第4話 きづかい

「あ、そうだ。体拭く? どうする?」


 食事を終え、出発する準備を終えた所で思い出したように少女が言った。

 空の色は橙の光が薄まってきている。

 少年が、お前はどうしたの? と言うかのように目線を少女へ向けた。


「さっき寝てるときにね」


 少女は視線に気づき、そう答えた。

 なるほど、と少年はうなずく。

 その後、んー、と少年は少し逡巡してから答えた。


「……昨日したから別に良いかな」


 言いながら少年は部屋の隅に箱をコトリと置く。

 少女はその行為をじっと見つめていたが、それから言った。


「え? 今なんて言った? 聞こえなかったから外出とくね。あ、布ここ置いとくから」


 返答は決まっていたといわんばかりの棒読みだ。

 すぐに少女は宣言通り外へ出ていく。


 そこに残された少年と立方体……そして片腕ほどの長さの布。


「そんなに、におい気になったかな……」

 

 少年はがっくりとうなだれる。


 少女は外で——無理しないで体拭きたい!って言えばいいのにこの恥ずかしがり屋さんめ、と冷たい壁に寄りかかりながら、温かい表情でにやけていた。


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