小学時代

 小学生になると、家から北に2㎞ほどの高台にある小学校に、集団登校で徒歩通学しました。様々な学年が混じれば、情報量も増えます。

 幼稚園バスで園と家を往復するだけの世界と違い、徒歩で出歩く範囲が広がり視野も変化する時期です。

 そして何故か小学時代は、怖いくせに怖い話が聞きたい、知りたい時期でもありました。


 集団登校中に上級生から強制的に教えられる、地域の怪奇現象ポイント。

 死亡事故現場、自殺現場、底無し沼や毛虫が大量発生する木、追い掛けてきて噛みつく犬がいる家……などなど嘘か真か、更にはどうでもいいことまで、たくさんの情報を日々得ました。


 学校の怪談もありました。お決まりのトイレに出る幽霊(花子さんとは全く違いますが)。理科室の動く人体模型。音楽室の勝手に鳴るオルガン。校長室の笑う肖像画。体育館にも校庭にも怖い話はあって、それが本当なら学校丸ごと化け物屋敷だろうと、今思い返せば突っ込みたくなります。


 怪談が身近になると現れるのが「視える、感じる、聴こえる」児童です。

 幼稚園ではただただ気味悪がられた霊感が、一気にスター扱いされるようになります。

 子供だけの世界が確立されるのでしょうか。大人の目の届かない秘密をスリルを楽しむ、自由で柔軟なオカルトの世界が広がりました。

 こうなると現れるのが、似非霊感少年少女だったりします。

 視えていないのに視えたと話す、何も居ないのに居ると言って騒ぎを起こす、困った存在です。


 私の同級生は60人弱なのですが、霊感があるのは10人以上居たかもしれません。割と存在していたんです。血が濃い一族のキツネ憑きも居ました。

 でも実は霊感がある児童は、得意気に視えるなどと言わなかったし、むやみに怪談などしなかったと記憶しています。

 小学校自体、霊障があるような場所では無かったのですが。


 勿論、事件事故も無く立地的にも問題ない学校でも、霊障は全く無いわけではありません。

 不特定多数の人間が大勢集まる場所は、何故か霊などを引き寄せることがあります。どんな場所でも、全く何も起きないと断言は出来ないのです。


 ただ、K町の小学校は立地的に、霊障が起きやすい区域の外側にあったので、私が卒業するまで特に何も無く、夏休みの肝試しなども平穏に行われていました。


 学校に関係がない場所で、不可思議なことが起きたりはしましたが……。

 立地的な話は、次でします。


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