第16話 メイドさんと夜のおやつを食べて精神力を消費する2
「ごちそうさまでした。ご主人さま」
「ご
「カナさん、リナさんをごちそうになりましたー。
お土産作戦、大成功!
ひと安心です。
こちらも、おいしい思いをさせてもらいました。
メイドさん、
……メイドカフェには行けない、臆病者ですけど。
挙動不審に絶対、なっちゃうもん。
もえもえ、きゅん。
「旦那様? せっかくなので食後のマッサージは、どうでしょうか?」
「マッサージだと!? お願いしますわー! おーほほほ!」
うっかり、クリスティーナの口癖が。
「ソージ! わたくしの噂でもしてますの!
「クリスティーナ!? お前も様子をうかがいに廊下にいたの!?
問いかけに無反応。
クリスティーナは、自信の部屋に戻ったらしい。
「ちゃんちゃん娘に関わらない事です、旦那様」
「クリス! うっさい! ぷんぷん!」
おおっと、相手にしちゃダメだ。
俺の目の前にいるのは誰だね?
俺のメイドさんじゃないか。
それに比べたら、
「わたしは、ご主人様の肩をぽこぽこしたいです!」
「肩たたきかな? ぽこぽこしてください!」
トントン。カナさんの握りこぶしが、両肩に。
ああー気持ちいい。
「ご主人さま、痛くないですか?」
「うんうん、力加減が上手だねえー。肩こりがほぐれてく感じ。ハアー」
にゃんだか、眠くなってきた。
ふあ!? まどろみかけたか。
「えへへへ! おほめの言葉をいただきました。次は、もみもみです!」
「く、くすぐったいような、気持ちいいような。にゃんとも言えない感覚」
いたいけなカナさんの手の感触。
ふにゃふにゃ、
「どうですか? わたしも役に立ちましたか?」
「馬鹿な事を、言っちゃあー言けないよ? 存在自体がすでに、役立ってますからね! ほっぺたをマッサージしちゃうぞ! 頭も撫でちゃう!」
役に立つどころか、依存しちゃってるからね。
やわらかほっぺ。
はあはあ! ぬくい、ぬくいよ!
ああ、純粋なカナさん!
父性の目覚めかな? なでなで。
た、たまんねー!
「ご主人さま、だーい好き! ひゃあん、ほっぺ、もみもみですか!?……頭をなでなでされると、胸がむずむずします。でも、それが心地良い」
猫を撫でている時みたいだ。
穏やかで、満たされてる顔。
俺の人生で、こんな表情を向けてくれた人物は。
……間違いなく、居なかった。
多数の人が当然とやってのける事柄を。
自分には出来なかった。
勉強もあまり得意では無く。
劣等感を抱えながら進学。
将来の夢も、自分の進路も。
いつまでたっても描けなかった。
アルバイト作業すら、まともに覚えられない。
上手く行かない。陰口もたくさん言われた。
『ホント、使えねえ奴だな!! なんで、普通にできない訳?』
すいません。すいません! すいません!!
人と話すのに、すいませんが口癖に。
ああ。人の眼はこんなにも。
冷え切った目線を向けることが、出来るんだ。
がっかり?
違うこれは、失望された顔。
無表情で。
目の前に、俺がいるのに。
見ていない。
そんな顔、ばっかりさせてきた。
いつしか、社会から孤立した。
人に関わるのが、嫌になった。
どうせ、俺には。
何をやっても、無理なんだ。
自分自身に失望してしまった。立ち止まってしまった。
家に引きこもった。
ゾンビのように生きていた。
ただ、毎日を無意味に過ごしていた。
人生と言うレールを大きく。
外れてしまった。
『もうよい。お主の
「ご主人さま……泣いて……いるの?」
「……旦那様」
「な、泣いてないよ!? だって、とってもさあ。くっ、うっ、うっ、うれしぃん、だ、だからさあ。から、かわない、でよ」
ああ、ちくしょう、心配させちゃうだろが!
情けないな!
「……ご主人さまが教えてくれましたね。お姉さま」
「……はい。この様な時は」
「むぎゅーです!」「むぎゅーですわ!」『むぎゅーじゃ!』
「えへえへ! メイドさんサンドイッチでスッキリしたおー! 前方のカナさん、後方にリナさん。あのまま天国に行くかと、ヘヴン!」
メイドさんに、むぎゅーされつつ。
慰められた。
過去は、変えられないし。
自分自身がもっと、器用に生きられたらなんて思っても。
しょうがない。
自分が出来る事を、地道にやるしかないんだ。
亀のように、ゆっくりでも。
前へ、前へ。
いつか、それが結果につながったら。
死ぬほど喜んでやる!
『能力使えば一発じゃろうにwwww 重い話しをする奴、いねーがぁ! ぶっ
「台無し!? ちゃぶ台返し!? それを言わないでー!? なまはげエトセ、怖いいー!? お前の存在がトラウマになる!?」
パラレルワールドに。
もしかしたら、あのままの自分がいるかもしれないからさ。
メッセージ、届くといいな。うん。
「旦那様、そろそろわたくしのマッサージを……おあずけ状態で、ちょっと」
リナさんのお耳があ!?
テンションが下がって来ちゃったの!?
「ちょっと!?……待たせたな。オーウラーイ! キャモン! ルゥーリィナーサーンン!」
『格闘試合のアナウンスか!? セコンドと一緒に、大層なBGMでノリノリに登場する、あれじゃろ!? 巻き舌で発音出来たの!?』
ノリでつい。見よう見まねは馬鹿にならないのさ。
……一発芸のネタが増えました『テレビで見た事ある、あるある場面。格闘試合編』
「では、旦那様、ベッドにうつ伏せで、お願いします。枕を……スライムさん? 枕より、お好みの硬さに調節可能? 助かりますわ!」
「こ、こういう店、は、初めてで。うつ伏せ、な、なりました。スライム君の枕!? ありがとう、衝撃吸収、柔軟性に、ぽよん、ぽよん」
『店言うな! 高級フレンチレストランにでも行っとけ!』
何の店カナ? ボクニハ、ムエンノ、オミセ、ダヨ。
アニメショップには出没してます。あと、本屋。
エトセに
リハビリは順調です。
「旦那様のベッドに失礼しますわね。背中のマッサージを……旦那さまの横側から」
「その提案は、ダメだ。リナさん!」
大変、驚いているリナさん。
間違い探しに思案中。
ぽん! と音がなったように。
答えを見つけたようだ。
「も、もしや、旦那様の腰にまたいで……でしょうか?」
「大正解だよー! 腰かけてー! お馬さんに、オイラがなっちゃうのー!」
「うえええー!? ご主人さまに座れるの!? わたしも、したいです!」
「させません! わたくしの番ですからね? 旦那様に、わたくしも、褒めていただきたいですから。……では、参ります。よいしょ、っと。大丈夫ですか? 腰は、痛くありません?」
ふあああ。リナさんの下半身が。
背中に乗ってるよおお!
『いや、お主が命令させたようなもんじゃろ! わめくな!』
「まずは、首の下周辺を。押すようにして、痛かったら、おっしゃってくださいませ」
「はうん、リ、リナさん。ふいいいい」
快感です。美女メイドさんに。
こんなに至れり尽くせり状態で。
「ふふふふ。旦那様、気持ち良さそうで、何よりですわ。存分にわたくしを感じてくださいませ」
うんうん。
主従関係が反転しちゃいます!
「今度は、背中の中心を。ふふふふ」
「リ、リナさん!? 変なスイッチ入ってない!?」
ねっとり
リナさん、え、え、えっちだよ!?
「……どうでしょう? お背中、気持ちいいでしょ? ふふふふ!」
「耳元で、
「あー! お、お姉さま、イチャイチャしちゃダメです!」
ぴょんぴょん、ジャンプしながら。
厳重注意をするカナさん。
だ、だれか、お姉様を止めてええー!
ドゴーン! ゴーン! ドゴーン! ゴーン!
「何の振動だ!? 地震!?」
「ひゃう!? ご、ご主人さま、こ、こわいです」
「あら!? わたくしは一体!?……この音は、何ですか!?」
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