ああそれで見通しだの三十だの話に戻るとね、

うん、悪くない、けっして悪くない。そもそも二十代のうちに商業作家デビューできるとも、二冊めを出したり執筆を続けられるとも、そんなの思い返せば夢すぎて目指すことさえおこがましいってこと、いまじっさいにできているのだし。

周囲からすると二周遅れくらいだけど、バイトもはじめて、教職も取りはじめて、そっちはそっちで就活の目処が立ってきたのだし。

学問にかんしても、このまま本を書いて勉強を教える仕事をし続けてれば、念願通り院進だって夢ではないし。

それに、なにより、結婚したし。


悪くないな。どころか、ぜんぜんいいよ。でも、だいじな事実としては、私はなにものかになっていくね。なってゆけるんだね。私なんかでも。その事実が、ただただどこか厳粛に、私の背中を押して。そういうのが、気持ち的な焦りにつながってんだろなって、思ってますよ、正直なところ!

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