大剣セシル

「大丈夫か?」


「ええ・・・何とか・・・」


俺は、ギルド長と顔を見合わせた・・・先程俺は死線を切り抜けた所だ・・・


俺の名は大剣セシル・・・一応ギルドで英雄クラスと言われている上位の冒険者だ・・・それが先程、小さな子供に殺しかけられた・・・まあ、実際、俺の方が先に仕掛けたのだがな・・まさか俺が殺されかけられるとは・・


今日、ギルドに来たのは本当に偶然だった・・・いつもこの時期になると、魔の森で訓練をするのだが、今日は早めにフォーカに着いたので、そのギルドで一杯飲んでいたのだ・・・それがあんなことになるとは・・・


酒をギルド内で飲んでいると受付が騒がしくなり始めた・・・


「馬鹿な!!こんな小さな子がベアーキラーを!!!しかもこの大きさの頭からしたら3m越えはいってるはずだ!!!倒せる訳が無い!!!!!」


いつもの冒険者同士の口論かと思い無視したが、その言葉で俺は意識を向けた・・・


ベアーキラー?・・・その魔物はいつも魔の森で訓練する際狩っている魔物だが下手な冒険者が狩れるものでは無いはずだ・・・しかも、3m級?そんなもの俺ですら狩るのは骨が折れるぞ・・・


俺は興味を引き、その声がした所に行った・・・周りが騒めくが、俺自身、英雄クラスという事で、有名になっている為、いつもの事だと割り切っている・・・・


そんな騒めきを無視して進むとそこには、冒険者が一人と、どう見ても子供な男と幼児の身長しかない女の子がいた・・・こりゃあ、疑ってもしょうがない・・・


だが、確かに受付の机の上にはベアーキラーの頭が置いてある・・・これを持ってこれるとは、少なくとも、魔の森の奥地まで進んでいける実力があるという事だ・・・だとすると、目の前の人物・・・油断をする訳にはいかない・・・


どんなに、外見が幼かろうと、実力は関係ない・・・現に、幼いいでたちで、俺以上の実力者などごまんといる・・・だからこそ、俺はこう思った・・・


・・・・確認する必要性があるな・・・と


「失礼、今いいかな?」


とりあえず、話を聞く為に話しかけてみる・・・


「ベアーキラーを倒したんだって?」


本当のことを言うか解らないが、そう言ってみる・・・


「・・・俺じゃないがな・・・」


・・・?


「じゃあ、誰が・・・」


この子、男の子では無ければ、誰が・・・


「この子・・・」


そう言って、その子は、更に小さな女の子を指さす・・・・まさか・・・


「本当か?」


余りにも信じられない言葉に思わず言ってしまった・・・いくら、外見が実力に比例する訳では無いとはいえ、余りにも幼過ぎるだろう・・・


「そんな嘘を付いてどうする?何だったら他のも見せるか?」


確かに嘘を言ってもしょうがない・・・・・・・・・・・・・他にも・・・持っているのか?


「・・・・他にもあるのかい・・?ちなみにどんなものがある?」


こいつ等が魔の森からキラーベア―を持ってきたのは確かだ・・・だが、それ以外にも持っているのか?


「フウ」


女の子の名前はフウと言うらしい・・・男の子の呼びかけにフウと呼ばれた女の子は喋り出す・・・


「キラーベア237体、フェンリル153体、グリーンドラゴン256体、レッドドラゴン163体、ブルードラゴン・・・・」


・・・今なんて言った?ドラゴン?・・俺すら倒すのが難しい存在だぞ・・


・・・それに上位種のドラゴンの名前が出てくる・・・私ですら、それだけの数を倒すこと等不可能に近い・・・これが本当だとすれば・・・こいつらは異常だ・・・


「解った、もういい」


本当かどうか解らないが、そんな物をここで出されたら大騒ぎになる・・・嘘の可能性の方が高いが、現にキラーベアーがこの場にある、万が一本当だった場合、キラーベア―すらこの騒ぎなんだ・・・どうなるかは想像に難しくない・・・


これは、ここのギルド長に相談するしかないな・・・ここに居るギルド長は元英雄クラスの大斧のギャンで、俺より先輩だ、俺より経験があるから、何かしら会わせれば解るだろう・・・


俺はそう決意し、受付に話しかけた・・・


「なあ、ギュルもうそろそろ再起動したらどうだ」


ギルド長を呼ぶ為に、受付に話しかけたのだが・・・・・


「まままって下さい。キラーベア一体どころか200体越え・・・それどころか、フェンリル、ドラゴン・・・ははそうだこれ夢なんだ・・・」


・・・先程の発言で壊れてしまったようだ・・・キラーベアーでもう、壊れかけていたのに言葉だけでもドラゴンが出て来たのだ・・・俺ですら、このギルドにドラゴンの持ち込みなど余りしていないからな・・・とはいえ、言葉だけでこれとは、これは受付としてどうなんだ?・・・・・まあ、仕方がない、俺が連れて行こう・・・


「私が案内する、付いてこい」


そう言って、こいつ等を連れて行こうとした所、さっきまで口論していた男とは別の人物が声をかけて来た・・・


「待って下さい!!!こんな得体の知れない人達を入れるなんて、大体この素材の出所だって・・・!!!」


はあ、それを判断するのは、ギルドの方だろうに・・・第一、もし、こいつ等の実力が本物だったらどうするつもりなんだ・・・?


俺は自分の身は自分で守れるつもりだが、こいつ等は違う、もし、この二人が俺達の想像以上だった場合、ここで暴れられでもしたら、こいつ等を守り切れない・・・


「うるさい黙れ!!!」


そう言って、突っかかって来た男を黙らせた・・・周りもさっきまで騒めいていたが、シンと静まれかえる


・・・というか、こいつは解っているのか?魔の森の魔物は奥に行く程強くなる・・・


こいつ等の素材どうやって手に入れたが知らないが、この大きさ、見た感じの強さから魔の森の奥深くまで入って取って来たものなんだぞ・・例え、そこから、死体を取って来たとしても、そこまで入れるという事はそれだけの力を持っているという事を・・・


お前達のクラスは解らないが、D、Cクラスなど一瞬で殺せる力を持っていると考えてもいいだろうに・・


私はこれ以上、騒ぎを立てない様にわざと殺気を強めに放った・・・これで文句を言う輩もいないだろう・・・見た目で判断をした馬鹿な連中が、こいつ等、2人にに突っかかって酷い目にあわせた所で、騒ぎが大きくなるだけ・・・出来るだけ、穏便に済ませたいしな・・・


「ついて来い」


そう言って、2人をギルド長室の部屋へ案内した・・・俺は楽観視していた・・ギルド長と俺が居れば力づくの解決策を取ったとしても、対応できると・・・本気でそう考えていた・・・


・・・ドラゴンを倒した・・・その言葉を俺自身本気にしていなかったのだから・・・・


ギャンの部屋に行き、ノックして入る・・・


返事が無かったがいつもこれで入っているし大丈夫だろう・・・


「ギルド長話があります」


「ノックしたら返事まで待たんか」


別にいいだろう・・・返事まで待つの面倒だし・・・


「すみません、至急報告したい事がありまして・・・」


そう言って、俺は、話の矛先を変える・・・


「何じゃ騒々しい」


「入れ」


そう言って、先程、ギルドの受付であった2人の子供を部屋に入れ、ここに来た理由を説明する・・・


「この者達が魔の森でS級越えの魔物達を倒してきたらしい・・・」


まあ、ドラゴンを倒したと言う話も言っていたがそっちは本当かは解らないが・・・少なくとも、キラーベアーの頭部は持ってきていたから、少なくとも、A級並みの実力はあるだろう・・・


「本当か?」


そう言って男の子の方をを見て確認を取る、ギャン・・・その目は疑いを持った者の目であった・・・


確かに、そう言われても、信じられないだろうな・・どう見ても、ただの、子供と幼女にしか見えないし・・・


「・・・お前達、証拠を今出せるか?」


ギャンはそう言って証拠を要求してきた・・・そういえば、こいつ等、あのキラーベアーの頭どこから出したんだ?・・・荷物とか何も持っていない様だが・・・


「フウ」


男の子がそう言うと・・・いきなり、キラーベアーの死体が現れた・・・・


「空間魔法・・・そんな物を使えるとは・・・」


・・・俺もマイル以外そんな魔法使っているの見たことが無いぞ・・・だが、そう言えば、


「ドラゴンはどうした?」


とつい、気になったのでそう聞いてしまった・・・


まあこの話自体、俺は嘘だと思っていたのだが、あの受付の前でドラゴンを『出せる』と言った言葉がどうしても気になってしまったのだ・・・


その言葉が本当なら・・・空間魔法を持っている者なら、ドラゴンをこの場に出せるはず・・・その考えが頭をよぎり気づいたら聞いていた・・・


「スペースが・・・」


なるほど、スペースが無いから出せないと言ってあの時は断るつもりだったのか・・・やっぱりドラゴン何て、こんな子供が倒せる訳が無いよな・・・


俺がそう納得しようとしたとき・・・・


「フウ、頭」


その言葉を男が放った瞬間、ブラックドラゴンの頭が現れた・・・・・


・・・・・ってこの頭は!!ブラックドラゴンだとう!!!!


こいつ、俺が命かけでいつも修行の締めで取ってくるブラックドラゴンの頭をあっさり出しやがった・・・


「ブラックドラゴンだと・・・」


ギャンがそう呟く・・・・俺もこの目が信じられん・・・


だが、この頭・・・どうみても偽物には見えない・・そう言えば、こいつ等、ドラゴンを数百単位で狩ってたと言ってたよな・・・・もしかしてこいつも・・・・


「ちなみにブラックドラゴンは何匹狩った」


まさかと思いながら訪ねる・・・


「フウ」


「128匹」


・・・桁が違う・・・しかもこのブラックドラゴン、俺が倒している様な幼体ではなくどう見ても大人だよな・・・・・


・・・・こいつ等の強さは危険だ・・・


俺はギャンの近くに行き話し合う・・・


「ぎゃ・・・ギルド長・・・何か解りました?・・・」


「ひそひそ話位ギャンと言ってもいい!・・・・申し訳ないが解らん・・・空間魔法を使えるという事は魔法使いという事位か・・・解ったのは・・・」


「それにしては魔力が・・・」


「隠蔽しているのだろう・・・それこそ、儂らにも感知できない程にな・・・」


その言葉に戦慄した・・・俺は確かに魔力が少ない、だから戦士としてやってきたのだ。


だが、だからこそ、魔力の動き、流れと言うのには人一倍気を付けて来た・・・それが、この二人からは全く感じない・・・俺は身震いをした・・・


「・・・・目的を聞きだせ・・・・あれだけの実力者が今まで埋もれているのは可笑しい・・・恐らく何か別の目的で接触してきたのだろ・・・それを確認しろ・・・」


・・・・・・・・・簡単に言ってくれる・・・まあ、その意見は俺も同様だ・・・


「方法は?」


「任せる・・・」


俺は、ため息をつきながらあの二人の所に向かう・・・とは言え、俺自身、尋問何てしたことが無いぞ・・・・


「魔物素材を換金して欲しいという事だがそれ以外に何かあるか?」


・・・・この聞き方は無いな・・・自分で言っててこれは酷いと思った・・・・


「いや、特には」


案の定否定してきやがった・・・・そりゃあ、本当の事を言う訳が無いだろうしな!


「君達はどこからやって来た」


とにかく会話を続けて情報を聞き出そう・・・


「俺達は魔の森からやって来た」


・・・こいつ俺を馬鹿にしているのか?狩りに行った場所じゃなくて住んで居た場所だろう!文脈で察せ!!!


「それ以前は」


とにかく冷静に聞き返す・・・今度は狩りを行った場所の名前なんて言わないよな?!


「俺はニン村に住んでた」


ニン村・・・確かここからそれなりに離れた所にある田舎だったか・・・後で調べよう・・・・・・・俺は?


「この子は」


そう言って、フウと呼ばれていた小さな子供を見る・・・


「・・・」


「どうした」


「黙秘って事で・・・」


・・・・・・・怪しい・・・怪しすぎる・・・さっきから、言っている事を誤魔化してる節があるし、フウと呼ばれた子供については黙秘ときたもんだ・・・だがこいつ等はこの聞き方では、これ以上は話さないだろう・・・・穏便な方法ではな・・・・


次の瞬間俺は大剣に手を掛けた、剣を抜き男の首元に剣の切っ先を当ててやり、脅しをしながら強引に聞き出そうとしたのだ・・・


相手の実力は底が見えないが、魔法使いの初動はどうしても遅れる・・・この距離なら魔法を放つ時間すらない・・・そう思っていた・・・


・・・その考えが間違いだった事をすぐに思い知らされた・・・大剣に手を掛けた瞬間、フウと言われた子供がいつの間にか移動し、恐らく、魔法で出したであろう氷の剣で俺の首元を狙っていたのだ・・・


その後のことはよく覚えていない・・・フウと言われていた子供から凄まじい殺気が放たれ、俺はもうしどろもどろだった・・・・・・ブラックドラゴンと対峙していた時よりも強い重圧だぞ・・・


それをもう一人の男が簡単に首根っこを掴んで俺から引き離した・・・


しかも、フウと呼ばれていた子供はその際、一切抵抗もせずに、引っ張られていった・・・あれだけの実力者が全く抵抗せず、なすがままとは・・・・本当に恐ろしいのはこの男か・・・


ギャンがとにかく、即金で金貨100枚を渡し帰らせたのだ・・・そんな端金で帰る訳が無いと俺は心の中で叫んだが、男は物凄く喜んでいた・・・・・・・・・しかも、こんなに金貨をくれるからって、さらに素材を渡そうとする・・・やめてくれ・・・俺の素材に対する価値観を壊さないでくれ・・・


結局、ギャンもこれ以上の素材は扱えないと断って帰らせた・・・それ以前に、フウという子供が首根っこを掴まれながらも殺気を放っている状況で貰ってられるか!!!


「・・・・・・・・あいつら何者なんだ・・・?」


俺は声が震えながら、ギャンに聞いた・・・


「・・・解らん・・だが、とにかく1週間後にこの素材の代金を取りにまたやってくるという事だけは確かだ・・・・・」


その言葉に俺は更に恐怖を感じr・・・またあいつらに会う・・・・出来れば二度と会いたくない奴等なのに・・・・


「・・・・・・・・初めてですよ・・・人間同士の闘いで恐怖を感じたのは・・・・・・・」


「・・・申し訳ないが、お主には一週間後あいつらと闘ってもらう・・・」


俺としては、闘いたくは無いが、先輩であり、師匠であるギャンの言葉は断りづらい・・・


「・・・・・・理由を聞いても?・・・」


せめて、闘う理由だけでも聞いておきたい・・・


「最初は魔法使いだと思っていたが、あの動き、魔族かも知れんぞ・・・」


そうギャンが言い放った・・魔族、我ら人間と敵対している存在、ほとんどが、魔界に居るがたまに人間界に紛れているのを報告されている・・・


「・・・・・・・・・・それで、俺にどうしろと・・・」


「相手の実力を確認、もし危険な存在だと判断すれば、その時点で出来れば殺せ・・・出来なければ実力を測るだけでいい・・・まあ、あの話を本当だとすれば、セシル・・・お前でも勝てないだろうだがな・・・」


「ドラゴン1000匹ですか・・・嘘だと思いたいですね・・・」


「・・・とにかく試合を通して、実力だけでいい確認をしてくれ・・・」


「・・・解りました・・・」


そう返事をして一回に戻ると、一階にいる冒険者全員気絶していた・・・おい、おい、俺が知っている様な実力者・・・Bランク、Aランクの冒険者まで気絶しているぞ・・・・


・・・・・・絶対先程のフウって言う子供の殺気の所為だよな・・・これだけ離れていたのに、こいつ等が気絶するとは・・・はは・・・本気で俺、あいつらと闘うのかよ・・・・


俺は憂鬱なままその日は帰った・・・

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