第49話 クリスティーナがアドバイスを無視して精神力を消費する

「わたくしは、魔法騎士団のクリ――ぎょええ!? いきなり液体を吐きかけるなんて!?」


 お前、何してんの?


 名乗りをあげて、一騎討ち? 武士なの? 不必要な行動だよね?


 ぎょええ! 炭酸飲料をぶっかけてやりたい!


『あーん。お主、ぶっかけ過ぎじゃ。野球で日本一になった覚えは、無いぞ💓』


 俺も。祝勝会でエトセトラの顔面に。ビールをぶっかけたことは、ありません!


 イメージ映像、ヤメテ! エッチな吐息も!


 球団応援女子だったの? 優勝セールで百貨店に行きたいのかな?


「モッチリーナⅢ世! 不用意に挑発して! 未熟者ですよ! ふとももの様に精神も成熟なさって!」

「きいいい! あ! な! た! こ! そ! モッチリーナⅢ世って! ふともも関係ありますの!? わたくしは――ま、またですの!? リナ蜘蛛め! ソ、ソージ!? 貴方も戦闘に参加しなさい!」


 ほら。リナ蜘蛛(仮)も。


 空気を読んで。名乗りを阻止してくれてるじゃないか。


「僕は、回復補助専門ですから。クリスティーナ、お疲れちゃん💓 お疲れちゃん💓 応援してます! てへ!」

『イエーイ! MOCHIMOCHI! ファイト! わらわもチアリーダー姿で応援じゃ! アクロバティック! そして、Y字バランス💓』


 はい、エトセトラによるチアでした。


 拍手を送りましょう!


 とは言え。どうにもに落ちない。


 リナ蜘蛛からは、殺気を感じられ無いし。


 一方的に攻撃を仕掛けるのは。


 甘い考えですかね?


「ソージ君? クリスティーナさんを援護しなくて、大丈夫ですか?」

「うーん……あの蜘蛛、本当に害があるのかな? クリスティーナが勝手にからんでるだけな気が……蜘蛛だけに」

 




「今度は、こちらからお見舞いして差し上げますわ!【電撃よ! わたくしの剣にまとえ! サンダーソード!】からの【サンダースラッシュ!】」


 遠距離からの電撃による斬撃。


 ふむ。修行の成果を発揮できてなによりじゃ。


 じゃが。相手が悪かったのう。


 リナ蜘蛛さんは。複数の脚を地面に突き立て。


 避雷針の様に。地面に放電しておる。


「わたくしの電撃が効いていませんの!? じ、実は、ソージが威力の弱い技を習得させた!? ソ、ソージ、説明希望ですわ!」

「いや、説明も何も……リナ蜘蛛さんは電撃に耐性が。僕、言ったよね? 電撃と相性悪いかもってさ。師匠を疑うとは、何ですか!……今夜は、ふともも布団で寝ますからね! ふとももを万全にしておきなさい! まったく、けしからん!」

『お主、どちらの意味でけしからんのじゃ!? パン娘の態度か!? ふとももか!?』


 やれやれ。これも、師匠としてのお役目なのさ。


 うん。仕方ない。クリスティーナに精神的な成長を願ってね。


 やましい気持ちなど。


「ふともも布団!? ふ、不埒者ふらちものは貴方ですわ!【サンダースラッシュ!】」

「ぎょえええ!? ぷしゅうう!?」


 またもや、しん、わざの、じっけんだい、しやがって。


 ぼくの、ふと、もも。ぐげえ。


「……あら? 魔力を抑えたつもりでしたのに。おかしいですわ? 威力が弱い技ではなくて?」

「ソ、ソージ君!? クリスティーナさん、十分威力がありますよ! ソージ君の指摘が正しいの!」


 うわあん、裏切りのクリスティーナ! 


 恩を電撃で返すなんて!


「……おほほ。ソージ? お疲れちゃんですわー! そこで、ゆっくり安静にしてなさい。電撃が効かないなら。物理攻撃ですわー!」


 僕、リナ蜘蛛さんにやられてないからね? 


 お前は休んでろ。俺が奴を倒すみたいな事言ってんの?


「てぇやああ!……か、硬いですわ!? き、効いてませんの!? この、この、黒メイド! ソージに従属してる、ふしだらハーフエルフ!」


 リナ蜘蛛さんに剣による直接攻撃。


 しかし、蜘蛛の外骨格は強固だよねー。うん、知ってた。


「リナさんの悪口を言いながら、攻撃してますけど……効果は無いですね」

「リ、リナさん、ふしだらじゃないもん!? ちょっと、肉食系なだけなんだからね!? そ、それに、お年頃な女性なのさ!?」

『いや、フォローになっとらんじゃろ!? ご主人様があんに認めてるもんじゃろ!?』


 さ、さあ、クリスティーナ。リナ蜘蛛さんにどう対処するのかな!?


「ハア、ハア。わ、わたくしも準備運動ですわ! きゃあ!? お、お待ちなられて!? わたくし、剣は一本しか、ありませんのにい!?」


 あらあら。無数の蜘蛛の脚に反撃を受けておられますの? 


 脳内リナさんが戦況を報告すると。こんな感じかな。


「クリスティーナの奴。回避行動は秀逸しゅういつだな。良いぞ! 動き回れれ! いろんな所が揺れていて。眼福だぞ!」

「じ、自称、師匠でしたら。もっと、だあ!? ましな、アドバイスを!? ふぬうう! しなさいい!?」

「す、すごいですね。クリスティーナさんの身体能力は。わ、私も。負けてられませんからね! 参戦してきます!」


 サ、サーヤさん!? 意外と戦闘狂なの!?


 アイさんと。メジスト姉さんに修行をつけさせてもらった影響!?


 まだ、リナ蜘蛛さんが凶悪モンスターか判別してないけども!? 


 でも、実戦経験は大切だからな。


 死なない程度には、頑張って。


 行ってらっしゃい!

 

 

 



 

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