ユリシーズ・ミッチェル中尉の告白

作者 人形使い

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★★★ Excellent!!!

思念は概念に宿り、概念は手段を得て伝播する。

言語のもつ不確実性が実はある種の守りであったのかもしれず、その守りを抜かれてしまった今、この敵とどう戦うのか。

みたいな事をつらつらと考え出さずにはいられない骨太な一作。

ソルディスタンが平和な土地であったなら、と思わなくはないですが、すでにシステム同士は出会ってしまった。

人類にそっと忍び寄る脅威は、日本風に言うなら「空気」

現在執筆中という長編にも期待です。

★★★ Excellent!!!

 私は、本作がオマージュしている伊藤計劃先生の『虐殺器官』は未読のままこの作品を読んだのですが、それでもこの作品を楽しむことの支障にはなりませんでした。

 というのも、あくまでもこの作品の神髄は作者様が作り上げた一つのロジックにあるからです。

 軍・文化・言語・思想・神話、次々と大きな要素を軸に話が展開していきますが、これらの要素は実は全て、作者様が本作で描いた一つのロジックを成り立たせるためのプロセスだったりします。

 何が言いたいのかと言いますと、途中で「なんだか自分には難しい話だ」と思わずに最後まで読み切っていただきたいということです。後半に近づくにつれて徐々に点と点が結ばれていくように、一つ一つの要素が繋がって、ある答えに辿りつきます。

 その答えこそが本作の神髄ともいえるストーリーなわけですが、その答えにありついたとき私は「あ、そういうことか」と、途中までは合点行かなかったものがすっかり腑に落ちました。それはもう伏線を全て回収しきったミステリー小説のように……。

 腑に落ちた答えとは何なのか……それは是非ご自身の目でお確かめください!

★★★ Excellent!!!

素晴らしい評価に関しては、他の人が申し分ない位書かれていて出る幕がないので、楽しく、素人目の感想を書かせてもらいます。

読み始めると、
まずストーリーの進行方法に驚きました。
滅多にお目にかかれないものかなと自分は思いました。
人形使いさんの文章の書き方が好みの文体で、
とてもスラスラ読み進めることが出来ましたね。

「虐殺器官」を読んだことがない状態だったのですが、
こちらの「ユリシーズ」に登場する出来事は、オリジナルだと言うように聞いたので、安心して読むことができました。wikiで調べたのですが、直接「虐殺器官」のストーリーと関わりはなく、「ユリシーズ」自体が独立したものになっていました!!

どう進むのか読めない複雑さが、読書中の自分の心をドキドキさせてくれて、
完読後には物語のすべてが核となるキーワードの重要性に気づかされ、心地よい感覚を覚えました。

〇〇の恐ろしさをヒシヒシと感じましたね。こわいw

★★★ Excellent!!!

ある軍人のインタビュー記録です。
タイトルからは、戦争の話なのかと思うでしょう。確かに、戦争の話ではあるのですが、テーマはもっと違うところにあります。
文化の話、言語学の話など、この小説で描かれている内容は、本当に深く、多岐にわたります。
私は暖房をつけた部屋で読んでいたのですが、途中から読んでいて寒気がしてきました。理由は読めばわかると思います。
ぜひご一読ください。

★★★ Excellent!!!

まず、この作品で感心するのが、インタビュー形式で在るため、世界を過不足無く自然に説明している事だ。

ミッチェル中尉の語る架空の国の成り立ちや現状、文化などが作品の根幹となり、最後に衝撃のラストに導いてくれる。

『虐殺器官』は未読でも、十分本作の凄味を感じることはできるだろう。

短編で在りながら濃密な物語を、是非堪能して貰いたい。

★★★ Excellent!!!

 小国ソルディスタン人民共和国にて用いられている言語、ソルド語が持つ特異性。その特異性が引き起こしたものとは。


 記者とのインタビュー形式であるため、架空の国やそこにおける文化を違和感なく、そして過不足なく説明されていきます。
 随所で明らかになっていく一つ一つの小さな事実。それらは単独では疑問とならない、ともすればどこにでもあるような当たり前とも言えるようなものですが、次第にそれらが結び付くことで虐殺の真相が紐解かれていきます。

 そして、様々な事実が積み重なることで精細に作り上げられた世界は、含みのあるラストで深みを更に増します。

 短編であるにもかかわらず壮大な世界観を感じるような魅力的な作品です。

★★★ Excellent!!!

虐殺の裏側の真実を対話形式で語っていくストーリーで、その内容がスルスルと入ってきやすかったです。世界観が重厚に表現されており、どこまでがオリジナルか現実かが分からなくなるほど話の描写が濃く、読んでてその世界に引き込まれるかのようでした。実現していてもおかしくない「言語」という新しい脅威。虐殺器官を既読でない私でも充分にのめり込めた作品です。

★★★ Excellent!!!

天国に旅立たれし伊藤計劃さん。彼はその筆名に、“計劃”という言葉に、どのような暗喩を込めたのだろうか。

しかして見よ。彼が残せしチルドレンは、こうしてまた彼の遺産をオマージュして、素晴らしい作品に生まれ変わらせて、後世に伝えていこうとしているではないか。

いや、これはもはや生まれ変わりなどという生やさしいものではない。人形使いさんは彼を敬愛しつつ、伊藤さんが啓示した未来の有様を、さらに進化させようとしている。紛争とテクノロジー、宗教と文化。様々な学問を統合して描かれる人間の業。

天国の伊藤さん。あなたが描いた世界のその先に、人形使いさんは“神”を見た。

伝染病のようにSF界を騒がせた伊藤さんは、死してなお熱病のようにわたしたちをむしばんで止まない。彼のことを忘れること叶わず、こうして伊藤さんを進化の土台にして、また名作が生まれてゆく。

これも“計劃”の内だろうか、天国の伊藤さんよ。

あなたにも、これを読んでほしいものだ。

★★★ Excellent!!!

場景と情報。そのどちらも適度なリズムで澱みなく頭の中に入ってきます。
それは作者の語りが生み出す効果。
伊藤計劃先生の「虐殺器官」へのオマージュ作品とありますが、作品を読んでい無い方でも十分に味わえます。
それこそが、この物語の真骨頂。
是非、この告白を聞いてください。

言葉がもつ、その力を知る人達へ。

★★★ Excellent!!!

自分は「虐殺器官」、既読です。というかファンです。
既読でなくても構わないです。読みやすい文章で、いつの間にか、とんでもないところまで連れていってくれます。

伊藤計劃らしさを継ぎつつ、文化人類学の切り口で見せて、人形使いさん独自の着想で語る。

リスペクトと知識と発想力を捩じ込んだ、高密度の短編です!

★★★ Excellent!!!

伊藤計劃先生の『虐殺器官』のオマージュと銘打たれていますが、内容の95%以上は作者のオリジナルです。

『テロリスト対策に派遣されたアメリカ軍は、なぜ現地の住民を虐殺したのか?』という謎を核として進められる、ある種ミステリー的な要素を含む軍事SF。

現地住民の文化に関する考察から始まり、最後は思いもよらないところまで世界が広がります。発想の跳躍と思弁性……まさにSFの醍醐味です。

一方、オマージュとしての完成度も極めて高く、『虐殺器官』のアイデアを受け継ぎ、正統的に発展させたといえる内容です。『虐殺器官』を読んでおくと、より一層楽しめるでしょう。

思えば、伊藤計劃先生の短編にも、既存の作品へのオマージュを多分に含みながら、その世界観を拡張していくような小説が多いんですよね。本作『ユリシーズ・ミッチェル中尉の告白』は、「伊藤計劃の作品を伊藤計劃的に再解釈したもの」と言えるかもしれません。

文章力も抜群。難解かつ抽象的な内容を含みながら、すらすらと読めます。インタビュー形式を取ることで、語りにリズムが生まれており、読者に飽きを感じさせません。形式と内容がピタリと一致しています。

『虐殺器官』を未読の方でも楽しめる内容なので、みなさん一度読んでみてください。面白いですよ。

★★★ Excellent!!!

物凄い大作ですね。
自分も含めてカクヨムには最近小説を書き始めたとか、試行錯誤しながら少しづつ鍛錬、という色んな人、段階があると思いますが、もう完成形というような作品でした。
自分の知らない事や、難しい単語が使われているにも関わらず、それがちゃんとスラスラ読めて、頭に入り、理解する事ができるこの文章力が本当に凄いと思います。
お話の内容も、興味深く、素晴らしかったです。
タイトルにユリシーズとありますが、一度読んでみたいと思いつつまだ読んでいない作品なので、何か関係があるのかな?と気になりました。
凄く勉強になりました!