零 カコノキオク 上

時系列分かりにくいかもなので一応。

前回はカコノキオクの零話

今回は一日目の零話

そういう違いです。



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 駆けあがっていた。

 ただひたすらに。

 無我夢中になったように無駄なことは一切話さず、二人そろって階段を駆け上がっていた。


 長期間体が寝ていたということを忘れさせるほどに、

 数日前は体を動かすだけだったことを忘れさせるほどに、


 勢いよく走っていた。


 光まであと少し、空が見えてきた。


 蒼い空だ。


「――空って、こんなに、青かったっけ」


 少女がこぼした。


 それもそうだろう。

 彼女らが覚えているだけでも一か月間、地下にいたのだから。


 白い部屋に、ずっといたのだから。


 あらゆる色に対して過敏になっているのだろう。


 もしかしたら、それ以外の要因もあるかもしれないが、少年たちには思い浮かばない。


「そうだな」


 そう短く返した少年も足を速めて駆け上がる。

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