(モノローグ・ブルーウルフ)魂の帰る場所、勇敢な戦士たちの覚悟

 我はブルーウルフ。我が主の守護をしている者也。


 我が主とかのお方……、名前はケイゴ様だと我が主が教えてくれた。そしてケイゴ様の奥方様が旅に出られた。我が主の守護にあたっていた我らウルフも、その後を追うことにした。


 道中ゴブリンとジャイアントスパイダーに遭遇したが、ケイゴ様はお強い。炎で敵をなぎ払われていた。


 走って体温が高くなっていたせいか、肺から出る息が白い。


 我が主はどうやら、あの緑色の木の下で夜を越すようだ。我らは木の周辺の警戒にあたることにした。


 それから我らはシカを狩った。その命を食らって今日を生き長らえる。そして、明日に向けて体を休めることにした。




 翌朝、不穏な気配を感じた。甲高い鳴き声とともに木をなぎ倒し、何者かが近づいてきている。


 斥候に出ていた仲間から遠吠えで合図があった。接近しているのはコカトリスとのことだ。


 我はすぐに遠吠えを返し、その仲間とともにあの方の元へと駈け寄った。


 我らは勇敢なるウルフ。一つは全てのために、全ては一つのために。たとえ格上の敵でも大切なものを守るためなら、挑んでみせよう。


 我が主を傷つけることなど、我らが絶対に許さぬ!


 そうして我らは、コカトリスへと向け同時に飛び掛ったのだった。



 ◇◇◇



 ……気がつけば我は死に、魂だけの存在となっていた。



『ウルヴァリン・レクイエム』



 我らの間でそう呼ばれている歌が聴こえてくる。死んだ者の魂を神樹へと送る歌だ。


 ちょうど我が主が暮らしていた小屋のある場所から西に連なる霊峰。


 そこにはウルフの里があり、里には我らがウルフの頂点に君臨する神獣様が守護する御神木が存在する。


 我も御神木は一度だけ見たことがあるが、その神々しいオーラに圧倒され平伏したことがある。


 ウルフは皆大人になると、御神木に命を捧げる誓いの儀式をし、神獣様からウルフは死ぬとその神樹と一体化し英霊と化すのだと教わる。


 だからこそ我らウルフは誰よりも勇敢であり、どんなに強大な敵でも立ち向かうことができるのだ。


 我はそれを誇りに思う。




 ……我が主と同胞たちが長い長い『ウルヴァリン・レクイエム』を奏でている。


 彼らの歌に我の魂が震え、心の奥から何か熱いものが込み上げてきた。


「仲間たちよ、これからも我が主を頼む! 我はいつでもお前たちを見守っているぞ!」


 我の意識はやがてあたたかな光に包まれ、御神木へと回帰したのだった。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 何かの覚悟を決めている者には、信じているもの、何か信念のような強い想いが必ずあるのだと思います。

 私の住む北海道にはヒグマがおりますが、母熊は子熊を守るために戦うそうです。近所の森にいる普段人を襲わないカラスも、子ガラスを育てる時期には近よる人を襲います。

 何かを守りたいという信念や一本決めた覚悟のようなものがあると、人間も動物も関係なく本能レベルで強くなれるのだと思います。


(作者のモチベになりますので本作が気に入ったら、☆、♡、お気に入り登録、応援コメントよろしくお願いします🐉 書籍、コミック、ニコニコ漫画での連載も宜しくです🐕)

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