k-146

 ゴロツキ風の男5人は店内を見渡すと、スキンヘッドの男を中心に俺たちの方に歩いてきた。


 ん? よく見ると、このスキンヘッド、こないだ美人局を仕掛けられた時に俺がアフロ頭にした男じゃん。


 髪型がコロコロ変わる奴だな。



「×△▼○○!」



 コメカミに血管を浮かばせ、何かを喚くスキンヘッド。


 焼け野原から文字通り不毛の大地になったら、そりゃ怒るよな。


 不憫に思った俺は、スキンヘッドに【エギルの回復ポーション:体力回復(大)、部位欠損修復】が入ったビンを差し出し、飲めとジェスチャーをする。


 ポーションを半信半疑で飲むスキンヘッド。


 するとどうだろう。


 スキンヘッドの頭に淡い光の粒子が集まり、すっかり元通り。


 むしろ前より少し長めのモヒカンヘッドになっていた。


 モヒカンヘッドについてきた子分らしき四人の男たちが、モヒカンヘッドを指差して全員でバンザイしている。


 良かった、良かった。さあ、これで一件落着だな。


 俺は再び、ユリナさんとゆっくりお酒を楽しむことにする。



「×△×○○▼!」


 俺を指差し、まだ何か言ってくるモヒカン親分。


 何だ。もう用はないだろう。


 すると、なんということか。


 モヒカン親分はユリナさんの腕を強引に引っ張り、拉致しようとした。悲鳴を上げるユリナさん。


「何しやがる!」


「××○○!」


 ママの正拳突きが、モヒカン親分のみぞおちに決まり、俺が放ったヘルファイアソードの火球がモヒカンヘアーにヒットしたのは同時だった。


 壁に叩きつけられる、モヒカン炎上親分。


 俺は、急いでユリナさんに怪我がないか確認する。


 どうやら、大した怪我はないようだ。良かった。


 しかし、ユリナさんに危険が及ぶ以上、このお店で働かせるわけにはいかないと思った。


 俺はユリナさんに、ランカスタ語で「逃げる」と言った。ユリナさんは悪戯っぽく笑って頷いた。


 俺はママに、ユリナさんをもらうとジェスチャーした。


 鬼のような形相になるママ。ゴロツキなどよりも、よほど怖い。


 俺は金貨を300枚が詰まった皮袋を懐から出し、ママに差し出す。


 ママは渋面を崩さなかったが、仲良く手をつなぐ俺たちの姿を見て「行きな」と言わんばかりに、フンッとアゴを出口のほうに向けた。


 ママに抱きついて「ありがとう」と言うユリナさん。


 ママが優しい顔になり、キラリと目に涙が光る。


 そんなことをしていると、ゴロツキたちが復活してきた。


 あまりにもママの存在が怖すぎて、奴らの存在を忘れていた。


 モヒカン炎上親分は無事鎮火されたようで、アフロ親分になっていた。本当にコロコロと髪型が変わる奴だ。


 怒りの形相で、俺を睨むアフロ親分。そんなに睨むなよ。自業自得じゃないか。


 ママが再び鬼の形相で腕を組み、ゴロツキ五人と対峙する。


「アッシュ!」


「ワン!」


 アッシュが、お姉さんのヒザの上からピョンと飛び降り、こちらへ駆けてきた。



 そうして俺は、ユリナさんの華奢な手を引いて店を飛び出したのだった。


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 みなさんこんにちは! ここまでお読み頂きありがとうございます🐔


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