襟裳あたり

「あ……」


 僕の後ろを歩いていた妖狐の娘が声を漏らした。


「どうしたの?」


「強い妖気を感じる……」


「いったいどこから?」


「これは……」


 娘は目を閉じると、しばらくして言った。


「約1300キロ北……」


「遠い!」

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