ザンティティナ

ぼくらはきっと

はじめっから一人だったんだな

そんな風にひねくれたこと思ってしまう

そんな暗闇の中にいた


ぼく以外には誰もいない

ぼくの歩く音、息をはく音

そんなもんしか聞こえない

すっと忍び寄ってくるような

いやな車の音もしない


ゆかいでじゆうで

たいくつでものたりない

胸のすくような

そんな真夜中(ザンティティナ)


このまま明けないんじゃないかって

真っ暗なまま時間だけが独り歩きして

ぼくらを取り残す

そんな気さえした


ぼくらはゆるされた

天からすべてを赦されたのだ

そんな大きな気になって

地べたへ四肢を投げだした


いつかこんなくそったれな時間は終わる

よるはいつか明けるよ

それがあたまのどこかでわかってて

わかってるから

ぼくはこわかった

逃げるように走り出す

どうか明けないで

このままぼくを赦していて


布団にもぐるまで願い続けた

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