第364話 自分の運命は自分で切り開きますっ!

今日も夏の日差しが眩しいですっ!これだけ太陽がさんさんと輝いていれば洗濯物もすぐに乾いちゃいますよねっ!

…ま、私は洗濯物を干さないんだけどねっ。なぜか洗濯物禁止令が延長されちゃったし。私が何をしたっていうのよっ!!



ーー変態的奇行をしてるからだろ。



それにジップロックしておいたタロウさんのタンクトップを取られちゃったしっ!!私の宝物だったのにっ!!



ーー取られたんじゃないだろ。盗ったんだろ。



まあっ、私のコレクションの中で初期の頃に頂いたタンクトップだったからもう匂いも無くなってたからいいんだけどさっ。



ーーうわぁ…コレクションって…



そもそもさ…おかしくないかな?私のターンっていつなのっ!?全然無いよっ!?明日からタロウさんは牡丹ちゃんと一泊イチャコラだよ!?また私のターン来ないよっ!?正妻だよっ!?正ヒロインだよっ!?この扱いはおかしくないかなっ!?



ーーおかしいのはお前の頭だ。



…もういい。作者に頼るのはやめるわ。自分の運命は自分で切り開くっ!!例えどんなに姑息な手を使ってでもっ!!美波イキますっ!!




ーー



ーー



【 慎太郎のマンション地下駐車場 】



…ふふっ。タロウさんは楓さんを車で送って行った。当然帰って来るのはこの地下駐車場。ここで待っていれば必ず鉢合う。

牡丹ちゃんは私の代わりに洗濯。みくちゃんは部屋のお掃除。アリスちゃんはちび助と一緒に夏休みの宿題。私の邪魔をする者は誰もいない。

私はこの時を狙っていた。明日、牡丹ちゃんはタロウさんと2人きりで一晩明かす。間違いが起こってしまう可能性はあるわ。だからこそここで勝負手を打たないといけない。私がタロウさんの正妻である事を確固たるものにして、今日で試合を終了させればいいだけなのよっ!!その為にまずはタロウさんと2人きりにならなきゃいけない。チャンスはここしかなかった。私の千載一遇の好機!!ここをモノにして見せるわっ!!



ーー失敗フラグが立ちまくりですな。



と、私が妄想をしていると地下駐車場に車が入って来る音が聞こえる。この音は間違いない。タロウさんだ。

私は地下駐車場の隅に隠れる。当然私に気付かないタロウさんは車庫入れを行う。タロウさんは華麗に1回で車庫入れを終わらせる。美波にも車庫入れして欲しいですっ!!



ーー下ネタかよ。最低な自称正妻だな。清楚さのカケラもなくなってきてるよ。



よしっ!!ここで私が突然現れればタロウさんは驚く。そして慌ててるタロウさんを丸め込んで外に連れ出してお城に向かうっ!!

ふふっ、我ながら恐ろしい程完璧な作戦ね。生まれる時代が違っていたら軍師として名を馳せていたに違いないわ。



ーーこんな事言うのはイラっとするから言いたくないけど、お前と慎太郎って波長似てるよね。思考が同じだもん。



ーー慎太郎がエンジンを切り、ドアを開ける。すると何かがヌッと現れる。



「タロウさんっ!!」


「おおっ!?美波?どうしたこんな所で?」



ーー不意をつかれた慎太郎は驚く。それにより冷静さを奪われた事は間違いない。自称正妻の作戦通りだ。



「お出かけしましょうっ!!」


「え?なんで?」


「いいからっ!!早く行きましょうっ!!」


「あ、はい。」



ーー美波の目が血走っているので慎太郎は逆らうのをやめた。完全に美波のペース。慎太郎から思考を奪った美波は計画を粛々と進行させる。美波が流れるような動きで助手席へと移動し、シートベルトを締める。



「あ、その前にスマホ貸して下さいっ!!」


「え?なんで?」


「いいからっ!!」


「あ、はい、すみません。」



ーー慎太郎は美波が怖いのでおとなしくスマホを渡す。



「ほっとくとヤンデレ女子高生が邪魔してくるから電源を切ってっと。私のスマホも切っておかないとねっ。これでよしっ!!」



ーー美波がウキウキしながら準備を整えているのを慎太郎は死んだ目で見ていた。



「さっ!!エンジンかけて下さいっ!!イキますよっ!!」


「あ、はい。えっとドコに行けば…?」


「……イキナリお城はマズイよねっ。それだと痴女だと思われちゃうし。バルムンクがタロウさんは生娘が好きって言ったんだからきっと私から誘っちゃダメ。タロウさんの中の狼さんを目覚めさせて、タロウさんが私をお城に連れて行きたくなるようにしないと。」



ーーもうお前の清楚設定は完全に崩壊したな。お前はただのぶりっ子変態クンカーエロ女子大生だよ。清楚ってのはヤンデレクイーンみたいなのだよ。



「とにかく車出して下さいっ!!ここでモタモタしてるとヤンデレ女子高生が来ちゃいますからっ!!」


「あ、はい。じゃ発進します。」



ーー慎太郎は美波の命令に従い車を出す。



よしっ。ここまでは計画通り。後は私の正妻力を駆使してタロウさんとお城に行くだけっ!!美波、オトナの階段をのぼりますっ!!



ーー久しぶりに訪れた美波のターン。果たしてどこまで計画通りに行くのだろうか。

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