人里離れた山奥の天文台で暮らす青年タンフウは、何やら訳ありのご様子。契約を迫る霊狐にうんざりしながらも、彼は二人の学者仲間たちと静かに暮らしていた。
学者キュシャは、姓を捨てて学問に専念する男たちだ。
姓を捨てるということは、過去に何かしら抱えている人もいる。主人公のたん風だけでなく、天文台の他の二人も、ひょんなことから親しくなったご近所さんの史学会の面々も、みんな何か抱えている。
そんな彼らが、国を揺るがす陰謀に巻き込まれていくうちに、抱えていたモノと向き合うことになる。悩んだりしながらも、彼らは平穏で楽しかった日々を守るために、前へと進んでいく。
その先にあるものを、しっかりと見届けたい。
大人の児童文学風ファンタジーという謳い文句に偽りはなくて、荻原規子先生が好きだったりする方は、ことさらおすすめです。
そうでない人も、幅広い世代に読んでほしいです。