第2話 『平等』と、言う名の不平等感

我が家は、なにかと『姉妹、平等に』と言う

政策が用いられていた。


確かに、年子の姉妹にしては珍しく、お雛様も一組づつ、

七五三の着物も、一人づつ仕立てくれた。

確かに平等には違いない。

が、腑に落ちない。

それは、妹の私には、一切の選ぶ権利が与えられなかったからだ。


お雛様を先に選ぶのも姉。

七五三の着物は、姉がとても派手な意匠を選んだので、

私のは、絞りのシンプルな物へと決まっていた。


年子で体型も似ていた私たちは、微妙な『お揃い』を

着たり持たされたりする事も多かったが、

こちらは、だいたい私が先に選ばせて貰えた。

しかし、私が選んだ方を、いつも姉に

『私もソレが良かった』と交換させられていた。


金額や手間などを考えれば、

私たち姉妹は、かなり裕福に平等に育てられてきたのだろう。

たしかに平等だった。

ただ私の中には『平等』感はなく、

親の自己満足にしか映らなかった。


その頃ぐらいだっただろうか?

父の仕事が忙しくなり、家に帰る日が少しづつすくなくなっていた。

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