カコノキオク 3


 真新しい二つの寝袋を寄せあった。

 一つ一つは小さく、一人が入るだけでもすでに狭そうだ。


 もぞり――と白髪が寝袋から飛び出し、揺れた。


「ねえ、いつになったら地上が見えると思う?」


 目が覚めてから三日間、毎晩言い続けている。

 少年は眠りに入りかけていた己の脳をたたき起こした。


「寝る前に降りたエレベーターでも結構かかったからな……もうそろそろ見えてほしいけど、どうだろうね……」


 眠そうにパチパチ目を開けたり閉めたりしながら、なんとか答える。


「あ、ごめんね。起こしちゃって」


 少女は申し訳なさそうにシュンとなった。

 微笑ましいものを見るように少年は小さく口角を上げたが、すぐに欠伸で上書きされる。

 少女にもふわぁあ――と感染し、お互いに笑いあった。


「じゃあ、おやすみ」


「ん、おやすみ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます