第3話 かくにん

「それの充電どうなってる?」


 少年は鋼色のレーションの箱を開けながら、袋に入れた寝袋の上に座っていた少女に聞いた。


 はいはい——と短く返し立ち上がった少女は充電装置に取り付けた立方体へと歩いてゆく。

 それの前に来るとしゃがみ込み、上の四辺をつるりと一周撫でた。


「ん……と、大体十日ぐらい持つよ」


 それは触れられた四辺の内、一つを光らせる。


「最大の四分の一……やっぱり家庭用だと一晩じゃダメか。まあ、この街には長いこといることになりそうだしとりあえずは良いか」


 少女はついでに立方体の角を押し、水を出させる。

 小さな手のひらでそれを受け止め、顔にぴしゃっと掛けた。

 ぶるっと顔を震わせ飛沫をまき散らすと、次はコップに水を注ぐ。


「ご飯にするよ」


 箱を開け終えた少年が、ちょうど水をなみなみとコップに入れバランスをとるように慎重に歩く少女を呼ぶ。

 少年は冷たいコンクリートに座り、温かい寝袋の席を少女に勧めた。


 今日も、いつも通りの一日が始まる。


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