3.祝福
夜の街は
「俺から先に話すとしよう」
返事は無かったが、俺は言葉を続ける。
「今日、
無言。足音。俺は続ける。
「俺は
やはり無言。俺はふたつめの違和感を伝える。
「もうひとつは……英雄ブレドの話さ。本当は全部知ってるんだろ? 魔剣の名も。その効果も。
やはり反応はない。
足音だけが響く。
俺は手に入れたばかりの核心について話すことにした。
「二五年前、人々は神によって『刃物が禁じられた』と思った。実際にどの刃物も切ることはできなくなった。でもそれは――間違いだった」
そう、神は禁じたわけではなかったのだ。
「これは『刃物が切れない』という神からの
――禁止ではなく、
これが俺の手に入れた真実だった。
「俺たちは日々、神に祈り、
話しながら歩く続けている。
見覚えのある場所にたどり着いていた。
街の中心部。
石畳の広場。
その真ん中に――守護の女神像。
バッソは歩みを止め、俺も立ち止まった。
月と女神像を背に俺は話しを続ける。
「逆説的に言えば、ガントゥを外し、
俺は首から下げた
綺麗に研がれた刃が月光の元で輝く。
俺はその刃を自分の右の前腕に当てる。
「それを今から証明する」
そう言って俺は、手にした包丁を軽く引いた。
それはツンとした――痛みだった。打撲とは違う知らない痛み。初めての感覚。その小さな痛みに下
守護の女神像のガントゥは傷ついたまま。
そして俺は丸一日走り回りっぱなしで神に祈りを捧げていない。
こうして全ての条件が揃った――
「こういうことさ」
俺は右腕を掲げた。
『刃物が切れない』という
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