「灰色の街」

一瞬小説・超短編小説家なみのり

灰色の街

私は、灰色の街に住んでいる。

灰色の街は、空は灰色。建物は灰色。雨も灰色。灰色づくしの街だ。

私は灰色のコートに、灰色のシャツ、灰色のズボンに灰色の靴を履いている。

道行く人々も灰色づくめで、猫や犬も灰色だ。

私はそんな街で生きてきた。


だがある日。私たちの灰色の雲を引き裂き、空から虹が降ってきた。虹はギラギラと輝きながら地上を色で侵食していく。

赤に青にオレンジ。色は灰色につくなり、そこに色をつけていく。

虹の暴挙は三日間続いた。


私はゆっくりとカーテンを開ける。部屋の外は暴力的な色で満ちている。私は布団を被り、もう一度眠った。過去の灰色に満ちた世界を夢見ていたかった。

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「灰色の街」 一瞬小説・超短編小説家なみのり @namiutinaminori

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