9

 さっきまで泣いていたアリエンの顔に、満面の笑みが浮かんだ、まるで花が咲くように。

「きれい! ねーたま、ありがと! だいすき!」

「あなた、アリエン、っていうのね。名前の通りのお花ちゃん、夜露みたいな涙がよく似合うけれど、やっぱり笑っているのもとってもいいね! 私はイーレ、覚えていてね」

「イーレねーたま! ねーたまもね、かわいいかわいいね!」

 伸び盛りの十五歳と二歳も半ばを迎えた幼子が笑いあっているその光景は何とも言えず美しくて、心が洗われていくようだ。十五歳のヴィオを保護して最初に会話した時と状況は全く異なるが、その時に抱いた気持ちと同じようなものを、リェイは感じていた。

 環に移ってからは夫にも息子にも全く会えていない。手紙を貰う度に、そこに書かれているリュークの字と言葉が真っ直ぐに整っていくのを見守り、ヴィオの書いた、会いたい、という筆跡を自分の指でなぞって口に出すことだけが、樹上にいる家族との接点だった。

 寂しいという気持ちが、今ならわかる。リェイはそれを口の端に浮かべた微笑みの奥にそうっと押し込めて、口を開いた。

「ありがとう、イーレ……よかったのか、二つで一組のもののように思えたけれど」

「クレリアの加護を! 上にいる弟からの貰いものですけれど、構いませんよ。こういうの、私も小さい頃から凄く好きで幾らでも欲しくて、よくかあさまにおねだりしていましたから。お役に立てて嬉しいです……女の子、可愛いですね、リェイさん」

 イーレはあの時のヴィオと同じ年齢なのだ。とても美人というわけではないけれど、どんな色の服も似合う白い肌をした四肢はすらっと伸びていて、くりっとした目が若葉を思わせる色に輝いている。はにかんだ顔は年相応の幼さと色気を併せ持っていた。そうしてリェイは気付くのだ、ヴィオと出逢ったのはもう七年半くらいも前で、リュークはいつの間にか六歳を過ぎている、ということに。

 目の前の少女は話を続けている。リェイはそちらに意識を戻した。

「――で、そのとっても臭い花、アノルドっていう名前なんですけれど、結構大きくて、いつも蠅が集っているんです。どんな臭さかっていうと、厠みたいな……私、まだ根の方に住んでいた頃、樹下の森でたまに見ていました、絶対に近付かなかったけど」

「ああ、あれか……確かに、生き物の排泄物や腐臭に似ているな」

 ゲリックは以前、リェイに向かって、大樹の根と同じような匂いを出すような罠を開発し、それを使って魔獣をおびき寄せる、といったような提案をしてきた。しかし、大樹に関する符の描き方を開発するとなると、それこそ更に何年も費やすことになるだろう。その間に根の町が幾つ滅ぶのだろうと考えると、ぐずぐずしている暇はないのだ。

「ああいうのを封じ込めておくの、結構難しいと思いますか、リェイさん?」

「どうだろう、匂いを封じ込める、か……」

 三人が行く先は、最早皆の集う憩いの場と化した控えの間である。環だけでなく樹下の人々は皆、竜を貴び、大切に扱い、そこに通い詰めた。シシルスを保護して育てたリェイがそこに顔を出せば、必ず質問攻めにされるのだ。きっと今日もそうなるだろう。

 とても明るい。下りの階段は、幾重にも重なる葉の間を通り抜けてきた陽の光が躍っていた。数人の子供達が、決められた時間内に木漏れ日を出来るだけ沢山踏む、という決まりを作って、飛び跳ねて遊んでいる。元気な声が環の壁に響いて、樹下の森へと吸い込まれ、まだ見ぬその向こうの世界へ風の精霊王フェーレスと共に羽ばたいていった。

「サーディアナールって、土の精霊王クレリア様の加護を受けているから、土の気が強いと思うんです、私。だから、その気を封じ込めることが出来たら、なんて考えたりしたんですけれど――」

 イーレが下唇に人差し指を当てながら話していた時だ。

 幾つもの大きな影が、階段の上を超えていった。それらが一対の翼の形を持っていることに気が付いたリェイは、無意識にアリエンを左手できつく抱き締め、右手を衣嚢の中に突っ込み、符を指に挟んで構える。

 それと同時に聞こえてきたのは悲鳴だ。

「ごきげんよう、〈烈火の魔女〉さん」

 嫌だ、離して、という大声が上がった。隣を見れば、イーレがいなくなっている。どこに行ったのかと慌てて周囲を見回した時、すぐ正面から聞こえてくるのは、何かが折れる、ばきり、という音。

 絶叫が響き渡った。

「――まさか」

 リェイの囁きは声にならなかった。目の前で羽ばたいているのは、エイデルライト――白翼の聖者と名乗った美しい青年だ。彼の周囲には鱗を持つサルペン、虫のような甲殻と透き通る翅のフィリ、鳥によく似たエイルーダなど、何頭もの騎獣がその場で宙に留まっている。毛皮を持つものがすぐ傍の壁に爪を引っ掛けていた――きっとこれがヴィオの言っていたフテロミスなのだろう、とリェイは思うのだ――その背に騎乗している人間が、腕が奇妙に曲がっているイーレを拘束していた。

「イーレ、大丈夫か、イーレ!」

 アリエンの髪をあっという間に美しく結った器用な腕が折れているのだ。思わずリェイは叫んだ。しかし、呻き声のみを返事として寄越したイーレの代わりに、純白の翼を羽ばたかせて騎獣達と同じように宙に留まるエイデルライトが答える。

「余計な者に手出しをしない方がよかったな、君がこちらに集中してくれなくなる」

「……何を言っている、自分がどういうことをしているのかわかっているのか!」

 リェイは大声で反論した。自分だけを狙うのならばまだよかった。しかし、関係のない者を傷付けるという卑劣で極悪なやり方を、樹上を守護している〈騎士〉と呼ばれる者達が選んだのだ。

「所詮大樹サーディアナールの穢れどもが、図に乗るな。地上の竜と君を片付ける為に、退治人の何人かが協力を申し出てきた……代理人の補佐とかいう奴の名前を出してきたな」

「代理人の補佐、だと?」

 補佐といったら一人しか思い当たる人物がいない。リェイは信じたくなくて、思わず訊き返していた。白翼の聖者は鼻を鳴らしてそれを嗤う。

「名前は何といったか……思い出せないけれど。そんな連中が、仲間どころか、今は君の部下だろう、違うかな? 竜と君を葬ろうとしている……これだから、火の気を持つ者は忌々しい。破壊の力を持っているから、権力が欲しくて、力が欲しくて、争いごとを起こす……もう、纏めて全部なくなってしまうのがいいね」

 死ぬのかな、と、弱々しい声が聞こえた。イーレを助けなければいけない。

「かーたま、こわい」

「……子供も大人も、若くても関係ない。竜に関わる君達は穢れだ」

 アリエンの泣き声にエイデルライトの宣告が重なった。

「こわい」

「騎士達よ、行け……竜とあの女を大樹の礎と成せ!」

 ヴィオによく似た美しい声が凛と響く。娘だけは救ってくれる、などとは思わなかった。応、と後に続く雄々しい声があっという間に自分達をぐるりと取り囲む、その中心で、リェイはアリエンをしっかり抱えて符を構えた――

「精霊王の思し召しの下に――」

「こいつがどうなってもいいのだな!」

 刃物が肉に突き刺さる音がして、次いで、喉に何かが詰まったような声が聞こえた。

 口から滑り出てきた聖句が行き場を失って喉でつかえ、腹の中に引っ込んで消滅する。ひらり、ひらりと、目の前に落ちてくるのは赤い花。見れば、リェイに向かって突き出された白い槍の先が赤く血で染まっていて、その向こうに少女の身体があった。

 腹の肉を貫かれている。

「――イーレ」

 リェイは何も考えずにイーレの名を呼んだ。抵抗して槍を抜き、すぐさま符を使って傷を塞いでやるべきだと思った……少女の顔から全ての表情が消えてしまう前に。

 激しい呼吸の合間に、掠れた囁きが漏れる。

「リェイさん――私と一緒に、唱えてください、リェイさん」

 槍に貫かれたままの少女の唇が〈炎の精霊王ヴァグールの思し召しの下に〉と、紡ぐ。傷付いた者を見殺しにしないのが樹下の退治人の掟だ。どのような者であっても命ある限り救うのが、リェイの信ずるところだ。

 だけれど、イーレは助けてくれ、などとは言わなかった。

「ねーたま、ねーたま」

「お願いです……私は、礎には、なりません……私は炎の子……私は」

 アリエンが呼んでいる声は、イーレに聞こえているのだろうか。リェイは〈炎の精霊王ヴァグールの思し召しの下に〉と、少女の後を追って紡いだ。白翼の聖者が高らかに叫んだ、やれ、という号令も、どこか遠くで響いている。紡いだ聖句の前半に呼応して、己の中に宿る火の気がどくり、と脈打った――自分達を取り囲んでいる何十人もの騎士達が、視界のあちこちで、一斉に槍を構える。

「ねえ、アルディール、私ね――」

 枝に覆われて見えぬ空に向かって腕を伸ばし、炎になるよ、とイーレは呟いた。

 そうして囁かれるのは聖句。微かな今際の声が〈我らに浄火を与え給え〉と結んだのが耳に届いて、リェイは震えた。アルディールという名の者をリェイは知らない……もしかしたら、赤い花を飾った姿を見せたかった相手であったのかもしれなかった。

 どうして、と思った。だが、やらねばならないと思った。

 腕の中にはアリエンがいる――やがて未来に咲き誇るべき〈花〉が。

「――〈この者らに、浄火を与え給え〉」

 リェイは符を掲げ、イーレに向けて放った。

 向かってきた槍が全て、凄まじい音を立て、一斉に砕ける。明滅するは人を象る熱の姿、それはあっという間に崩れて螺旋を描き、響き渡る悲鳴をも消し去る轟音を共に、大樹サーディアナールの第一段目の枝をめがけ、柱となって噴き上がった。

 火の気が身体中を凄まじい速度で循環している。リェイはその熱さに喘いだ。

「ねーたま、ねーたま」

 アリエンが泣いている。行かなければ、と、彼女は思った。

 渦巻く炎を従えて歩を進めるは、皆が姿を見ればその名を口にする〈烈火の魔女〉。逃げ惑う騎獣達を次々と飲み込み、熱の苦しみもろくに与えぬうちに葬り去っていく、ヴァグールの加護を受けた者の力。炎に呑まれて消えてしまった少女が遺した想いを継いで、彼女は救うことが出来なかった命全てを惜しみ、涙を精霊王に捧げた。

 控えの間から人が引いていく。彼らは迫りくる何かから逃げていた。子を抱いて真っ直ぐに進んでいく〈烈火の魔女〉は、横から飛んできた何か鋭いものを手で打ち払う。猛烈な炎に巻かれて、それは砕け散る前に消えた。

「かーたま」

 泣く子を宥めるように、魔女の唇から零れ落ちるのは子守歌。美しく穏やかな旋律は紅渦巻く柱に寄り添い、触れた大樹の葉を、炎と共に舐めて燃やした。

  ――枝に抱かれ眠る我が大樹のいとけなし子

  あなたはその内に小さな炎を秘めて夢に遊び

  やがて荒れた大地を滅びの御手から救うでしょう

  つよくおなりなさい

  フェーレスの愛が世界の揺り籠を撫でる優しい夜は

  クレリアの囁きが木の葉の奏でる歌となって

  数多の祝福をあなたに与えてくださいます――

「かーたま」

 アリエンが眠そうな声で呼んでいる。炎を突き破ってくる槍をまた燃やした。衣嚢の中はもう探らない。控えの間の奥にある扉の向こう、石碑の間の碑文を写し取ったシンター紙しか持っていなかった。徐々に距離を詰めてきた樹上の騎士達と騎獣達に炎の柱ごと取り囲まれた今、殆ど読めぬものが何かの役に立つとは思わない。

 そこに、ヴィオによく似た怒りの声が響いた。

「よくもここまで手こずらせてくれた、〈烈火の魔女〉よ」

 エイデルライトだ。ありとあらゆることがどうでもよくなっていたリェイだったが、煤けた白翼を羽ばたかせている青年が白く美しい槍を構えていることに気付く。

 彼の表情は無だった。瞳の色はわからない。どうしてエイデルライトという名のこの青年は樹下をこんなにも忌み嫌うのだろう、樹上で構築された理由はあるのだろうが、その根源が知りたいと思った。けれども、もう遅い。ここで終わりか、と思った時だった。

 控えの間の奥にある重い扉が開きかけている。その隙間に輝くのは金色の双眸。

「仕留めろ!」

 八方から騎士達が迫る。こんな時に眠りに落ちてしまったアリエンをしっかり抱いて、咄嗟にリェイは伏せる――扉が凄まじい音を立て、とんでもない質量を持った風のような塊が、猛烈な速度でどこかへ飛び出すのを、全身で感じた。

 シシルスだ。巨大な竜の身体を覆うのは炎を潜り抜けても傷ひとつつかない黒く美しい鱗、それが、目の前のもの達全ての刹那をありのままに次々と映して煌めいている――血も、灰も、憎悪の表情も、純白の翼が煤けて汚れていくところも。

 太陽を受けて、瞳は際限なき知性の光を宿す。その眦は人が到達することの叶わぬ深淵を知っている。逃げなければ、行かなければ、という気持ちは全てフェーレスが浚って、どこかへ連れて行った。雄々しきその姿にリェイは見惚れた、言葉にし難い想いが溢れて、背筋を駆け上がっていく。

「リェイ!」

 直後、響き渡る咆哮と悲鳴の中に凛と通るのは、伝説を歌うことにこそ相応しい、美しい女の声。振り返ると、扉の中から何かが這って出てくるところだった。

「――セザンナ、どうして」

 そこにいたのは、エルフィマーレン族淡水氏の誇り高き歌姫だ。どうやって柱の上にある穴から出てきて、どうやって扉を開けたのだろう――聖句を知っていたのだろうか。人のような脚を持たぬが故に、苦労したに違いない。腕は傷だらけで、指先から流血している。手をついた跡に残る手形は赤く染まっていた――見れば、指にある鋭い爪が欠けていて、そこに傷がついているようだった。

「行きな、リェイ!」

「……どこへ?」

「砂の向こうへ!」

 歌姫の口からそれを聞いた瞬間、リェイの脳裏に、どこまでも続いていく荒涼とした砂の景色が蘇った。たった一度だけ足で踏んで、恐れを抱いて、石ころだけを拾って戻ってきたあの場所。思い出した時、己の胸元で揺れている首飾りの重みを感じた。

 石ころに右手で降れる。そっと持ち上げて見れば、まるで花咲く炎のような模様。見たことがあると気付いた――そう、ちょうど、目の前で大きく開いている扉の向こうにある石碑に刻まれていたものによく似ていた。何度も見たから、わかる。

「……行けるのか?」

 もしかしたら、砂漠の向こうには、自分が触れてきたものの欠片が存在しているのかもしれない、と気付くのだ、リェイは。それを後押しするかのように、セザンナは叫んだ。

「行くんだ!」

 シシルスが、首だけでリェイを振り返った。よくしなる長い尾と、今や人の腕よりも長くなってしまった前脚の爪で騎士達の騎乗した騎獣達を蹴散らしながら、竜はリェイとアリエンを守っている。凄まじい咆哮は大樹サーディアナールの枝を余さず揺らす程、地響きは、伝承に聞く生きとし生けるもの全ての眠りを覚ます火の山の地揺れが如し。

 しかし、それを掻い潜る者がいた。

「逃がしはしない!」

 およそ人とは思えぬ速度で何かが飛び出してきた。リェイが振り返るより素早く、鋭いものの気配は風を切って肉へ突き刺さる――

 聖句を、と思った瞬間、目の前に誰かが飛び出した。まるでリェイとアリエンを庇うように手を拡げ、背中を純白の槍の切っ先に向かって晒し。一瞬の後に、それは腹から鋭いものを生やした。

「――ハヴィル?」

 リェイはただ、目の前にいる人の名を呼んでいた。すると、彼は顔を上げ、にやりと笑ってみせるのだ。

「やっぱり代理人にゃなれねえわ、おれ……すまんな、お前の力になるって言ったのに」

 しかし、その声に力は宿っていない。

「……おれ、ヴィオが好きだったんだ」

 苦しそうに笑むハヴィルの口から血が溢れた。リェイは驚いたが、彼がどうして自分にそれを言ったのか、何となくわかるような気がした。彼は一度もリェイに向かって相手の名前を言わなかったし、ハヴィルの力になりたいと自分が申し出た時のヴィオも、どこか明言を避ける風だったからだ。それと同時に、とてつもなく大きな悲しみが襲ってきた。

 だが、全てが腑に落ちた時は、もう何もかもが遅かった。ハヴィルの腹からはいつの間にか剣が二本余計に生えていたし、アリエンを抱え、リェイは再び取り囲まれていた。

 裏切るつもりか、という囁き声が、全てを守った男の後ろから聞こえてくる。ハヴィルはそれに一言だけ、すまんな、と返した。その直後に雄叫びが聞こえ、屈強な男の腹から剣が生える。それを持っていたのは、いつかの会合でリェイを小馬鹿にした、年を取った小柄な男だった。

 シシルスの咆哮と沢山の悲鳴が聞こえた。ああ、皆が苦しそうだ、と、リェイはただ思った。腕に抱えた娘を見下ろせば、眠っていた筈の小さな花が目を覚ましていて、すぐそこによく親しんだ者がいることに気付いたようだ。

 その、肉付きのよい小さな手が伸ばされる。

「ハヴィルにいたま、いたいの?」

「……痛いけど、お前らが元気なら、にいさまも元気になれるさ」

 萎れかけて今にも泣き出しそうな表情の幼子に向かって、ハヴィルは口の端を上げる。震える男の血に塗れた腕が、伸びてきた。

「ヴィオそっくりだ」

 その手がアリエンの頬に触れる。

「フェーレス、フェーレス。いたいの、もっていって、あげてください」

「じきに消えるさ、大丈夫だ、おれらのお花ちゃん」

 全てを燃やせる符があったのなら、とリェイは強く、強く思う。シシルスの大きな鉤爪がそっと自分の身体を包んだのがわかった。ヴィオによく似た青年が、別の槍を手に取って飛び上がり、わけのわからない叫び声を上げて錐揉みをしながら突っ込んでくる。巨大な竜の身体は取るに足らないような人の大きさの生き物をいなし、堅固な鱗は重力の乗った槍をいとも容易く弾いた。環の足場の上で鞠のように弾んだ白翼の聖者は、あっという間にどこかへ飛ばされて、見えなくなった。

 ハヴィルが血溜まりの中に膝をつく。

「――行け、〈新芽〉、〈花〉、〈種〉……これでよかったんだよ」

 シシルスが飛び立つ前に、リェイ、と呼び掛ける声が届いたような気がした。

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