整え更に情報を整理した・・・とはいえ、あくまで情報を集めた結果の推測にしかすぎないけど・・・


「僕は自慢じゃないが様々な魔法に博識なつもりだ・・・その僕がどんな結界か解らないとなるとこの街に張られている結界が能力の可能性がある・・・だが、逆に僕がこの結界に気付いたって事は確実に魔力は使われている・・・そう考えると魔法と能力の混合して使っているという可能性が高い・・・」


「・・・それは、魔法で使われている部分は感知出来るが・・・それ以外・・・能力の部分は全く分からないと・・・」


その言葉に僕は大きく頷いた。


「そうだね!もし、これが認識改変系の結界だったとしても、この街にいる限りその改変された物は解らないだろうね!!」


そう、僕は断言した。するとギャンは頭を抱えだした・・・


「・・・はあ、頭がいてえ・・・・それで、これからお前はどうするんだ・・」


「・・・そうだね、街に結界が張られている以上、恐らく、向こうも魔力が高い人物・・・僕がこの街に居る事はバレているだろうし、隠れてもしょうがない、今すぐ会いに行ってみるよ・・・」


そう言って、僕は部屋から出て行こうとした・・・だが、ギャンがそれを止める・・・


「正気か・・・・?はっきり言って、何も解ってない状況だぞ・・・」


「・・・それは、恐らく時間をかけて調べようとしても同じだよ・・・はっきり言って、未知の力だしね・・・それに、結界がどんなものか解らない以上、最悪、向こうには僕達の存在は筒抜けだと思った方が良い、だったら、どこに居たって一緒さ・・・」


そう言って、僕は首を振った後、こう言った・・・


「第一、危険を承知でも飛び込んでみないと何も得られないよ・・・」


僕はそれだけを言って、ギルドから出て行った・・・


――――――――――――――――


・・・・・・・・・・・・・・すげー地獄絵図・・・・・・・・・・


俺は何時もの様に、4人の特訓を見ているのだが、ゴーレムに、4人がぶっ飛ばされている・・それも毎日・・


修行を初めて約1カ月だが、まだまだ4人共、フウが作ったこのゴーレムに勝てるビジョンが見えない・・・・・まあ、俺が闘ったら1秒もしない内に負けるんだろうけど・・・


ちなみにゴーレムを作った当の本人であるフウは俺の膝に座っている・・・なあ、4人共、ぶっ飛ばされ続けているんだけど、あのまま放っておいていいの?


そんな地獄絵図と言ってもいい光景を見ているとフウが立ち上がった・・・


「どうした?」


フウの目線を追っていくとフードを被った人が立っていた・・・誰?


「初めまして、僕はマイル・・・大魔法使いのマイルだ」


・・・マイル・・・何か聞いた事がある様な・・・・・・・・


「一応英雄クラスでSSランクだ!!」


・・・・・・・・はい?


「えっと、マイルさんってあのマイルさん?」


「あのっていう意味は解らないけど、英雄のマイルだったら僕だね!!」


「・・・・・・・・・・・」


・・・・・・・って英雄クラスのマルイ!!!あの魔法を使わせたら右に出る者が居ないと言われてるあの?!マルイ?!


俺がフリーズをしていると、フウが前に出て・・・


「それで、英雄のクラスの貴方が何をしにここに?」


と聞いた・・・フウお前、英雄相手に全然気後れしないんだな・・


「いや、ちょっと、大剣使いのセシルが倒したって言うフウって子供を見に来ただけさ・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?大剣使いのセシルってもしかして英雄クラスに居るあのセシルの事を言ってるのか?


「えっ・・・どういう事?・・・・・なあ、フウ、お前大剣のセシル何て闘っていないだろう?」


何を言っているんだろうか?その前に、そんな人物と会った事すらいないぞ!!


言葉の意味が解らず、とりあえず、倒したと相手が思っているフウに尋ねる・・・


「?闘いましたよ?」


「えっ?」


「と言うより、お父様も見てましたし・・・・」


・・・・えっ・・・・本当にどういう事?・・俺も見てたって・・・・


「ほら、最初に換金の料金を取りに行った時に闘った・・・」


そう言われて、思い出す・・・そう言えば何か大きな剣を持った男とフウが模擬戦してたな・・・フウが勝ったあの試合・・・・そうか・・・・闘ったの英雄セシルだったんだ・・・・・・・・・・・


「はああああああああああああああああああああああああ?!!」


俺は思わず大声を上げた・・・


だって大声を出したって仕方ないだろう!あの人が英雄セシルで、フウが闘って・・・そして・・・


「お前、英雄に勝ったのか・・・」


「はい、そうです!!」


そう言ってフウは胸を張った・・・・・・・・


ちょっと待って、頭が追い付かない・・・・


「へえ、フウの主人は相手がセシルだとすら認識していなかったと・・・」


いや、仕方ないだろう・・・まさかギルドで話しかけられたのがそんな雲の上の人物だって知らなかったし・・・第一フウがいくら強くても英雄クラスに勝てるなんて思わないじゃないか!!


俺が心の中で叫んでいると・・・


「それで、何の用なのですか?」


とフウがまたしても、マルイに問いかける・・・・お前全然動じないんだな・・・


「いや、僕も闘ってみようかなって思ってね・・・」


そう言って、マルイが俺とフウを見てくる・・・あっまた奴隷の4人がゴーレムに吹っ飛ばされていった・・・


「・・・・解りました・・・場所を変えましょう・・・お父様、ちょっと出かけてきますね・・・後、貴方達もちょっと休憩してて・・・」


えっちょっと待って、もしかして、戦いに行くの・・・いや、そんな買い物してきますねってのりで決闘しに行かないで・・・・って行ってしまった・・・・・・


あっ、フウが行ったら、フウが作ったゴーレムが崩れて消えた・・・・・そして、ゴーレムが居なくなったことにより安堵してか、そのまま4人共ぶっ倒れた・・・・・・


・・・・・・・・・・本当にどうしてこうなった???!!!

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