第34話 そんなこんなで

雅ママが店を去り、春さんが、新しいママのような立場になり

新体制で、店を始めることになった。


まず、私は、雅ママ時代の料金システムの見直しと、

キープボトルの見直しをした。

ただの田舎のスナックに、

高級な酒のストックは必要ないし、

テーブルの数より、女の子が少ないのに、

キャバクラ的な時間売りは無理があると思っていたからだ。


料金設定を見直したからか、春さんの人気があったからか、

店は、面白いように繁盛していった。

その間、雅ママの店は、まだオープンする事はなかった。

雅ママは、冬の繁忙期に合わせて店をオープンするべく

ノンビリと回転の準備をしているようだった。


そして私はまた、馬車馬のように働き、

高橋君が作った借金を、せこせこ返済していた。

休みなく働いてはいるが、給料は東京時代の半分以下だったからだ。

離婚の話が進むこともなく、その日を暮らして行くだけで

いっぱいいっぱいだった。


そんなある日、春さんが

『部屋を借りるから、一緒に住もう』と言ってくれた。

何軒か、家を見に行ったりもした。

が、新体制で、軌道に乗り始めて4か月目に

今度は、私が店を辞める事になった。


春さんと喧嘩した訳でもなく、ただ、新しい男と一緒に住むために

山梨へと放浪しただけだった。



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