カコノキオク 6


「……あ、本当に光だ」


 少女を追いかけて駆け上がっていた少年。

 視界の遠く、ものすごいと奥に光が見えた気がしたらしい。

 勢いを止め、立ち止まってこぼした。


「……なんか、良かった。ちゃんと、上があって」


 感慨深そうな表情を浮かべる。


 灰色の壁が、少しだけ明るくなってきた。


 走れ、走れ、奔れ。


 前を進んでいた少女が振り返ってきた。


「ね? 言ったでしょ?」


 にぱっ――と喜色を滲ました笑顔だった。


「んじゃ、ラストスパート」


 走れ、走れ、奔れ。


「おう! 行こうぜ」


 駆けあがれ。

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