第6話 廃業

看板女優と共に、『子どもらしい子ども』を演じる事を辞めた私は、少しばかりの自由を得た。

中学校は、他人の顔色を窺う必要もなく、ただ一つの事を除けば自由だった。


ただ一つの事。

一つ年上の姉の存在だった。当時の彼女は、お人形さんのように可愛らしく学校では評判だった。

『寧音ちゃんの妹』と認知され、行動が姉の耳に入り、それは当然、母の耳にも入る。


私達は、仲の悪い姉妹だった。

姉は『姉の私を頼って何でも聞いて』という姿勢だったが、私には、ただの甘やかされた馬鹿にしか見えず大嫌いだった。

家では学校でやらかしたイタズラを母に話され、なぜか母と姉の両方に叱られた。

気付いた頃には、私の家での立場は孤立し、母と姉は2人で私を虐げるようになっていた。

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