第1章 第4節 「天馬騎士と氷の獅子」
29. Bathroom Disco
高く、空を飛びたいと思った。
あの、
「ああ……私は……今頃、思い出した…………」
雪風の吹きすさぶ宙を、青年が
☆
「ふぃ~っ……」
木製の浴槽に
そこそこに豪邸である怪原家のなかでも、この浴室は特に作りが凝っている。壁は全て磨き上げられた
千利休の茶室にすら通ずる、この「和」の
(……にしても本当に、勝ててよかったよなあ……)
蘭子との「かけっこ」から1週間。皆の傷も完治し、怪原家は完全に日常に戻った。この
と、そこに……
「りーくん……入っても、いいかな」
「ゲェッ、珠飛亜ぁ!?」
確認しながらもすでにガラス戸を開け、白いタオルを巻いただけの姿の珠飛亜が、遠慮がちに入ってきた。態度は
「ちょ、ちょっとタンマ……! タオル、タオル取って!」
とりあえず股間を隠しつつ、理里は自分用のタオルが置かれている脱衣所の方を指さすが。
「えっ……いいの? うふふ、しょおがないなあ……」
何を勘違いしたのか、珠飛亜は顔を赤らめながら、彼女自身のタオルに手をかける。
「オレのをそこから取ってくれって言ってるんだよ馬鹿ァーッ!!!!」
「はいはい、分かってるよ~♪ ちょっとからかっただけっ☆」
理里が
「それじゃ、お邪魔しまーす♡」
再び風呂場に入って来た珠飛亜は、とりあえず木製の椅子に座り、シャワーで身体を流しはじめる。ニキビひとつ無いうなじや背中が
「……それで? 何の用だよ」
なるたけ平静を装って、理里は問う。すると、珠飛亜はいたずらっぽい笑顔で振り向いた。
「おねえちゃんが弟といっしょにお風呂にはいるのに、理由がいるの? ……って、言いたかったけど。あはは、さすがにりーくんはするどいね!」
「りーくん、どう思ってるのかなって……
「えっ……ああ。蘭子さんか……」
その名を聞いた途端、理里の表情もまた、
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