第194話 安定の2人
【 慎太郎・牡丹 組 2日目 AM 9:15 洋館 本館 3F 映写室 】
ーークリーチャーとの戦いが終わり、バルムンクから慎太郎へ身体の所有権が移る。
「痛ててて…やっぱゼーゲンで強化されてても奥義は身体に堪えるんだな…なんちゃら王拳使った戦闘民族の気持ちがわかる今日この頃…」
「お疲れ様です、タロウさん。」
安定のゼロ距離に牡丹がいる。キスをしろと言わんばかりの距離じゃねぇか。身体が疲れてたりすると性欲って増すよね…きっと子孫を残そうとするオスとしての本能がそうさせるんだろうな。牡丹に俺の遺伝子注ぎ込みてぇなぁ…
「お疲れ、牡丹。姫様をお守り出来たようで何よりでございます。」
「ふふふ、とても頼りになる騎士様でした。これからも姫の護衛をよろしくお願い致します。一生。」
…うーん、安定の重さだな。牡丹はブレないなぁ。ま、牡丹が俺から離れるまでは面倒見るけどさ。
「おう。任せとけ。」
ーー慎太郎はわかっていない。慎太郎は将来的に牡丹は離れていくと思って軽く考えているが牡丹にその気は全く無い。牡丹の気持ちは120%慎太郎LOVEなのだ。いや、一日一日パーセンテージは上がっていってるのでもはや120どころでは無い。それどころか慎太郎がそうやって牡丹の気持ちに応えるからさらに依存していく。まさにLOVEのスパイラルだ。
「首…大丈夫ですか…?咄嗟の事でしたので乱暴に襟首を掴んでしまいました…申し訳ありません…」
「あー、さっきのか。何で謝る事があるんだよ。牡丹が守ってくれなかったら俺の腹は抉られてたわけだしな。本当にありがとう。」
ーー慎太郎は毎度恒例の頭ナデナデをする。依存が高まっていく事も知らずに。
「傷ついていませんか…?」
「ちょっとヒリヒリするぐらいかな?それより牡丹の爪の方が大丈夫か?剥がれたりしてない?」
「私は大丈夫です。ありがとうございます。少し首の後ろを見せて頂いてもよろしいですか?」
「そんな気にしないで大丈夫だよ。」
牡丹が気にするから俺は後ろ首を見せる。
「擦り傷になっているじゃないですか…!?」
「そんなの大した事ないって。」
「菌が入ったら大変です!!消毒致します!!しゃがんで下さい!!」
「あ、はい。」
全く牡丹は心配性だな。ま、ぶっちゃけ嬉しいけどさ。ん?でも消毒なんてどこにあんだ?
ーーそう思った時であった。
慎太郎の後ろ首に生温かい感触が伝う。そして呼吸音と吸い上げるような感覚とチュパっという艶かしい音が映写室に響く。
「……あのー、牡丹さん?」
「んっ…はい…あなたの牡丹です…」
「……何をされているんでしょうか?」
「申し訳ありませんが消毒液を私は持っていません。ですので僭越ながら唾液で消毒をしております。」
…いやいやいや、何してんのこの子。そんな艶かしい音出されたらもう俺の理性ぶっ飛んじまうじゃねぇか!!息子がギンギンになってますよ!!
「気持ちは嬉しいけど汚いから!!汗かいてるしさ!!」
「タロウさんが汚いはずありません。むしろ美味し…すみません、間違えました。」
「今何を言おうとしたの!?」
「いいから大人しくしていて下さい!!」
「あ、はい。」
それから数分間牡丹からの治療もとい愛撫が続いた。俺はいきり立った息子が暴走しないように必死に努めた。
「ふぅ、これで大丈夫かと思います。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「お風呂から出たらまた消毒致しますね。」
「風呂から出たらまたやるの!?」
「もちろんです。タロウさんのお手当ては私の担当ですので。」
「そうだったんだ!?初めて知ったよ!?」
「では参りましょうか。」
「…ごめん、ちょっと立てないから待っててもらっていい?」
「……?」
ーーイベント中であっても安定の慎太郎と牡丹なのであった。
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