第2話 おはよう


「……マフラー?」


 ぱちっと少年は目を覚ました。

 そのまま少しの違和感を覚えた首に手をやる。

 自分でいった通り、マフラーだった。


「おはよう。おきたね」


 首に巻かれたそれの伝う先を見ると、少女が微笑んでいた。


「おはよう」


 少年は言葉を返してゆっくりと起き上がる。

 緑色の寝袋から這いずり出て、まだぬくもりの残るそれを畳む。

 ついでに少女にマフラーを括り付ける。


「なんか、もったいないね」


 ふと、そうこぼした少女へ視線を移した。

 寝袋は少年の慣れた手つきでしっかりと畳まれ、袋に入れられる。


「せっかくあったかいのに」


 ああ、と少年は理解したというように頷いた。


「今日は耐えられないほど寒くないだろ。あと一か月もしないうちに冬になるから」


 少年が話してる途中で、次に出かけた言葉を遮って少女が言う。

 めいっぱいにその小さい口を広げた笑みを浮かべて。


「そうなったら……寝袋かぶりながら街の中移動ね」

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