第279話 エピローグ

 「これで、八方丸く収まったかな?」



 実は収まっていない。ケイティーをどっかへ飛ばしちゃったからだ。

 それを探して連れ戻さなければならない。



 「ちょっと、ソピアちゃん、お体はどうしちゃったの!? 人間に戻れるんでしょうね!?」


 「あー、うん、滅しちゃったので、戻れない(うそ)。この姿のままで居ようと思います。」



 そう、うそなんだ。想像出来る事は元より、想像の範囲の外まで実現可能となってしまった今の私は、肉体を再生する事も、人間の自分と精神体アストラルボディの私が同時に存在する事すら造作も無いんだ。その気に成れば、何兆何京にだって分裂出来るよ。

 でも、ここはしないでおこう。過保護は人の成長を阻害するからね。



 「クーマイルマ、あなたに任務を与えます。」


 「ソピア様、何なりと!」



 さっと片膝を着いて祈りの姿勢を取る。



 「まあまあ、そんなに固く成らないで。あなたにはやって欲しい仕事があります。私の代わりに神様をやって下さい。中央神核メソ・デイティ・マハーラ代行に任命します。」



 私は、クーマイルマの中に、神格因子の組み合わせの大部分が揃っている事に気が付いていた。

 足りない部分を生成して補完してやると、クーマイルマの体から光が溢れ、輝いた。

 代行ではなくて、権限を譲渡すれば良いと思われるかもしれないが、それはきっとクーマイルマ自身が拒否するだろうと思っての事だ。

 多分、彼女はその方が、気持ち的にやり安いのではないかと思う。



 「へっ!? あ、あたしが、めめめ、女神様の代行ですか!?」



 ガクガク痙攣している。うーん、荷が重い? でも、私がやってられたんだから、だいじょーぶだいじょーぶ。結構適当にやってても、何とか成っちゃうもんだよ。



 「四神竜達は、しっかりクーマイルマをサポートしなさい。」


 「「「「ははっ! この命に掛けて!」」」」


 「あ、命は掛けないでください。ヴァラハイスは、この星の最上位管理者として、引き続きよろしく。」



 私は、一人一人に声を掛けて行った。



 「ヴィヴィさん、私の財産は、2分して半分をクーマイルマに渡してください。クーマイルマ、そのお金を有効に活用してください。」


 「分かったわ。でも、膨大な額になっているわよ。今じゃロルフ様の財産よりも増えちゃっているのよ。ちょっと小さな国なら買えちゃうかもー。今でも物凄い勢いで増えているのよ。権利収入って、凄いわね。」


 「え、マジで?」



 流石の私も想定の範囲外でした。

 半分残した方は、学校運営とか色々活用してください。

 あ、クーマイルマが泡を吹いている。



 「ウルスラさん、助けに来てくれてどうもありがとう御座います。一緒に行った修行の旅、楽しかったです。」


 「温かいお言葉、有難うございます。あの思い出は、私の一生の宝で御座います。」



 ウルスラさんは、相変わらず言葉遣いが丁寧だなー。

 あん? その隣でお師匠が何かソワソワしているぞ?



 「あー、おほん、わしには何か無いのか?」


 「お師匠、いや、ロルフおじいちゃん、大好き。」


 「う、うむ。」



 何赤く成っているんだよ、好々爺すきすきじじいめ。ちょろいぞ。



 「こりゃ、聞こえておるぞ。」


 「いけね、エイダム様やエバちゃまにもよろしくお願いします。お屋敷のプローク達竜達みんなにも。」


 「うむ、会っては行かんのか?」


 「会うと寂しくなっちゃうから。今ここに居る人達だけでも、もう泣きそうなんです。」



 そして、今迄関わりが有った皆に、お別れの思念テレパシーを一斉送信。



 『!--みんな、今迄どうもありがとう。ちょっと旅に出ます。またね!--!』




 私は、慌てて何処かの世界へ飛ばしてしまった、ケイティーを探す旅に出ます。

 何時戻れるかは分からないけれど、必ず戻って来ます。

 それまでどうか、健康に気をつけて、お元気で居て下さい。



 「第10次元、平行世界パラレルワールドサーチ! うーん、近場の世界には何処にも居ないみたい。一体、何処まで飛ばしちゃったんだよ、私の馬鹿。」



 私の気配は、この世界から消え、様々な世界線を旅して行く事になる。

 もし、私かケイティーに出会った時にはよろしくお願いします。


 では、またね。



 おわり。




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