第5話 じゅんび


「ご馳走さまでした」


 二人は手を合わせ、そう言った。

 カタッと食べ終わったレーションの缶が部屋のすみに置かれる。


「やることないし、寝る?」


 一つしかない大きな寝袋をトントン——と叩く少女。

 少年は首を横に振り否定の意を示す。


「今日から日記つけようと思ってるから先に寝てて良いよ」


 少年はまた同じカバンからノートを取り出して、言う。


「あ、この前の街で見つけたアレ。いいなー」


 少しだけニヤりと笑う少年。


「じゃあ交互に書く? 交換日記みたいに。今日は書くから、明日書いてよ」


「おおー。いいねーそれ」


 満足したようににっこりと笑い、寝袋へゆっくりコテンと倒れる。


「ん。決まり——じゃあ眠くなってきたし、そろそろ寝るね」


 少年は時計を確認。

 それは九時少し前を示していた。


「今日はいつもより遅いね、僕も眠いしすぐ寝るよ」


「ん、じゃあ——おやすみ」


 弱い声を残して、少女は眠りについた。


「よし、眠いし、ちゃちゃっと書くか」

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