閑話 ルルの日記

実りの月 18日


 今日で今居る中間都市アールムに到着してちょうど一週間が経ったわ。

 宿のメリーさんもいい人だしここに来る途中で会ったシャリアもとってもいい人。


 でもやっぱりちゃんと信頼して過ごせるのはヤマトだけ。

 何故か分からないけどあの日以来少しだけ他人が怖かったりする。ダンさんや〈風の導き〉の人達だったり、貿易都市の一部の人は大丈夫になったけどね。


 この一週間ほぼずっと一緒に過ごしたシャリアも大丈夫にはなってきた。私たちよりもハンターとして上だと言うのもあるけど何よりだと言うのが大きいんだと思う。

 彼女は私の魔法を信頼して動いているから。


 でもいつかは離れなきゃいけないんだと思うの。

 だってシャリアは自分のお爺様に憧れてハンターになった。だけど私たちは純粋な〈〉。

 どす黒く染まった恨みの信念。

 表向きは人である狂気の化け物。


 それが私たち。


 こういうのは嫌だけどシャリアみたいに光に満ち溢れるような人とは多分居れない。彼女のために居ちゃいけないんだと思うの。

 

 だってもし今ここに黒龍が現れたら私たちは喜んで死にに行くわ。お父様達が待つあの世に行けると思うと……ね?


 でも私たちはそうしない。確実にあの黒龍を殺すために今は力を蓄えるの。




 それはそうと私の杖にもようやく魔石が嵌ったわ。あの時に狩った剛体蜥蜴の魔石だけどこれがとても使い心地が良いの。


 今までは魔石無しで魔法を使っていたけど有りだと何かつっかえていたのが無くなった感じでとても滑らかに魔法が発動出来るようになったわ。


 毎朝の訓練でも同時展開がとても楽になって、さらにヤマトの役に立てると思うと嬉しいわ。


 私とヤマトの絆だけは不滅だもの。何があろうとこれだけは壊れない。そういうものだから。


 私がヤマトに依存しているのは分かっているわ。でもヤマトだって同じだもの。だからお相子だね。


 今思うとあの日私たちが出会ったのは本当に運命だったのかもね。


 これからも楽しく過ごそうね。私のこの世界でただ一人の家族だから。




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