k-195

「ブルータス……、××○◇!!」


 ブルータスと言う名前らしい長髪の男を見るドニーさんの目が燃えている。「手を出すな」と制したところからも、何か因縁のある相手なのは間違いない。


 両手で大剣を構えるドニーさんの背中から怒気オーラが立ち上っている。歴戦の戦士といった佇まいだ。


 ブルータスの方も負けておらず、何やら挑発めいた口調でドニーさんを貶している様子だ。



 敵味方全員がそんな二人の決戦を見守る中、俺はユリナさんにあることを耳打ちした。



 そして先に動いたのは、ブルータスの方だった。


 目で追えないほどのスピードとパワーがぶつかり合った。


 鍔迫り合いをした後、両者は距離をとり、再び目にも止まらぬスピードでぶつかる。それを繰り返し火花を散らしている。


 どうやら両者の実力は拮抗している模様。



「うーん、ちょっとまずいかな。あとでドニーさんに怒られそうだけど、まあ仕方ない」



 だって敵が麻酔切れて動けるようになったら、不利なのこっちなんだもん。



「じゃあ、ユリナさん。お願いできる?」


「ワカッタワ」



 二人は剣戟を繰り返しては、離れて隙を伺うを繰り返している。集中するがあまり、周りを気にしている風もない。歴戦の戦士同士の一騎打ちに横槍などあり得ない。


 もしかすると、この世界にもそんな常識があるのかもしれない。



 ……だが俺とユリナさんには関係ない。


 まずは第一射。


 ユリナさんの美しい御手から、揮光石で作った閃光弾を空高く発射し起爆。


 突如頭上にまばゆい光が出現し、驚く敵。こちらの陣営は光を背にしているので影響はなし。


 第二射。


 狩人の表情になったユリナさんが、麻痺弾を音もなく放った。



 ユリナさんのイーグルショットはどうやら飛距離を伸ばすだけではなく、どうやら狙撃にふさわしい「消音」、サイレンサー的な効果も持っているようだ。



 超高速で放たれた弾道は逸れることなく、閃光弾に一瞬気を取られたブルータスの頭上まで。



「キバク」



 ばふぉ



 なんとも間抜けな音と共に、ブルータスの顔が麻痺粉に包まれた。そして、粉を吸ってしまったブルータスが地面に転がりビクンビクンと体を痙攣させたのだった。



「やったあ! ナイスコンボ!」



 俺は嬉しそうな顔をしているユリナさんとハイタッチ。ドニーさんがなぜかこちらを責めるような目つきで見ているが気にしない。



 歴戦の戦士同士のタイマンに割って入るのは卑怯?


 ふざけるなと言いたい。


 50人近くで囲んでおいて、今さら卑怯などと言われる筋合いはないだろうからな。




「さあ、とっととこいつらロープで縛ってトンズラしましょう」



 それから俺たちは敵全員を蜘蛛糸や麻痺粉を使って動けなくした上で、ロープで縛り動けなくした上で、東のキール王国へと馬車を走らせたのだった。


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 みなさんこんにちは。ここまでお読みいただきありがとうございます。


 ハインリッヒの手勢に勝利したケイゴたちでした。

 かなり書籍版とは流れが違うので、そちらが気になった方は読んでみてください。


 本作はニコニコ漫画様CW様で漫画を月刊連載してまして、1話と最新話を無料で読むことができますのでそちらもよろしくです。ニコニコ漫画様スマホアプリの弾幕コメント機能面白いと思います。


 また本作のコミック1〜4巻、小説書籍版1〜4巻がKADOKAWA様(ドラゴンコミックスエイジ様、ドラゴンノベルス様)より全国書店にて発売中です。カクヨム版とは異なる内容となってますので、気になった方はそちらも是非読んでみてください。


 小説のイラストはあのモンスターハンター準公式イラストレーターの布施龍太先生、コミカライズはアニメ化作品ARIAなどに携わった五條さやか先生が担当されております。


 作者のモチベになりますので本作が気に入ったら、☆、♡、お気に入り登録、応援コメントよろしくお願いします🐉 書籍、コミック、ニコニコ漫画様・コミックウォーカー様での連載も宜しくです🐕

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