心弾む夜 11

「好きって気持ちは絶対に変わらない、って言ったでしょ」


 はい、オープンして、と彼女は手札の開示をうながした。お互いにカードを並べる。


「私の勝ちだね」彼女は赤みがかった顔に満面の笑みを浮かべた。

「負けたよ」僕も少し熱くなった頬をたゆませた。「君にはかなわない」

「ううん」首を振り、彼女は熱っぽく語る。


「クコが頼もしいこと知ってるよ。しゃべっちゃいけないことを私が言ったときちゃんと叱ってくれたし、今度の件だってクコが伯父さんを説得してくれたおかげで解決した。お父さんから話を聞いて、かっこいいって思ったもん。こういうの、惚れなおすって言うのかな」

「や、やめてくれよ」


 くすぐったくて僕は身じろぎした。好きだのなんだのと言われるのはどうしても苦手だ。


「さっきハグしたときもクコの包容力にじんときちゃった。ああ、やっぱりクコは男の子なんだなあって」

「あ、あの、もうそれぐらいで……」


 彼女の容赦ない攻めに弱っていると、救いの手を差し伸べるかのように、母さんが「さあさ、そろそろお開きにするわよ」と現れた。グミとミリーが、えー、と声をそろえる。


「もう遅い時間よ。パーティーはおしまい」


 壁の時計を見ると、普段なら外出なんて絶対許してもらえない時刻を示していた。グミにいたってはとっくに寝てる時間だ。名残惜しいけれどしかたなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る