k-170
それから俺は、幌馬車の中でストーブに薪をくべファイアダガーで火を点けた。
幌の中が暖かくなったところで、ユリナさんのために薬膳料理を作ろう。
材料は、イレーヌ薬草、ムレーヌ解毒草、ニンニク、シカ肉、ウニの塩漬け。
それにパスタを簡単に消化できるように、包丁で細かく砕いたものを鍋で煮込む。隠し味にはミランの果実酒。
馬車の中に良い匂いが充満してきた。
アッシュにもシカ肉を鍋から取り出し、お皿に入れてあげた。
でも、アッシュはよだれでベトベトになりながらも、お皿をユリナさんの方に引きずって、彼女の前でお座りして我慢していた。
どうやら自分の大好きなお肉をユリナさんにあげるつもりのようだ。アッシュは飼い主のことを心配するとても優しい子だ。
俺はユリナさんの体を起こし、薬膳料理を木のお椀に入れ、スプーンで食べさせる。
熱があるときは水の補給が大事なのでウォーターダガーで作った綺麗な水も飲ませる。
「ほら、アッシュ。ユリナさんは大丈夫だ。お前もご飯を食べなさい」
すると、アッシュは安心したのか、シカ肉をもぐもぐした。
ユリナさんはよほどアッシュが愛おしくなったのか、食後ずっとアッシュ抱きしめていた。
アッシュを抱き締めると安心しますよね、わかります。
それからユリナさんにパルナ解毒ポーションを飲ませると、彼女を再び寝かせて布団をかけてあげた。
彼女がほっぺたにキスをしてほしいとせがむので、おやすみのキスをしてあげた。
彼女がえへへと笑い、目を閉じる。……なんかこういうのいいな。
それから俺は、薪ストーブに薪を足してから、外で馬の世話や馬車の点検など、諸々の作業をすることにした。
「アッシュ。ユリナさんのこと頼んだぞ」
「ワン!」
そして、俺は厚着をして、暖かい幌馬車の中から外に出た。
外に出て寒空を見上げると、透き通るような星屑が木々の間から垣間見えていた。綺麗な夜だけど、今は楽しい気分になれなかった。
「きっと大丈夫。大丈夫だ」
大切な人が倒れている。そしてここは医者もいない異世界。
魔法薬があるとはいえ、そんなに病気が甘いものではないことを俺は知っている。
不安な気持ちにならない方がどうかしている。
「頼む、薬効いてくれよ……」
それからモンスター素材の回収や薪割りなどをして気を紛らわせた俺は、ユリナさんの看病を続けたのだった。
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ユリナさんの看病をするケイゴでした。
主人公が病気になった時もアッシュが心配していましたが、うちの犬(ポメちゃん)も母がインフルになった時部屋の前で心配そうに「クーン」と悲しそうにしていました。
犬が飼い主のことを大切に思っているのは多分本当のことだと思います。(アッシュは犬じゃなくて小狼ですが!)
本作はニコニコ漫画様CW様で漫画を月刊連載してまして、1話と最新話を無料で読むことができますのでそちらもよろしくです。ニコニコ漫画様スマホアプリの弾幕コメント機能面白いと思います。
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小説のイラストはあのモンスターハンター準公式イラストレーターの布施龍太先生、コミカライズはアニメ化作品ARIAなどに携わった五條さやか先生が担当されております。
作者のモチベになりますので本作が気に入ったら、☆、♡、お気に入り登録、応援コメントよろしくお願いします🐉 書籍、コミック、ニコニコ漫画様・コミックウォーカー様での連載も宜しくです🐕
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