第348話 急展開
【 慎太郎・みく 組 2日目 AM 8:15 慎太郎とみくの部屋 残り14人 】
……俺、何やってんの。
何、みくと一緒に風呂入ってんだよ。
髪と身体洗ってもらってんじゃねーよ。
それに一緒に浴槽入っちまったよ。俺が背後からみくを抱く格好でだよ。
ーーお前、そんな事をやってたのか。
コレ、絶対みんなにバレるわけにはいかない。特に牡丹。牡丹にバレたら100パー殺される。
ーーみんなが必死に戦ってるのにお前らは何してんの。
「なんか弱ってたからついやっちまったんだよなぁ…やったっていってもナニもしてないよ?風呂だけだよ?」
ーー昨日の朝からかなりヤバめな事をしてるけどな。
「…ちょっと冷静にならんといかんな。なんか、みくは積極的だし優しいからつい流されちゃうんだよな。」
ーーお前がだらし無いだけだ。
現にそんな事を言いながらみくに抱きかかえられてるじゃねーか。
「…むー…さっきから何をブツブツ言うとるん…?」
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「別にええよ…どーですか、おにーさん…?元気出ましたー…?」
みくが俺を抱きかかえながら優しい口調で言ってくる。
「…おう。」
「なら良かった。いつでも甘えてええからね。」
「…おう。」
ーー牡丹に刺されればいいのに。
********************
【 2日目 PM 8:45 慎太郎とみくの部屋 】
さて。勝負所だな。
朝メシの時に他の8名の様子を見ながら推理してみると1組見つける事が出来た。間違いなく奴らはペアだろう。そして恐らくはそいつらが”盾”を持っているはず。
岸井彩名と立原弟が”盾”を持っている。奴らが俺の読み通り持っているならば、”盾”持ちはこれで消え、俺たちの勝利がほぼ決まる。問題は他の2組に俺たちのペアが見つからないようにしないといけないがそれはほぼ大丈夫だろう。自分を過大評価している訳では無いが、俺とみくより頭のキレる奴はこの館にはいない。正直かなりイージーなイベントだ。偶々運が良かったのか、それとも”誰かが敢えてこの組み分けにした”のか。
何れにしても俺とみくの勝ちはほぼ決まりだ。あとは責任を持って佐々木さんのクランと立原姉弟を勝たせればそれでいい。
「そろそろ時間やね。今日のコレが大一番だね。」
流石はみく。俺と同じ考えだな。最初は赤点女子高生だとか思ってしまった俺を許してくれ。
「ああ。これが決まれば少なくとも俺たちの勝ちはほぼ決まる。これもみくのおかげだ。みくがパートナーでいてくれてよかったよ。ありがとう。」
「あはっ!そう言われると嬉しいな。タロチャンの為になれたんやったらウチは大満足や。」
「みくは入ったばっかだし、俺のカッコ悪い所見てないからわからないと思うけど、俺ってリーダーだけど結構頼りないんだよ。ダメダメな所ばっかりだし。だから、これからもたくさんみくに迷惑かける事があるだろうし、助けてもらわないといけない事がいっぱいだと思う。こんな俺だけどよろしくお願いします。」
ーー慎太郎がみくに頭を下げる。
そんな慎太郎を見て、みくは慎太郎に近づき抱き締める。
「そんなん当たり前やん。ウチはタロチャンに全部捧げる。タロチャンの側にいる。だから困ったらなんでも言ってな?ウチはタロチャンの支えになりたいから。」
ーーみくは慎太郎の胸に顔を埋めながらそう言う。割といい台詞をお互い言っているはずなのに、散々イチャコラしているからか腹立たしく感じるのは私だけだろうか。
「…ありがとう。じゃあ行くか。」
「うんっ!!」
********************
【 2日目 PM 9:00 食堂 】
ーーミリアルドが食堂内に配膳台を引きながら入って来る。
「お待たせ致しました。それでは夕食とーー」
「ちょっといいか?」
ーー慎太郎が手を挙げる。
それをミリアルドが一瞬だけ鋭い目つきで見る。
「どうされましたか?」
「食事の前に密告をしたい。」
ーー慎太郎の言葉に食堂内がどよめく。
それはどのタイミングで慎太郎が密告するか知らされていなかった佐々木若菜たちも例外では無かった。
「わかりました。誰を密告されるのですか?」
「我妻と二階堂だ。」
「「はっ!?」」
ーー慎太郎の言葉を聞き、我妻と二階堂が立ち上がる。
「ちょっと田辺さん!?何を言ってるんですか!?」
「そうだよ!!俺らが同じクランなわけねーだろが!!!」
ーーこの時点で我妻と二階堂以外のプレイヤーは2人の脱落を確信する。
そして、
「今からでも遅くなーー」
「はい、正解。」
ーーミリアルドが慎太郎に確認を取るまでもなく、無慈悲に2人の頭を爆散させる。
そして、
「もう茶番も終わりでいいな。これで終いにしよう。お前たちの勝ちは決まりだ。」
「は?」
ーーミリアルドが指を鳴らし、慎太郎、みく、佐々木若菜、岸井彩名、立原姉弟以外のプレイヤーの頭を爆散させる。
「キャァァァァァ!?」
「なんなのよ!?」
「ーーッッ!?」
「うおお…!?」
ーー生き残った者たちは驚き慄く。
「お前たちはもう帰れ。この場には要らん。」
ーー再度ミリアルドが指を鳴らすと佐々木若菜たちが姿を消す。
それに脅威を感じた慎太郎はすぐさまみくの元へ駆け、彼女の盾となるようにミリアルドの視界からみくの身体を隠す。
「タロチャン…!?」
「この展開は予想外だな…」
ーー慎太郎とみくが警戒を強める。
「佐々木さんたちをどうしたんだ…?」
ーー慎太郎がミリアルドに尋ねる。
「あの連中はリザルトへ向かっただけだ。お前たちが組んでいる事はわかっていたからな。」
「へぇ。しっかり周りの行動監視してんだな。」
ーーミリアルドは慎太郎の目を鋭い目で見つめる。
「残りの連中を始末したのは時間の短縮の為だ。あのまま続けていてもお前たちの勝ちは揺るぎない。時間の無駄だ。」
「そりゃどうも。」
「だが勘違いはしない事だ。この館には強者はいない。お前たちが勝てるようにお膳立てしたに過ぎん。」
「俺たちが勝てるように…?何の為に…?」
ーー慎太郎がミリアルドの言葉に違和感を持つ。
「それを教える義務は無い。」
「あっそ。お前らの事だからそうだと思ったよ。なら俺らもリザルトに行かせてくんねーか?早く帰りたくてよ。」
ーー慎太郎が最大限に警戒を強めながらミリアルドの様子を伺う。
「本来ならばその予定だったが気が変わった。」
ーーミリアルドがそう言いながら腰に差すゼーゲンらしき剣を鞘から引き抜く。
「ここで貴様らを始末しよう。俺のカンが貴様らをここで逃してはいけないと警告をしているのでな。」
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