第137話 アカシックレコードその3と4
「これは! ハンターズへ納品しては駄目ですわー!」
「うーむ、やはり、そうじゃろうなあ……」
「私もそう思いまーす。」
何の話かとお思いでしょうが、四神竜調査用の
軽く様子見に行ったつもりだったのだけど、かなり濃ゆ~い内容になってしまったからね。
地竜と戦ってしまって、世界を滅ぼしかけたり、特に、地竜が私の眷属になった
「皆の指輪は、私が全部回収します。報酬は、私のポケットマネーから出すので、それで我慢して。」
プロークのコレクションをあげちゃった件は、不問かな?
「ふう、まあそれはね。元々ソピアちゃんが貰ったものだし。地竜と繋がりが出来た事の方が何倍も価値がありますからね、仕方が無いわ。」
ヴィヴィさんがはぁ~っと、深い溜め息を付いた。
うーん、せっかく宝物庫の建設が始まっちゃってたのにスマンです。
「あ……」
「どうしたの?」
「あ、ううん。魔導倉庫分の財宝はまだ入っているかも。」
「どういう事?」
以前に聖地の泉を作る時に、川の中州の砂を入れたら、取り出す時にそのままの形でドーンと出て来たでしょう? 覚えてる?
つまり、あの空間に入れた物って、中で小分けにして取り出したり、複数をひと纏めにして取り出したり出来無いんだ。結構融通が効かない。
プロークの財宝も、皆の魔導倉庫へ入れた残りをあの空間へ放り込んであったのだけど、王宮で取り出す時に、私の魔導倉庫の分を出すスペースが無くて、倉庫が満杯だと都合が悪いからって、それを後から謎空間へ移し替えたのだった。
ユーシュコルパスにあげたのは、最初に入れた方の財宝で、後から入れた魔導倉庫から移し替えた分は、まだ入って居る筈。
「あらまあ、それは僥倖。宝物庫の建設を中止しなくても良くなったわ。」
ヴィヴィさん、嬉しそう。
魔導倉庫分だけといっても、小さな体育館1個分位の容積は有るからね。かなりの金額に成ると思うよ。良かったね。
『!--ああ、それも欲しかったな。--!』
『!--!!! ユーシュコルパスかっ!? 聞いてたの?--!』
『!--うむ、眷属の契を交わしたので、我とそなたは常時繋がりっぱなしだ。--!』
まじですか! プライバシーも何もあったもんじゃない。
「ソピアちゃん、どなたかとお話中?」
「あ、うん、ユーシュコルパス。眷属の契を結んだから、常時繋がりっぱなしになったらしい。」
「あらまあ!」
ん? ちょっとまて、という事は、プロークもなのか?
視線を逸しやがった。こいつ……。
あ、という事は、飛竜達もか!
今こいつら、バレたって顔しやがった!
「うーん、まあね、あなた達に聞かれて困る様な事は考えてないけどさ、人間にはプライバシーというものが有ってですね……」
「「「「「申し訳御座いませんでした!」」」」」
『!--わっはははは!--!』
という訳で、私のプライバシーは竜達には無い様です。
まあ、良いんですけどね。恥ずかしくないし。ふんっ。
それにしても、プロークや飛竜達は、一応配慮してくれていたみたいなのに、地竜は全く配慮無いのな。神々の間じゃ当たり前なのかな?
『!--そうだぞ。四神流は全部繋がっておるからな。経緯は他の神竜達も全部知っているぞ。--!』
『!--そうなんだ。じゃあ、他の竜達に会いに行く時は、もう自己紹介要らないか。--!』
『!--うむ、だがな、一応礼儀は尽くしておけ。気難しい奴等も居るからな。--!』
マジですか。やだなー。
そういうユーシュコルパスだって、相当気難しかったけどな。あれ、竜基準だと優しい方なのか?
成龍に喧嘩売られたら、黒玉を使用禁止に成った今では、全く勝てる見込みがありませんです。
そう言えば、ドリュアデスも意識を共有しているそうだけど、プライバシーの無い生活って、やろうと思えば出来るもんなのかね。人間の私にはちょっと想像が付かないんだけどな。
羞恥心とか無いのかな? というか、羞恥心が有るのって、人間だけなのか? 羞恥心が無ければ、プライバシーなんて保護する必要は無いのだろうか?
『!--そうだぞ。--!』
あ、そうですか。
ところで、私のプライバシーレベルだけが緩くありませんかね?
私、そっちの考えてる事とか分からないんですけど?
『!--それは、そなたの感知レベルの問題だな。我々は何も閉ざしてはおらぬゆえ。--!』
「そうなの?」
『!--そうだそうであるぞ。--!』
ふーん、まあ、勝手に他人の頭の中を覗き見るのは、私は好かないから、まあいいや。
ところで、ハンターズに報告しないとなると、暇になるな。
ハンターランクでも上げとく?
ケイティーそんな話をしていたら、竜達が急にざわつき始めた。
「ソピア、気をつけろ、来るぞ!」
「えっ? 何が?」
そう口にした瞬間、それは来た。
そう、例のアカシックレコードからのダウンロード開始の光の柱だ。
ドーンという衝撃とともに、天井を突き抜けて光の柱が降って来た。
私は、またか、と思った。今度はどこのどいつなんだよ。
私もこれで3回目なので、いきなり気を失ったりはしていない。またかよと余計な事を考える余裕すら有る。
光の柱が止み、床に降り立って2歩程歩いたら、もう一本来た。
これには完全に不意を突かれた。
えーー、2本来る事もあるのー?
流石に今度は気を失った。
……
…………
………………
目を覚ますと、そこは……
うん、知ってる天井。天井っていうか、ベッドの天蓋だけどね。
此処は、何時もの1階のゲストルームだね。倒れる度に此処へ担ぎ込まれるから、既に慣れっこだ。
横を見ると、メイドさんが居る。私が目を覚ましたのを見ると、部屋を出て行った。
これって、毎回お屋敷で起こるから良いけど、クエスト中とか戦闘中だとヤバイよね。
そう言えば、1回目は、お師匠が傍に居たとはいえ、荒れ地だったっけ。
アカシックレコードさんもTPOは弁えてくれているのかな?
扉が開いて入ってきたのは、ケイティーとヴィヴィさんとウルスラさんの3人だった。
「私も2回めなんで慣れたけど、びっくりするよね。」
回りの皆も慣れた様です。
聞くと、眠っていたのは2日だって。
へー、前回、回線細いとか文句言ったので、改善されたのかな?
2人分で2日という事は、実質ダウンロード速度は5倍って事だもんね。
起きて直ぐに元気一杯動けるのは、かなり改善されていると思う。
さて、腹が減ったぞ。
「丁度お昼になる頃ですから、ちょっと速めの昼食に致しましょうか。」
「今度こそは固形物食べたい。肉食いたい。」
「駄目よー、最初はスープから。」
「ちぇーっ!」
でも、スープは今回は具入りの物だった。
ひき肉と、細かく切った野菜入のスープで、具材は噛まなくても大丈夫な程柔らかく煮込まれている。
私が何時起きても良い様に、準備して待っていてくれたのかな? 有り難い。
起きて直ぐに元気一杯なのだけど、大事を取って今日一日は安静にしなさいというお言葉に甘えて、ダラダラさせてもらう。
だけど、何もしないとなると、すごく暇。体が元気な分、暇さが半端無い。
「ところで、今回はどういう人間なのじゃ?」
「うーんとね、日本の料理研究家のお姉さんと、日本の建築家のお兄さんだね。」
日本人率高めだな。
まあ、料理は日本は世界中のグルメが集結する美食国だし、建築も最強の耐震技術を持っているという点では最先端なのかもしれないからね。日本って、世界中のエッセンスをギュッと集めたみたいな国なんだよね。
アカシックレコードの厳選知識集としては、日本人率は高くなりがちなのかも。物理学とか医学の分野になると、アメリカとかドイツ人が出てくるのかも。数学やIT関係だと、インドとかね。乞うご期待だ。
え? 新しい人の名前とかプロフィールは何だって?
良いでしょ、もう。私の覚えられる人名のキャパ越えました。どれも自分なんだから、覚えられない訳が無いって? いや、単純にもう面倒臭いというか、あなたの為に敢えて割愛しています。メタ発言するなって? ハイハイ。
てゆーか、これもう転生とかそういう現象じゃ無いんじゃないの?
平行世界から、必要な知識がドンドン終結して来ている感じなんだけど。
魂も、ジグソーパルズみたいに分割されたピースが集まってきている感じがする。
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