第67話 私って呪われてませんか?
忘れたくても忘れられない悍ましい声が聞こえた。決して空耳では無い。身体が震えている。全身の細胞が拒絶反応を起こしている。
私は戦慄を覚えながら声のする方へと向く。
見間違えようの無い特徴的な爬虫類のような眼、痩せ細った身体、間違いない、澤野だ。
何でいつも澤野と遭遇するんだろう…遭遇率高いよね…私、呪われてるのかな…
「何で…あなたが…」
「カカカカカ!それはアレや!ワイと美波ちゃんは運命の赤い糸で繋がっとるからや!!うーん…処女のエェ香りや!!まだシンさんにヤられとらんようやな。安心したわ。楓ちゃんも処女のエェ匂いするわ。堪らんなぁ!!」
相変わらずの気持ち悪さ…この男を見るだけで吐き気が込み上げてくる。
「驚いた。あれだけ血を流していたのに生きているとはね。ゴキブリ並みの生命力ね。」
「褒め言葉として受け取っておくわ。でもな、この左目と左手を見てみぃ…左目は潰れて眼帯するハメになるし、左手は義手しとるんやで?ロケットパンチ使えるようになってもうたわ。」
「ウフフ、カッコいいじゃない。あなたにはお似合いよ。それで?今度はどこを斬り落として欲しいのかしら?私たちこれから食事なの。さっさと終わらせたいわ。」
「ほんならワイのフランクフルト食べさせてあげよか?ミルクのサービス付きやで?」
美しい楓さんの顔が女の子がしてはいけないような顔になっていく。
「さっさと首を刎ね飛ばして終わりにするわ。あなたを見ていると反吐がでる。」
「そんなつれない事言わんといてや楓ちゃん。ワイはここまで一生懸命走って来たんやで?ワイの股間はもう蒸れ蒸れや。汗で蒸れたコイツを楓ちゃんと美波ちゃんにクンカクンカさせたいわ!!」
「最低…」
「死ねばいいのに。」
「なんやなんや!!お前らな、そう言うけど男はクンカさせたいモンなんやで?お前らが大好きなシンさんだってクンカしたったら悦ぶんやで!?」
「あなたみたいな人とタロウさんを一緒にしないで。そんな変態的な事でタロウさんが喜ぶわけないでしょ。」
「いいや、それは違うで美波ちゃん。クンカで悦ばん男はいない。何でかわかるか?征服した気分になるからや。自分の象徴たる男根の臭いを女に覚えさす、それが最高にクルんや。犬やってマーキングするやろ?それと同じや。シンさんだってそれは間違いない。」
…まぁ…タロウさんが喜ぶなら私はなんでもするけど…って、ダメダメ!!何をこの男に乗せられているの!!しっかりしなさい美波!!タロウさんはそんな変態じゃない!!
「黙りなさいクズ。仮にタロウさんがそれで喜ぼうとお前の知った事ではないわ。弁えなさいクズが。」
楓さんが完全に女の子がしてはいけない顔になっている。
「酷っ!?ワイだって人間なんやで…傷つくわ…」
「茶番は結構。私は私の周りの人たち以外はどうなっても知った事じゃないわ。だからお前が傷つこうが誰が不幸になろうがどうでもいい。」
「カカカカカ!!そういう偽善者ぶらないトコ好きやで楓ちゃん。人間正直なんが1番や。」
「お前になんて好かれたくないわ。来ないならこっちから行くわよ。」
楓さんがゼーゲンを引き抜く。楓さんから殺気が出ているのですごく怖い。
「待て待て。今回は争いに来たわけやないんや。”闘神”相手に勝てるなんて思わへんからな。今日はアイサツに来ただけや。ワイもクランを結成してなかなかオモロイメンツを揃えたんや。せやから今回はお互いに干渉せんとこ。ワイからは絶対攻撃はせん。約束する。」
この男の約束なんて信用できるわけがない。だがそんな問答はしたくない、早くこの場から消えて欲しい。私の細胞レベルでこの男を拒絶している。正直怖くて身体が動かなくなってしまいそうだ。それぐらいこの男の恐怖が身体から取れない。
「何でもいいわ。さっさと消えなさい。目障りよ。」
「ありがとさん。ほな礼として情報をプレゼントや。この近くにアルティメットを所持しとるプレイヤーがおるで。気ィつけや。」
「アルティメット…!?」
「…何でそんな事をお前が?」
「さぁなぁ?ま、信じる信じないは君らの勝手や。ほな、ちゃあんと処女守っとくんやでぇ?カカカカカ!」
澤野が突如として姿を消す。何かのスキルだろうか。周囲一帯から澤野の気配を感じない。でも居なくなってくれるならそれに越した事はない。今は忘れよう。
「やっぱり殺しとくべきだったわね。大丈夫?美波ちゃん?あの男と接触するのは嫌だったでしょう?」
「楓さんがいてくれたので大丈夫です。ありがとうございますっ。」
「必ず美波ちゃんの事は守るから安心してね。それにしても…本当にアルティメットを所持するプレイヤーが近くにいるのかしら…?」
「10クランもいるんですからアルティメット持ちがいる可能性の方が高いですよね。」
「確かに。警戒は怠らないようにするとして、遅れちゃったけどまずは食事にしましょうか。腹が減っては戦はできぬってね。」
「はいっ!」
ーーこの食事の後に私たちはアルティメットを持つプレイヤーと遭遇する事になる。
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