第325話 朝の一幕
「ん…朝か…」
珍しく自分で目を覚ます。いつもならアリスか牡丹が起こしに来るので自力起きなんて久しぶりだな。昨日はいろいろあってあのまま寝ちゃったもんな。てか今何時だ?
俺は時間を確認する為、スマホを探そうとする。そう思って身体を動かした時だった。左手に何か柔らかいものが当たる。寝惚けているので正常な思考も出来なければ目も開かないので手探りで確認をする。何だろう。とにかく柔らかくて温かくて気持ち良い。それに手の平では収まらない程の大きさだ。また、先端に突起があり、コリコリしていている。一体何だろう。そう思いながら手探りで確認していると段々と目も開いて来るので目視でそれを確認する。すると、
「……は?」
胸だ。乳房だ。どう見てもおっぱいだ。パニクる脳内。俺は目線を上にやるとみくが寝ている。全裸で。そしてここで自分の状態にも気づく。俺も全裸だ。パンツも履いてねぇ。
「えっ!?なになになに!?何これ!?えっ!?ヤッちゃった!?みくとヤッちまったの!?」
慌てふためく俺。ただでさえ脳内が覚醒していないのにより一層思考回路が停止する。
「えっ!?ええええええ!?マジかよ!?ええええ…」
あかんって。淫行じゃん。逮捕じゃん。牡丹とノートゥングに殺されるじゃん。アリス露頭に迷うじゃん。うわ…どうしよう。大変な事をしてしまった。
…いやいやいや。落ち着けって。記憶に無いなんておかしくね?酒飲んだわけでもないのに忘れてるなんておかしくね?思い出せ。俺は確かに昨夜みくとキスはした。でもその後に作戦立ててすぐに寝たはずだ。だもんみくとヤッちまってるわけがない。本人に聞いてみよう。それが一番だ。
俺はみくを起こそうと身体を揺すってみる。
「みく。おい。起きてくれ。」
しばらく揺すっているとみくが目を覚ます。
「むー…なんなん…あー…タロチャンや…」
そう言いながらみくが俺に抱きついて来る。全裸で。俺も全裸で。
「ちょっ…!?くっつくな…!!いろいろ当たってる!!」
ーーみくの体温と胸の感触により慎太郎の股間が膨張してしまう。だがそれは生理現象だから仕方がない。至って正常だ。
「口では嫌がってても身体は嫌がってないやん。元気いっぱいやん。反応しまくりやん。」
ーーお互い裸でくっつかっているのだから慎太郎の慎太郎もみくに当たっている。バレるのは当たり前だ。
「…しゃーないだろ。って、今はそんな話してる場合じゃない!!あのさ…昨夜って…覚えてる…?」
ーー慎太郎は恐る恐るみくに昨夜の事を尋ねる。
「覚えてるに決まってるやん。ウチの初めてやったんやから忘れるわけない。最高の初体験だったよ。」
ーーみくの言葉に慎太郎は意識を失いそうだった。
…終わった。俺の人生終わった。このイベントが終わっても俺に待っているのは死だけだ。でも仕方がない。俺が自分でやってしまったんだ。みくと結婚しよう。牡丹とノートゥングには土下座をして許してもらおう。
「…そっか。ちゃんと責任は取るよ。」
「ん?責任?なんの?あ!朝のをしてくれるって事?えへへ、それじゃしてもらおかな。」
「え?いや…今ちょっとそんな気分じゃないんだけど…」
「えー!責任とるゆーたやん!それに昨夜もしてくれるゆーたやん!」
ーーここで慎太郎は若干みくと会話が噛み合わない事に気づく。
「え…?してくれるってそんな事言った?」
「ゆーた!!楓チャンと牡丹チャンともしてるんやからウチにもしてくれるゆーた!!」
「……あのさ、みくは何の話してるの?」
「チューの話。」
「……最高の初体験って何の事?」
「ファーストキスの事。」
「……あのさ、ハッキリ聞くね。俺らってヤッた?」
「ヤッたって?えっちって事?」
「うん。」
「したいならしてもええよ?する?」
「まだしてないよね?」
「まだしてないよ?」
「あのさ、なんで俺らって裸なの?」
「あー、それね。ウチって今まで寝るときは裸で寝とったんよ。でもみんないる前じゃ流石にできんやん?だから我慢しとったんやけど、昨日はみんなおらんからええかなって思って裸になったの。でもウチだけ裸やと恥ずかしいからタロチャンも脱がそ思うて脱がしたの。やっぱ裸やと気持ちええなぁ。タロチャンと密着してるともっと気持ちええもん。」
「紛らわしい事してんじゃねぇよ!?俺の人生終わったと思ったじゃねーか!!」
「何怒っとるん?」
「怒るに決まってんだろ!!勝手に人の服脱がすな!!」
「ウチにくっつかれて股間膨らませてたくせに。」
「…それはしゃーないの。いいから服は脱がさない事!!わかった!?」
「そんなんどーでもええやん。早くチューしよ。」
「どうでもよくないよね!?」
「あー、もうタロチャンうるさい。ウチで勝手にする。」
「おい!ちょっーーんんっ!?」
ーーベッドで抱きついている状態からみくが慎太郎の頭を強引に掴み、自らキスをする。
「えへへ、充電満タンや!とりあえずウチ、シャワー浴びてくるね。」
ーーそう言い残し、みくは風呂場へと消えて行く。
「…はぁ。ま、いいや。とにかくヤッてないんならいいや。」
ーー朝から疲れた慎太郎であった。
ーー
ーー
「まだドキドキしとる…ちょっと頑張りすぎたかな…でもタロチャンも意気地なさすぎやん…ウチがこんなに頑張ったのに…でも…それですぐ襲って来るような人じゃないって思ってるウチもいる…矛盾しとるな…どうしよ…恥ずかしくてタロチャンの顔見られへんわ…」
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